第二章の弐 ~魔法~

 広場に着くと、もうたくさんの人が集まっていた

 その大半が男の人なのは否めないが

 すると、突然どこからともなく鐘の音が四回鳴った

 

「それではこれからペルセポネ、魔法の出張授業を始めます。 生徒の皆さん、よろしくお願いしますね」

 

 ペルセポネと名乗った女性はパンツスーツに眼鏡をかけて、いかにもできる系のお姉さんって感じだ

 この人を見に男性陣は集まっているのかもしれない

 よくよく見ると小さな女の子もいた

 とんがり帽子に黒いローブ、そして杖を持っている

 この子魔法使いだろうにどうしてこの授業に参加してるんだ?

 だが、人の邪魔をする気は無い

 ショウは授業に集中することにした

 

「まずは基礎魔法について。五つのポイントがあるのでしっかり覚えるようにね」

 

『はーい』

 

 ・魔法はイメージ 想像することで大抵の事は可能になる

 ・多くの魔法使いは自分の杖を持っている

 ・杖がなくても大体の魔法は使える

 ・強力な魔法になればなるほど消費魔力も多くなる

 ・調子に乗って魔法を使いすぎると、魔力切れを起こすため注意が必要

 

「特に最後の一つは魔法を覚えたての初心者によく見られるわ。 魔力切れを起こすと最悪の場合命に関わる可能性もあるのでくれぐれも慎重に扱うことね」

 

『はーい』

 

「次に攻撃魔法について。 ここからは実際にやってみるのが早いわね」

 

 ・主に手から、杖持ちは杖から魔法を使う

 ・詠唱しないと使えない魔法もあるため初心者は名前を言いながらだとやりやすくなる

 ・一度の魔法で使う魔力は全て使い切ること

 ・自分の元に魔力が残っていると爆発が起きてしまう

 ・大きいものになると街一つ簡単になくなってしまう

 ・攻撃魔法はパーティーで使う時は前衛で戦う人がよく使う

 

「自分の手から、杖持ちは杖から魔力を出しているところをイメージするの。 多くても少なくても出てきた魔力は全て残らず放出させる。 これだけ覚えておけば十分ね」

 

 手から魔力を放出しているところをイメージする・・・・・・

 

 ポンッ 手のひらから小さな赤い火の玉が飛び出した

 

「なかなか筋がいいじゃないの その調子よ」

 

 ペルセポネさんに褒められてしまった

 

「次は補助魔法ね。 これは少し難易度が高いけど使いこなせれば戦いだけでなく日常にも役立てることができるから覚えておいて損は無いわ」

 

『はーい』

 

 ・あくまでも援護する用の魔法 時に例外もある

 ・創造、異常、自然の三つの種類がある

 ・創造魔法はその名の通り自分の魔力を消費して魔法で武器や道具を作り出す

 ・異常魔法は相手を魔法で状態異常にさせる|(毒、麻痺、眠り etc)

 ・自然魔法は植物や地面を自在に操ることが出来る

 ・この三つを合わせた魔法のことを『複合魔法』という

 

「こういう系統の魔法はベテランの魔法使いでも失敗することがあるの。ちなみに複合魔法が使えるのは極々限られた人間だけ」

 

 ま、私は使えるけどね とペルセポネさんは付け加えた

 自慢か?  自慢なのか?

 ショウはこういうちまちました魔法に向いているらしく杖がなくても武器を出すことが出来た

 

「じゃあ最後に身体強化と身体変化について説明するわ。 これはコツさえ掴めばすぐにできるし、極めれば即戦力になる魔法よ」

 

『はーい』

 

「てか、さっきからみんな生返事ばかりしてない?  本当に分かってる?」

 

『はーい』

 

「はぁ・・・・・・」

 

 ペルセポネさんは深くため息をついた

 

 ・自分の体中に魔力を循環させることで一時的に身体能力が上がったり体の一部分を変化させることが出来る

 ・ただ、あまり長い時間使っていると魔力切れ同様気持ち悪くなる

 ・慣れれば平気で長時間使うことも可能になる

 

「さて、こんなところかしらね。 あとは質問タイムとしましょうか。 私に何か聞きたいことは──」

 

「彼氏はいるんですか?」

「好きなタイプは?」

「もしかして結婚してたりします?」

「今日、朝何食べました?」

 

 男たちがペルセポネさんに怒涛の質問ラッシュだ

 

「ちょっと、そういう質問じゃなくて!  って、最後の質問意味あるの?」

 

 もうペルセポネさんは男たちにもみくちゃにされて姿が見えなくなった

 

 ドーン!!

 

 突如地鳴りのように大きな音と振動が広場に響いた

 広場の時間だけ止まったかと思うぐらい、一瞬にして静かになった

 ペルセポネさんがむさ苦しい男たちを押しのけて現場に向かう

 そこにはあの魔法使いの小さな女の子が今にも泣きそうな表情をして立っていた

 よく見ると、広場の一ヶ所に大きなクレーターができていた

 この女の子が作ったのか?

 

「あらあら、失敗しちゃったのね。 大丈夫よ、これくらいどうってことないわ」

 

 ペルセポネさんが励ますが

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 と蚊でも鳴いたかというくらい小さな声で女の子は謝り走り去っていった

 

「うーん、どうしたんだろう」

 

 ペルセポネさんが頭を抱える

 

「またあいつかよ」

「魔法使いのくせに魔力の制御出来ないらしいぜ」

「まじかよ、魔法使い辞めればいいのに」

「もう、物壊すのは勘弁してほしいわ」

 

 広場にいた人が恐らくあの女の子に対する愚痴をもらしている

 ショウはいたたまれなくなり、その場を立ち去った

 あの女の子を追いかけようとしたがもうどこへいってしまったのかわからない

 仕方なくショウはギルドへ戻ることにした

 

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