第47話 「3・三業通り先の作戦」

 桃介の猫探し(家出猫を探せ)ーーー❸


 東雲さん宅は、大塚の南口を出てすぐ左に曲がる。何本も道があり、ややこしい。コンビニ、病院の角を左に行く。

 

 三業さんぎょう通り、という由緒ある通りがあり、そこを巣鴨方面に向かいまっすぐ行く。


 大塚に来た頃に、商店街のおじさんに聞いたが、三業通りは、戦前の全盛期には700人もの芸者がいたそうで、由緒正しき歴史ある通りだそうな。今は一人しか芸者さんはいないらしい。


 因みに、三業通りの三業は、何か?

 それは、三業地という言葉から来ている。いよいよ知らない話である。そもそもは、「料理屋」、「芸者置屋げいしゃおきや」、「待合まちあい」が許可されたいわゆる花街のことを三業地と言ったのだ。


 解説は終わりである。三業通りを真っ直ぐ行き、小学校を右折したところ。千川通りと三業通りの間に東雲宅がある。


 まず、僕らは作戦をねった。やれる事を書き出してみる。


 《準備する物品》


 ●南大塚一丁目の拡大地図の印刷×6枚

 ●猫の捕獲網(これはもともと2つあるのだ。大きな虫取り網みたいな、でっかい網である。)

 ●鮭缶詰×30個(人間のを買う)開けたら夜のおかずに食べられるからだ。

 ●懐中電灯×2


 《作戦》


 ❶迷い猫のビラ作成、ビラ貼る。

(カラープリンタインクが無いから買いに行くのだ。)

 ❷東雲宅、南大塚一丁目周辺の聞き込み。

 ❸東雲宅に罠をしかける。

 ❹鮭缶を開けて網を持って歩く。


 《聞き込みのヒント》


 ●猫の集まる場所を聞いてから探す。

 ●東雲さん散歩コース(小学校周辺)

 ●猫情報を持っていそうな人は?



 こんな具合に作戦を書き出してみたのである。


 「しかしなあ、桃介、そもそも木村探偵事務所はどこにあるんだ?」


 「個人情報ですからね。」


 「しかし、昔からビラには、モロに俺のスマホ書いてあるよ。」


 「まあ、そっすね。僕のスマホは内緒にしてください。」


 「あとな、いまは特に困らんが、俺は時 

間軸をまるで考えてなかったんだよなあ。」


 「あ〜〜!はいはい確かに、確かに。9月に小説はじまり、実際にリアル9月でしたよね。いまはリアルに11月でしょう。実際は、小説では何月なのか?ですよね。」


 「そうなのな。9月13日に始り、みゆきと付き合い1ヶ月が過ぎたと書いた。あとは記載の記憶がないよ。そうすると10月半ばだから、直ぐに京都にに行って、二泊三日したから、特に時間は、進んでないだろう。そうしたら、彩花に説明してもまだ11月初旬かな。」


 「では、彩花さんが、いつ、連絡してくるか次第でしょうが、12月の寒い頃に金沢に行く感じですか?」


 「そうなるなあ。雪の金沢いいではないか!」


 「木村さん、金沢は、また美幸さんと行くつもりですか?」


 「いや、桃介と行くよ。」


 「美幸さんが怒っちゃいますよ。」


 「う〜ん。そんなことないよ。美幸サバサバしてるから。」


 「しかし小説は難しいですね。」


 「だなあ。スタンダードがわからないからなあ。」


 「普通?」


 「そう。普通の小説は、どうなのか、わからないと、書けないな。時間軸は必ずやっぱりしっかり書くよな。」


 「普通を知るには、読書の秋。」


 「芥川龍之介あたり読めばいいのかな。」


 「はあ。吾輩は猫であるみたいな?」


 「それは、夏目漱石だな。今のお前に当てはめると、吾輩は猫探しの桃介であるみたいになるな。」


 「なーる。吾輩は吉田桃介である。名前はもちろんにある、みたいな?」


 「上手い。」


 「あと先生、この小説、毎回晴れてませんか?」


 「よく気付いたな。たま、たまだ。そのうち降るよ。」

 


 ゆるく進んでゆく。







(この作品はフィクションですが、リアル作者自身が主人公なので、こんな風に煩く筆者が探偵に入ってくる。探偵が思い出しながら描いていると考えたら自然でふ。)

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