第九章の壱 ~アステル~
私は生まれつき左目の色がおかしく周りから気味悪がられていた
周りが気味悪がる中、父と母だけは私を愛してくれていた
母は私の左目のことを心配して眼帯を作ってくれた
それを私は毎日左目につけて生活していた
決して私のせいではないのにこの左目のせいで、なにか不幸なことがあると何でも私のせいにされた
どこへ行っても私のことを気味悪がって誰も話しかけてこない
いつも一人だった
他人と関わらないから何も起こらない
毎日が平穏だった
そう思っていた私の日常は見事なまでに粉々に砕かれた
学校が終わりいつものように家に帰ると私の家が燃えていた
周りからクスクスと笑い声が聞こえた
燃やしたのは周りの住民たちだ
私が、私の左目が気味悪いから、それだけの理由で家を燃やしたんだ
それよりも私は父と母の安否が知りたかった
不幸中の幸いか父と母は仕事中でまだ帰宅していなかった
そんなことは知らない私は私を愛してくれた両親を助けるために、まだ轟々と燃え盛る炎の中に飛び込んだ
焼け崩れる家の中、煙で意識が朦朧としつつも私は必死に父と母を探した
しかし、そんな私にも不幸が訪れる
私がいる部屋がものすごい音を立てて崩れ落ちた
私は何も出来ず咄嗟に目をつぶった
静かになったのを感じた私はそっと目を開ける
目を開けて初めて見たものは焼け崩れる家ではなく、私の知らないどこか綺麗な場所だった
幼いながらも私は死んだのだと感じた
悲しいはずなのに、辛いはずなのに涙は一滴も出なかった
流す涙すらあの炎で蒸発してしまったのだろうか
そんな時、どこから現れたのか私より二、三歳上のお姉さんが話しかけてきた
「その左目の眼帯、似合ってるよ」
お世辞でも本心でも嬉しくなかった
この左目のせいで私はどれだけ苦労したことか
私が下を向くと、お姉さんは
「私はあなたのこと知ってるよ。 全部見てたから。 それであなたをここに呼んだの」
見ていたのなら助けてくれればよかったのに
「あ、まだ名乗ってなかったね。 私はペルセポネ。 自由に呼んでもらって構わないわ」
と言われても何もかもが急すぎて私は思わず頭を抱えた
「ごめんね、何か。 急にこんなこと言われてもわかんないよね。 私が勝手に呼んでおいでなんだけど、嫌ならすぐにでも帰っていいんだけど」
私はペルセポネの言葉が終わるや否や即座に首を横に振る
父と母に会えないのは残念だが、またあの地獄に戻るなんて死んでもゴメンだ って、私死んでるんだっけ
「なにか勘違いしてるようだけど、あなたは死んでないわ。 死にそうになったところを私が助けたの」
そうだったのか
だが、私は安心していいのか分からなかった
私がここにいると言った時、ペルセポネの顔がパッと明るくなった
ペルセポネが言うにはここは神界、いわゆる神の世界らしい
普通に生きてるだけじゃ滅多に入ることは無い
私がここに入れたのは特例なのだそう
こんな所で特別感出されても嬉しくないんだが
私はペルセポネの父の元へと案内された
他に行くあてがある訳でもないので、しばらくここでお世話になることにした
ペルセポネの父は、別世界の人間を連れてきたことに最初は驚いたが、私の話を聞くと納得したのか家にいることを許可してくれた
その日の夜、ふと目が覚めて寝ている場所から出た
そんな時、私はペルセポネの父が誰かと話している内容を聞いてしまった
「あの子は我々神ですらもハッキリしたことは分からない『星の御加護』 これも我々が付けた名前だが、そいつは下手すれば神に匹敵する力を持ってるんだぞ!!」
「
「そうは言ってもだ。 使い方を間違えれば宇宙を崩壊させることも出来る恐ろしい力なんだぞ! もし、そういう使い方をされれば責められるのは間違いないだろ!」
「おい、声が大きいぞ。あまり公にはできない話なんだから声のボリュームに気をつけてくれ」
「あ、あぁすまない。 気をつける」
私はその話を聞いて尻もちをついてしまった
「誰だっ!」
ペルセポネの父が顔をのぞかせた
その顔が今の私には怖く見えてしまい、その場から逃げ出してしまった
「あ、ちょっと 君!」
ペルセポネの父が呼び止めるが、私は脇目も振らずに走った
どうして私ばかりこんな目に会わないといけないのだろうか
私は自分の運命を呪い走り続ける
いつの間にか神界を超えて走り続けていると、一つの廃墟を見つけた
ここなら誰にも見つからないし誰にも迷惑をかけることがない
そう思った私はここでひっそり暮らすことにした
しばらく暮らしているうちに私は幸福にあふれた世界を疎ましく思うようになった
みんなが幸せそうな顔をしているのを見ると吐き気がする
私だけが不幸で嫌になる
こんな世界に私は生まれたくなかった
そうだ、私の力を使えば宇宙を崩壊させることができるんだ
なら、新しい世界を作るのも簡単だろう
わたしは自分で自分の望む世界を創ることにした
それにはまだ力が足りない
私は『星の御加護』について自分で調べ、人を集め私の望む新世界を創造する準備を始めた
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