第27話 届いた思いは意図しない相手に伝わる
「こっちだよお父さん」
ジェスチャーでカーテンを真昼ちゃんに閉めるように伝え、口パクで後でレインでと伝える。
「開けるぞ美歌」
言葉の後カーテンが開きお父さんがわたしの近くにくる。
「お父さんお迎えなんていいのに」
「いやついでだ朝より顔色が良くて何より、母さんは車の中で待ってるから来なさい」
「ついでって?」
嫌な予感がしお父さんに聞き返す。
「御幸が悩んでいたから勝手だが母さんから相談されて加害者の生徒と話して来た」
「「え?」」
隣からも声がしお父さんは横を向くがすぐに私の方を見る。
加害者とは、鉄心くんのことだろうとすぐに気づいた。それでお父さんが来たとしたら
嫌な予感は当たるように
さらに追い討ちをかけるように、さっきの思いが無駄になるようなことを私に伝えくる。
「頑なに認めなくて苦労したが停学2週間だそうだ彼は、クラス替えとかは出来なかったがとりあえず良かったな」
「え?なんで……」
何が良かったのかわからない、政治関係で修羅場もいくつもくぐり抜けてきた、話術が優れてるお父さんのことだから‥‥きっと認めなくても、学生である鉄心くんに対して時間をかけて言葉巧みに誘導し、結果として停学2週間を勝ち取ったんだろう、でもそんなことより!それ以上に悔しい!苦しい!彼のことを思うと涙が溢れてくる。
これじゃ鉄心くんさらに誤解されちゃうよ、私は結局大好きな彼を苦しめる運命なの?
「師匠はそんなことしてないです!取り消して下さい今すぐ!」
隣のカーテンがバーと開き話を聞いてた真昼ちゃんが耐えきれなかったのかお父さんに近寄る。
「君は誰だ?」
「師匠と美歌さんのお友達をさせて頂いてます美空真昼です」
「それで、もうこれは決定し停学処分書も受理されている」
「それでもです!取り消して下さい!さっき美歌さんから話は全て聞きました!そんな紙私が破り捨てます」
その迫力ととんでもない発言に流石の父も困惑してるのが分かる
「なんだこの子は……、もう帰るぞ美歌私も仕事がこの後にあるんだ鞄は教室なら取りに行ってきなさい」
真昼ちゃんの相手は大変だったのだろうお父さんは帰りを私に促してくる。
「話しも聞こうとしないんですか実の娘なのに」
それでもくらいつく真昼ちゃん
「君、美歌と仲良くしてくれているのは嬉しいが、それは車の中でも聞ける私たちは家族だからな」
真昼ちゃん話にならないと痺れを切らして今度は私に尋ねてくる
「美歌さん!美歌さんはどうするんですか!鉄心くん停学になっちゃいますよ」
真昼ちゃん、きっと停学は取り消せないよ。自暴自棄になりながら、私はまたタイミングを逃したんだ気づいた時にはもう遅いんだ……。そんなことを考えていた。
「帰るぞ」
「はいお父さん」
お父さんの後に続くように歩む
「美歌さん!さっきの思いはどこに行ったんですか?」
後ろから大きな声が聞こえる
わかってるよ真昼ちゃん……わかってるよ……でも楔が体に巻きつくみたいに動けないんだよ、私はまた加害者になっちゃったんだ、話すにしても誤解しないように伝えないと状況はさらに悪化するだけ……。
「弱虫!そんなんで!父親も説得できないで師匠を守れるんですか?!」
「…………」
鉄心くんを守る……、お父さんの凄さは私が一番分かる。それでも戦わなきゃいけない……今……怖いけど、私はまた後から気づいて後悔する所だった。心の中で真昼ちゃんにお礼を言う。
「お父さん」
私は保健室内で足を止める。
「なんだ足を止めて話なら車で」
「好きなんです」
私はお父さんの顔を見て鉄心くんへの思いを伝える。
「……何を言ってるんだ」
困惑している顔のお父さん……でも伝えないと
「あのレインは私の悪友の悪戯です私の!大好きな彼と私を割くための罠なんですっ」
「……どういうことだ?」
そこで父親に全てを話す。隣にいてくれた真昼ちゃんは本当に心強かった。ここで話せて本当に良かった。
「そうか詩音ちゃんとも関係してたのか……あのイジメは彼のせいではないのは確実だがな、そうか彼が詩音の親友だったのか……」
「え、お父さんは知ってるの」
わたしは驚きを隠せず父に尋ねる。
親戚同士で話をしたのか、県の職場……イジメとして全国放送されたくらいだからどこかで事情を知ったのか定かではないが。
しかも……親友?詩音とはレインでやりとりはしていたらいつも楽しそうに話に出てた理解者くんて鉄心くんのこと?エリカちゃんの話だと未だに写真を飾ってるという話とわたしの中で繋がった、しかも彼は腕を噛まれながらもわたしの大切な詩音を救おうとしてくれていた、事実を知り枯れたと思っていた瞳に涙が滲んでくる。
「あのことは悪いが私でも美歌に言える内容ではない」
鉄心くんと同じ答え……、お父さんからも聞けないってことは私の想像できない、いやあるいは詩音の尊厳を失うことなのかも知れないと悟った。
「それで今回の話が事実なら彼には悪いことをした今すぐは無理だが今度家に誘いなさい、停学は取り消せないが、停学処分が終わったら誠意を持って謝罪しよう」
停学中に、停学にした相手から謝罪されるのも嫌だろうし、私も想像できないが停学後なのは理由もあるんだろう。
「無駄足だったなそれで帰るのか美歌は」
「今日は……帰りません」
そう父に伝える。
「私の勘違いの行動もあるがその悪友との友達付き合いはやめるんだな、後これは親としてそんな子が近くにいる彼には近づいて欲しくはないのが本音だ」
お父さんは真っ直ぐこちらの目を見て話す。話を聞いてくれただけ、とその言葉から親として心配しているのがわかった。父は会話を続ける。
「親もいない彼のことだからもしもがあった時に心配だからな」
親がいない?彼には親もいない?学生の内ででそれはないから入院でもして危ない状況なのではと想像した、だとしたら彼は家でも1人友達もいなくなったらどこにいても1人になるってこと、それは彼女御幸が望んでいた彼を孤独にすることに繋がってしまう。
「停学中に彼と遊んだりとかはするなよ?停学は停学だからな」
私の思考を読んだようにお父さんは伝えてくる。父の立場もあるのは理解できるからわたしは頷く2週間後、2週間後私は彼に想いを伝えるんだ。
「ガーガー停学だからな……」
聞こえずらまぁ、ポケットの中なのかな?それか違法アプリもこれが限界なのかな……場所は中学校の人気のない教室、盗聴アプリで御幸は朝から内容を聞いていた。
最初は想像通り順調だったが、後半は雲行きが怪しい。
「美歌さんは……いや若い人はケータイを離さないからねふーんやっぱり美歌さんはこうなるか……予定早めないとね。」
そう呟き怪しく目を細める。
「あと2週間以内に彼に会いにいかなきゃ……はぁー予定狂っちゃう……お兄ちゃんに会えるのは嬉しいんだけどね♪」
いつにしようとケータイでカレンダーを見る彼女。
「それとっ、真昼さん、美歌さん、あとユウミさんかな?あそこと接触しないようお兄ちゃんにお願いしないとね……」
「お兄ちゃん、やっと、やっと会えるねふふふ」
思い出したかのようにポケットに穴を開けて入るように常備しているナイフの感触を確かめながら彼女はそう1人呟いていた
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作者余談欄
いつも読んでくださりありがとうございます!
よければハート等貰えると嬉しいですっ
一応数話前の保険の伏線回収しました。一応御幸はヤンデレで書いています。うまく書けているかわかりませんが温かい目で見てやって下さい。
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