第14話 人の心はわからない
………………翌朝。
「38.0度」見事に風邪をひいた。
頭がボーとする。微熱だったら学校に行くけど、微熱だったらだ。38.0度は平熱36.0度からしたら高熱の部類だろう。
「行っても迷惑かけるだけだしな」
そう思い学校に休みの連絡をした。
学校の教室内
「あれ鉄心のやつ学校に来てないの?傘のお礼言おうと思ったのに」
新と翔太にエリカは声をかける。
「あーあいつは新のせいで風邪ひいて休み」
「俺のせいか?あいつが気色悪いこと言ってるからだろ」
「ふーんまぁ、私らのせいじゃなきゃいいけどユウミ気にしそうだから」
そう言い2人がいる席から自分の席に戻る。
「というかさ明日の親睦会も来れなくね」
「あー風邪だからどうだろうな」
鉄心の家
さらに翌朝…………アラームの音で起きるが
「うぅ気持ち悪いし体が昨日より重いとか」
誰か食事を作ってくれる人もいるわけではなく、水分だけは気をつけてとっていたが
…………「38.6度」
倦怠感が強く、2人が話していた親睦会のことなど頭になく、先ほどまでけたたましく鳴っていたケータイでなんとか休みの連絡をした。
学校教室内
「あれ、鉄心今日も休み」
「まじかー風邪こじらせたのかな」
いつも2人より早く来る友人がおらず喋っていると
「あれ?鉄心くん休みですか?」
いつもいる鉄心がおらず登校してきた美歌が2人に尋ねてきた。
「あーみかみかそうなんだよ多分昨日に続き風邪だと思う」
「そうなんですね、今日は来れそうになく残念です」
「あのお2人はお見舞いとか行かれるんですか?」
「あーあいつのうち山の方なんだよな、多分言っても迷惑かけたなとか言って気にするし、それこそ風邪広げたら悪いとか考えてそう」
「たしかに鉄心なら考えそう」
新に合わせて翔太が続ける。
「……そうなんですね」
少し白状な気もするが、風邪ぐらいでお見舞いに行く程ではないかそう思っていると
「えー師匠来ないんですか!残念です」
下からいきなり元気な声がし一同驚き声を合わせる
「いつからいたの!?」
「師匠心配です風邪の時はゆっくり休むのは大事と思い連絡は控えていましたが、これは弟子としてお見舞い行くしかないですかね」
そんな元気な彼女の声が下から聞こえてくるが美歌はケータを取りすぐに早打ちで
「鉄心くん体調大丈夫ですか?」
一応心配になり美歌はレインで連絡する。するとすぐに
「ありがとう、昨日より熱出ちゃって休んでれば治るよ」
「そうなんですね安心しましたまた週明け会いましょう」
「心配かけるそれじゃ」
とりあえず返信があり美歌は安心していた。
「おーもう1人の師匠はやっぱり打つの早いですね」
「え、うん、中学女子校で連絡こまめにしてたらいつのまにか早くなってたの」
「おー師匠はすごいです」
鉄心がいないクラスは平常運行だった。
実際の鉄心は昨日より体調は悪く、看病してくれる人もいない、大人なら自分で対応したりできるが、新が言っていた通り人に迷惑をかけたくないと言う気持ちが鉄心は強かった。普段なら悪化した方が周りに迷惑をかけることにすぐに気づくが熱に冒された頭ではその判断は出来なかった。
「心配かけるそれじゃ」
学校に連絡した後すぐにケータイに連絡が来たことに気がつきボーとした頭で現状を伝えながら最後に文章を打ち既読がついた後連絡は終わる。
「はぁはぁはぁ………やばいかなこれ……でもだるくて眠い」
起床時より体調が悪化し重くなった瞼をそのまま閉じて眠る。
「冷たい…」
どれくらい寝たんだろ頭の後ろが冷たくて気持ちがいい。あー光秀さん心配して来てくれたのかなそう思いお礼を言う。
「ありがとうございます」
「あいえいえ窓が一つ空いているところがあると大きな男の人が教えてくれたので勝手にお邪魔してます」
「……………………」
女性の声がするけど凛花さんじゃない。大きな男の人は洋平さんかな?そう思いつつ
瞼を開けるとそこには
「ユウミさんどうして?」
目が片方隠れているが、とても澄んだ瞳の双子の妹のユウミがいた
「傘のお礼に教室に言ったらいなくてお姉ちゃんに聞いたら風邪ひいて休んでるで聞いたからです」
「あ!家は新さんて人が教えてくれました」
隣のクラスにわざわざ、姉もいるが律儀な子だなと考えていると
「おう、美女2人に看病されて嬉しいか?これはお金ももらわないとな」
ドアが空きそこにはもう1人双子の姉のエリカがニコニコしながら立っていた。
「お姉ちゃんはプリントとか図書委員の業務報告できたんでしょ?ちゃんとしたお仕事だから」
「悪い悪いっお前なんで図書委員なんだみたいな目してるけど、ユウミが入るって聞いてたからやってるだけだからな」
別にそんな目はしていないが図書室に金髪のヤンキーがいるのを想像したのが見抜かれたんだろうか。
「またそんなこと言って病人なんだから優しくできないの?」
「いやいや他の奴らは遊びに行ってる間、プリント届けに来てやってるだけで十分優しいだろう」
頭をかきながら答える。
「というかもう18時すぎだけど両親はいつ帰って来るんだ?お前酷そうだから病院行ったほうがいいぞ、ユウミに移っても大変だから」
確かに今日は水分もろくにとれてなかったから市販の薬だけじゃなくちゃんとした薬と補液もした方がいいかもしれないでも
「両親はいない、親代わりの人も今はいなくて誰も来ないよ」
心配から聞いてくれたんだろう、でも女性として大人がいない家はもっと心配だろうから帰りを促すために答える。
「……あ、ぁぁ悪いこと聞いたな」
しょんぼりするヤンキー反応は思っていたのと違ったがやはり根はいいやつなんだろう。
「充分看病してもらったし後は1人で大丈夫だよ…ユウミさんも氷嚢ありがとう気持ちいいよ」
「あ、あとこれ食べやすいかなと思ってゼリーと一応お薬です」
そう言い袋を枕元に置いてくれる。
「後でお金払うから、ありがとうね」
「い、いえお金は別に……」
「ケジメとしてかな貸し借りはお姉さんと一緒でしたくないんだよ」
顔を横にし少し考えている素振りをする彼女
「あのー前の傘借りたのでチャラていうのはどうですか?」
「あれは貸し借りは最初からないから」
その話は既に終わってると伝える。続けて
「それにお姉さんとユウミさんもこうやって家に来てくれて助かってるからさ貸しが多過ぎると返しきれなくて困ってしまうからお願いするよ」
鉄心の本心を伝える。
「それならわかりました」
しぶしぶ納得したのか頷く。後は夜道に気をつけて帰ってもらおうそう考えていると喉に何か使える感じがし
「ゴホッゴホッ」
「大丈夫ですか?!」
「うん全然大丈夫ゴホッゴホッ気管に入っただけ」
「無理しないで下さい」
「うん、ありがとうそれじゃ来た道通りに帰ってね帰り道は暗いゴホッゴホッ」
「からねライトなら玄関の入り口にあるから、あ、今はスマホでも照らせるか」
帰って欲しそうにしている彼、以前廊下で抱きしめられた時よりやつれており、あの時整えられてた髪は汗でびっしょりでくっついてる体もそんな状態………帰っていいのだろうか、弱ってる彼を見て自然と口が動いていた。
「心配です」
「え?」
「ここからじゃ買い物も少し離れたコンビニくらいしかないじゃないですか何か手伝い出来ることはないですか?」
「おい、ユウミ」
姉もプリントを棚の上に置き帰る仕草を見せていたが妹の言葉に驚いていた。
「ユウミさんそこまでしてもらうのは悪いゴホッ、同じ学校だけど赤の他人だよ?」
少しきつめに赤の他人という言葉を使い突き放そうと伝える。だが反応は違った。
「なら友達になりましょうっ」
顔を赤ながら彼女の視線はしっかり俺の目を見つめていた。
「友達なら弱ってる友人を見て放っときませんよね?」
不器用な子だけど芯はあるんだなと今の発言と視線で感じた。少しテンションは高いのは気になるが。新も翔太も友達だが、友達になろうと言ってなったわけじゃない、それはいつのまにか友達になっているものだがら。
「ぁあ」
驚きながら相槌を打つ
「鉄心くんも友達が弱っていたら放っておきますか?」
「いや放ってはおかない」
友達の定義はわからないが弱っている友人を放っておくなど自分の辞書には書いてない。
「なら今からお友達です!頷きは肯定てことですよね」
彼女は恥ずかしさからか捲し立てるように喋り、若干テンションが高かった。
姉の方に視線を移す。それに気づいたのか
「ユウミは一度言ったら言うこと聞かないから」
諦めたような表情をしている、姉としては妹の優しさが心配なのだろう、優しさとは利益のための嘘だと俺は考えている。だが俺の看病をして彼女になんの利益があるんだろう、友達になりたいからとかなのか……ボーとする頭で考えても答えは出ないため考えるのを途中でやめた。だがこんな優しい子が困っていたら友人として助けようそう心に決めた鉄心だった。
「うん、よろしくねユウミさん」
「ユウミでいいですよ鉄心くんっ」
そういう彼女の笑顔は照れているものの鉄心から見てとても眩しく映った。
とりあえず今日は知り合いの大人に頼んで病院に行くことを伝えて帰ってもらった。いつでも連絡下さいと帰りにレインを交換だけして布団の上で申し訳ないが見送り洋平さんに連絡して病院に行き、ニヤニヤしている彼を横目に言葉を返す気力もなく、時間的に空いているのが緊急外来しかなく風邪程度でと言う嫌な顔もされず、さすがプロだなと感心し点滴で補液し薬をもらって家へと帰った。
早乙女姉妹視点
「大丈夫かな鉄心くん」
「うーん大丈夫じゃねぇ?というか下の名前であいつ呼ぶの」
「え、変かなお姉ちゃんだってみんな鉄心て読んでるからテツくんとかの方がいいのかな」
「……嫌私が言いたいことはそうじゃねぇけど」
あだ名で呼んだ方がいいと言った訳じゃないけど何を勘違いしたのか先程の妹の発言、それに家での行動等を心配してる姉であった。
まさか恋心抱いてるとかじゃないよな?妹のことは応援したいがもしあいつから手を出したらただじゃおかないそう心に決めたエリカだった。
「それにしても写真の人彼女さんかなとても綺麗な人だったな」
「あぁ、なんかあったな幼馴染ぽい小さい子の写真の隣のやつ、あれ別人だろ?というかその隣のいかついおじさんの写真のせいで墓穴掘ったわ!あー聞くんじゃなかった。」
写真を思い出す確かに小さい子の写真は可愛い系で髪はまとまってるがロング、もう1人の写真は綺麗な感じだけど私と一緒のショートヘアー、顔の作りも髪型も違う。だがそれよりショートヘアーの方が好きなのかな。そんなことを考えていた。少し冷静になり先ほどの家での行動を思い出してくる。
というか男の子の部屋に初めて入っちゃったよしかもあんなの告白みたいなシチュエーションで友達に、‥‥‥て!あわわ、わたしの行動大胆じゃないかな??!帰路につきながら内心悶えているユウミだった。
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作者余談欄
ここまで読んでくださりありがとうございます♪
よければハート等貰えると嬉しいです。
最近リアルが忙しく投稿ペースはバラバラで申し訳ないです、50話くらいで終わりにしようと思いましたが描きたいところを最後までかけるか分からないのでペース早めて終わらせるのも考えてます。
初投稿なので手探りで頑張っていきます。心の片隅程度で良いので応援よろしくお願いします。
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