第37話 「大塚野球、実況中継」

 皆さんこんにちは!

 京都編が長期にわたりました。実は中村旅館に忍び込んだら、何があるのか??直ぐに書きたい。


 しかし、ぼく、正直は、楽しい話をそろそろに、入れたくなりました。真面目さシリアスに疲れました。


 突然ですが「東京大塚」での軟式野球の仲間たちに、タイムスリップします。リアルファンタジーなのである!



 「小石川ファイターズ」対「大塚健康ブレーブス」


 (野球に興味ない方は飛ばして下さい。)


 快晴である。なぜか頭上に白い雲ひとつだけ浮かぶ淡い水色の空が広がる日曜日、僕ら大塚の仲間たちは、池袋の人工芝グラウンドに集まる。今日は美幸も応援にかけつけた。



 スタメン発表。じゃ~ん!


 《大塚ブレーブス》


 1番・2塁・あわちゃん

 打率385本塁打0本


 2番・DH・ノリさん

 打率288本塁打0本


 3番・センター・笹木くん

 打率260本塁打6本


 4番・1塁・ひらちゃん

 打率333本塁打10本


 5番・ショート・鍋ちゃん

 打率390本塁打4本


 6番・捕手・星川くん

 打率292本塁打3本


 7番・3塁・秀行くん

 打率283本塁打2本


 8番・レフト・杉町さん

 打率272本塁打0本


 9番・投手・北村さん

 打率260本塁打0本 


 10番・ライト・木村くん

 打率230本塁打1本


 監督の粟原あわはら君が言う。

 「え〜。皆さんお疲れ様です、怪我ないように行きましょう。」


 キャプテンひらちゃんがまた、言う。

 「水とお茶は用意してます。今シーズンも残り僅か、今日は勝ちましょう!」


 本日は熟年ベテランチームの「小石川ファイターズ」との対戦である。


 彼らは年齢構成が40代〜70代までいるレアなチームなのだが、みんな恐ろしく元気なのである。


 正直は草野球は年齢関係なく、上手い人は上手い。また草野球が、経験者ばかりの集団かというと違う。大人になり、野球を始めた人も意外と多い。年間に数回は、小石川ファイターズとは、対決するためにメンバーはお互いに知る仲である。



 両者の先発投手の発表であ〜る。敵チームファイターズは、技巧派コントロールエース、にこやか微笑の中村なかむら監督である。対するブレーブスは、投げる作業療法士、頭脳明晰スライダー冴える北村きたむらさんだ。


 試合は、拮抗した。7回裏4対4の同点で迎えた最終回、我がブレーブスの攻撃である。


 10番ラストバッター、ライト木村、僕は右投げ左打ちの一発まぐれ当たりのパワーヒッターである。僕は速球、変化球が全く打てない。野球素人だが、緩いストレートを経験者以上に得意としている。


 中村監督はサウスポーで変化球を織り交ぜる軟投派だが、ストレートは、緩いので得意である。

 しかし、これまで、外角低めに上手くコントロールしてきていて、当てるのがやっとで前打席もショートゴロになっていたのである。

 僕は、美幸が見に来ているから余計に硬くなっている。



 「うんうん。」監督が、捕手のフジマキさんとサインを確認している。テンポが、実に落ち着いたマウンドさばきである。


 2エンド2から、振りかぶって投げた。


 ボールは私の得意コースの内角低めストレート。しかし、ワンバウンドしそうな球だった。


 僕は低め大好きローボールヒッターである。即座に反応して、振り抜くと打球はすこし内角なだけに、捉えたものの詰って、ライト前にポトリと落ちた。


 敵チーム、ショートのオールラウンダー、陣内さんが「おお、ナイス探偵!」声をかけてくれる。「サンキュー。」ファーストから手を上げて陣内さんに合図した。


 陣内さんは毎回、俺のキャッチボールを見かけると「お嬢さん投げだよなあ、探偵。」と揶揄する。そうかなあ。まあまあ強肩なのに。


 野球素人は、いろいろ経験者にアドバイスして頂くが、投げ方で言うなら、あまり気にしすぎるとイップスになるから、程々に聞いているのである。今回みたいに、たまには褒めて欲しいから、ありがとうなのである。

 

 ライトに落ちたボールをファイターズの打点王、ダンディくろちゃんが、難なくさばくと、矢のような送球をファースト大戸おおとさんに返した。


 ランナーの僕は、持病があり、激しい運動は禁止なため、代走の桃介が送られる。


 次は1番に帰り、ブレーブスの赤い人、粟ちゃんである。「行くぞおおおお〜!!」けたたましい叫び声を上げて打席に入るが、誰も驚かない。

 粟ちゃんはいつも毎回そうだからである。

たまに知らないチームに当たると漏れなく「ドッ」と受けて笑う。今日もキャプテン、気合い入りまくりである。


 粟ちゃんは、初球を思い切り決め打ちした。ボールは鋭いゴロになり、センター前に一直線に抜けていった。桃介は2塁に滑り込む。


 ノーアウト1塁2塁になる。


 2番は、以前の話で、乱闘すれすれの中心となった放射線技師「ノリさん」だ。ノリさんは少しオープンスタンス気味に立ち、バットを短く構える。当てるのが上手い。


 投手の中村監督がピンチながら「フフッ」と笑みを浮かべた。


 4球目だった。外角にシュート回転しながら落ちるフォークを上手く拾うと、打球は、敵チーム、セカンドの大ベテラン小池さんの頭上を超えて、右中間に点々と落ちた。


 それを見た桃介は、果敢にホームまで走ろうとしたが、ベンチの医師のヨシが「桃介、止まって!」声を張り上げ、必死に止めた。慎重にランナーをためるのが正解である。


 ノーアウト満塁。普通はサヨナラである。しかし野球はわからない。満塁は点数が入りにくい事で有名である。



 バッターは、3番、悩める若き長距離砲の笹木くんだ。本塁打も年間に4〜6本は打つ。左打ちの広角打法。打球の伸びが凄い。センス抜群も、いかんせん確率に欠ける。打率は260だ。たぶん安打を狙えば5割打てる。しかしいつもフルスイングである。


 思い切り、初球ど真ん中のカーブを叩くと、流し打ちになり、サードライナー。敵チームサードの名手山田さんが堅実な守備でガッチリ掴んだ。


 桃介はつい3塁から飛び出してしまい、山田さんにタッチされ刺殺する。


 「ごめんなさ〜い。」桃介は半泣きでベンチに戻る。


 笹木君は、なぜか運がなくて、正面を突く打球が多いのである。打球が速いから、一見、抜けると思い、飛び出すと大間違いなのである。


 「ボール見なきゃね。」


 桃介は、ベンチで、攻走守のスペシャリスト、なべちゃんから、優しきアドバイスを受け、立ち直るのである。一気にツーアウト2塁1塁になる。万事休すか。


 

 待ってました。ブレーブス不動の四番打者。優しき大砲、平ちゃんが打席にはいる。年間に軟式野球でホームランをやはり5本〜10本は打つ怪物だ。大学野球出身者である。


 相手投手は継投した。捕手をしていた背の高い高いフジマキさんが投手になるようである。


 フジマキさんは、130キロを超えるストレート主体の速球派だ。投手の中村監督が1塁に入る。1塁の大戸さんがライトに入る。ライトの黒ちゃんはフジマキさんに代わり捕手になる。


 玉突き交代である。

 黒ちゃんがレガースをそそくさ慌ててつけていた。何かと忙しいのである。


 ガチンコ対決。ツーアウト1塁2塁。一打サヨナラのチャンス。ベンチの仲間全員が平ちゃんを固唾かたずを飲み、見つめた。


 フジマキさんは、コントロールを乱し、3ボール。4球目の高めは、外れたような半速球だった。コントロールを意識して、置きにきたのである。


 平ちゃんは高めが得意だ。きれいに力を抜き、鮮やかに振り抜くと、ボールは高く高く舞い上がり、左翼ポール右を抜け、遥か遥か遠く彼方に消えていった!


 「ヤッター!」

 大塚の仲間たちが一斉にベンチを飛び出す。


 「サヨナラ、サヨナラ!サヨナラ!サヨナラスリーランホームラーン!!」

 僕と桃介は、叫んだ。


 7対4のサヨナラゲーム。

 ゲームセット。


 美幸が「平川さんカッコイイ〜〜!!」

 黄色い声援を送っていた。



 おわり



 探偵小説には全くもって、関係してはいない。


 大塚の仲間たちでアール。


 ユー○ールでアール!

 美幸ちゃんが大好きでアール!(正論)









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