第8話 高校生活 〜放課後〜

そんなこんなで説明など受け放課後となる。  


「おーい鉄心は職員室な後は解散、忘れ物しないように明日は教科書と体操着を…」

光秀先生は明日の予定を告げながらも主語に職員室にこいと言われている。


新と翔太と少し話し教室を出ようとすると。 


「あの師匠!」

「ん?」 

振り向くが誰もいない気のせいか弟子は取った覚えはないし

「師匠うううー」

「わかったよ意地悪してごめんなえーと美空さんでいいのかな?」

ぴょんぴょんと跳ねてだと思ったら泣きそうな声を出しているため視線を合わせ謝罪する。

「真昼で大丈夫です師匠!」 

「それじゃ真昼?何かようか?」

すぐ元気になるなと思いながら聞き返す

「みんなは携帯の連絡先を交換してるのでわたしもお願いしたいです」

「いいけど条件付きてのはどう?」 

「えーとそれは朝起こしに行くやつですか?」

それは冗談だし、アウトやないと思考しながら本題を伝える。

「師匠はさ、やめにしない?」

「えー?師匠いいと思うんです!なんかこういい感じです!リスペクト的な奴です」

「うーんまぁ、いいのか?交換ならいいよ」

そこまで熱意たっぷりに伝えられたら名前くらい、いくつもあだ名あるしと考えながら。

「やったです!!」

「新すまんが俺の連絡先教えてやってくれないもう充電なくなってさ昨日から充電してなくて」 


「いいぞークラスRheinも作るから誘っとくな〜」

離れたところから答えてくれる。

「それじゃ職員室行かんとだから真昼また明日な」

「は、はいです!連絡とか相談してもいいです?」

「うーんぼちぼちならレスポンス悪い方だからそれでもよければいいよー」

初めて男の子とやった、レスポンス?レストラン?など小さな声で下から聞こえてきた気もするが、きっと初めては新だぞやったななんて難聴ではなく聞こえているので、心の中で意地悪に考えていた。

 

ガラガラー

先ほど意地悪に思ったのがバチがあたったのか教室ドアを開けると誰かがおり気づかずにぶつかってしまった。

相手が後ろに倒れそうになっていたためハと思い体を少し抱き寄せて声をかける。

「ごめんドアの前に人がいると思わなくて」

「あわわわ男の人に触られて、じゃなくて私こそすいません邪魔でしたよね、本当にこんなミジンコがすいませんすいません」

一人で立てる姿勢になったため手を離す。

そこには前髪が長く、ロングヘアーで目が少ししか見えないが、顔のパーツは整っているのにモジモジしているのが残念なのか守りたくなるというか…あとすごく胸が大きい少女がいた。


「ごめんな?前見てなくてあと自分は卑下するもんじゃないぞ?くせになるから」

「は、はいごめんなさい。お姉ちゃんに声をかけようと思ったけど知らない教室だと緊張しちゃって」

お姉さん?同級生というか1年生だから考えられるのは双子?そうなると…ヤンキーの妹さんか

「あー早乙女さんの妹さんなんだね」

「え、あ、はい」

「おーい早乙女さん妹さん迎えにきてるぞ」

「あ?あぁユウミじゃないかちとまってろ」

バックにものをしまったりしているのが見える。

「ユウミさんお姉さんにさっきの内緒ね」

後が怖いからとは言わずに小声で伝え職員室に向かう。


鉄心が帰ったあと廊下

「あわ、あわわわ男の人に耳、敏感なのに」

「おーいユウミ帰ろうぜなんか顔赤いけどどした?」

「な、なんでもないよお姉ちゃん」 

なんでも……。でも素敵なひとだなわたしにも優しくて、あんなきついお姉ちゃんにも気兼ねなくなんて。しかもしっかりとした大きな腕と、耳に残るいい声、それに顔が近くてううう。

「ユウミやっぱり風邪か?どこからかもらったのか?!」

お姉ちゃんが何か言ってるけど、鉄心さんか…気になるなでもわたしなんかじゃ、教室も違うし遠くで見てるくらいならいいよね?


鉄心が帰った後の教室内

「師匠の連絡先ください新くん」

真昼はあのあと鉄心の連絡先をゲットしてルンルンで名前を師匠に変更していた。


新と翔太はそんな可愛らしい女の子を見送り、2人で窓側の鉄心の机で周囲と距離を取りながら喋っていた。

「鉄心大丈夫そうだよな高校生活は何もないといいんだけど」

「大丈夫そうに見えてるから怖いんだよ」

「あぁ、そうだな詩音も言ってたもんな」

翔太の記憶の中のボーイッシュな少女

「大丈夫て言ってたり、見えてたりする人の方が案外抱えてたりするんだよ私はべつだよ変わってるからね……でもテツは違うんだ。僕の親友をよろしくね」

学校の平常時は時は私、鉄心のこととなると僕口調になるもういない友達…の親友のことを思い出す。

「俺たち親友じゃねえのかな」

「そんな言葉と言ったらあれだけどさ、そんな言葉で片付けられるような仲じゃないし、そんな名前がほしくて友達やってるわけじゃないだろ?」

「そうだな俺バカだけどそれはなんとなくわかるよ」 


「「新の過去」」

中学の時2月14日以降から来なくなった友達の家に行った時

ドンドンドンドン

「鉄心!!おい鉄心!!詩音が自殺したってどう言うことだよ!?あいつが自分から死ぬわけないだろうお前大丈夫なのかよ!!」

ドアを叩いている翔太。


カチャ、‥‥‥


「あー翔太と新か学校どうした?大丈夫とかなんとか聞こえたけど卒業式は出るから安心しろよ進学も決まってるしな高校もよろしく?」

何事もなかったかのように教室で話すかのように答える友人 

「なぁ、鉄心、俺が言うのも野暮だがいじめてた奴ら進学も無くなってマスコミも動いてるて」

「あーそうか…。ケジメは取らねえとな。それで?心配してきてくれたのかありがとうな」

新は彼の右腕に巻かれている包帯と少し痩せた体、いつもより澱んでいる深淵を見ているような瞳を見て察した。

大丈夫ではないし、平気でもないんだな。でもそれを俺たちに伝えてくれない。腹を割って話していた叔父さんもいない、理解者と言いなんでも相談していた親友も死にもういない。大切な人が死んで、心から話せる相手が誰もいなくなって平気なわけがない。


「それでじゃねぇよ心配してんだよ!!」 

新のこころを代弁する様に前にいる翔太が叫ぶ。

「いいんだ今は過去になる、今この時間もすぎているだろ?」

平坦な口調でそう答える。

「何が言いたいか俺バガだから分かんねぇよぉ」

泣きじゃくりながら枯れかけた声で翔太が聞く。

「時間が解決してくれるてことだよじゃまたな明日は行くからさ」

少し表情を柔らかくして気さくに声をかけてくる。

新は2人のやりとりを見て変なところで達観してる友人が家に入るのを見送る。卑屈すぎるでもなければ、俺たちが今日来たとしても、来なかったとしても明日には普通に何事も学校に来たであろう友人の背中を見る。 

ガタイ以上に病弱な骨と皮しかないように感じる(実際には違うのだが)弱々しさを感じる背中を見て新の目には涙が流れていた。 

だってそれじゃ、俺たちは、鉄心には……。


2人は別の記憶だが過去のことを思い出していた。そして2人の口から出た言葉は。

「1人にはさせねぇから」

「‥‥‥ぷなんでハモッてんだよははは」

「翔太こそふふははは」


友達のことを思いながら笑い合う2人がそこにはいた陰鬱な気持ちはその笑顔からは感じられなかった。

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