第4話 お勉強の時間です 後編
「ただいま」
シオンさんとのマンツーマンの授業が始まって二時間が経過した頃、そう言って師匠が部屋に入ってきた。
「お帰りなさい。それでどうでした、師匠」
「うん、いい家を借りられたよ。明日からそこを拠点にするからね」
「はい、分かりました。そうしたら、明日から本格的な修行が始まるんですね!」
「うん、その前にギルドに立ち寄るけどね」
「ギルドに? どうしてまた?」
僕が頭に疑問符を浮かべていると、師匠は僕の質問に答えてくれた。
「それはね、弟子入りすると、ギルドに仮登録出来るようになるんだ。この仮登録は未成年でも出来て、成人して正式に登録する時に、あらゆる手順を飛ばして冒険者になることが出来るんだ」
「へぇ〜、すごいですね」
師匠の説明に僕は少し興奮していた。
なぜなら、成人するまでの五年間、師匠の元でしっかりと修行をすれば、短期間で高ランクの冒険者になれると思ったからだ。
そんな妄想をしていて表情が緩んでいたのか、師匠に釘を刺される。
「まあ……仮登録から冒険者になっても、高ランクにはなかなかなれないけどね。さてと……」
そう言って師匠は話題を変える。
「いい頃合いになったから、近くの食堂でお昼でも食べようか」
「「はい!」」
僕とシオンさんの返事が重なる。
するとシオンさんは笑いだし、彼女につられて僕も笑った。
「ほら、早く行くよ〜」
「あっ、は〜い!」
師匠に促され、僕達は部屋を後にして食堂に向かった―――。
◇◇◇◇◇
お昼を食べ、部屋に戻った後、今度は師匠の授業が始まった。
シオンさんは、一足先に師匠が借り受けた家に向かって室内をキレイにするために、食堂前で別れた。
「さて……魔物使いのアレコレや魔法の実践は明日以降にして、今日は魔法の種類について教えようか」
そう言って師匠は紙とペンを取り出し、紙の真ん中に『魔法』と書き込む。
そして、対面に座る僕に質問を投げ掛ける。
「それじゃあアルス、『魔法』について知っている範囲で答えてみて」
「はい、ええっと……『魔法』は『攻性魔法』『防性魔法』『補助魔法』の三種類に分けられます」
師匠は手元の紙の『魔法』から三本の線を引き、先の三つを線の先に書き込む。
師匠に続きを促される。
「えっと……『攻性魔法』は攻撃型の戦闘用魔法で、『火』『風』『土』『水』『氷』『雷』『光』『闇』の八属性があります」
師匠は更に『攻性魔法』から八本の線を引き、八つの属性を書き込む。
僕は更に続ける。
「『防性魔法』は非攻撃型の戦闘用魔法で、『回復』『防御』『耐性』『防壁』の四種類です」
師匠が『防性魔法』の所に書き足しているのを見ながら、続ける。
「『補助魔法』は非戦闘用の魔法で、『身体強化』『索敵』『結界』など、多くの種類があります。僕が知っているのはこれくらいですね」
僕がそう言うと、師匠は『補助魔法』の所に書き込みをしながら、感心したように頷いていた。
「……スゴイな。こんなに詳しく知っているなんて。誰かに教わったのかい?」
「はい。僕の父さんが元冒険者だったので、色々教わってました」
「そうか……」
そう答えた師匠はペンを置き、紙をこちらに差し出した。
「まだまだ不足している所もあるけど、その部分は明日からの修行で教えていくよ。この紙でよく復習しておくように」
「はい!」
僕が紙を受け取ると、師匠は立ち上がりつつ言った。
「明日は早くにここを発つから、今日は早目に眠りなよ」
「わかってますって」
師匠の忠告に僕は笑って返す。
そして師匠は、隣の部屋に戻って行った。
―――明日から本格的な修行だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます