閑話 7 リルラの報告書2
サクナ様、お久しぶりです。
シーアさんは元気ですか? 相変わらず鈍感なフリしてるんですか? あたし、乙女なのでちょっとお怒りですよ。
まあ、それはいいとして。
お姉様から手紙が来たと思いますが、なんとお姉様、お店を始めたんですよ。ナランの編み物魔道具店って名前です。
どうせならお姉様の名前をつけたらいいのに。と言うと、恥ずかしいと話していました。お姉様らしいです。
今度、お姉様のお店に遊びに来てくださいね。
それでですね、サクナ様。ちょっと悩みを聞いてくれませんか? すっごいミスしたんですよ。怒られてもいいくらい。
もしかすると……お姉様に、あたしがスキル持ちだってバレちゃったかもしれません。
本当に些細なことだったんですよ。でもあれは確実に失言でした。神父様にも聞かれちゃって。怒られて当然です。すみません……。
あたし、怖いんです。お姉様に何て思われるか。故郷でも、この力のせいでみんなに迷惑をかけてばかりでした。怖がれたり気味悪がられても仕方ありません。
お姉様に、あたし、嫌われたくないんです。お姉様は、あたしの理想像で、お姉様だから。
お姉様は優しい方なので、きっと顔には出さないかもしれません。でも、内心どう思っているかと思うと不安で不安で。実は嫌われてたりして。なんて考えたら背筋が凍るんです。
本当は言いたいんですよ。真実を。
受け入れて欲しいんです。わたしの本当の姿を。そんなの無理だってわかっているのに。
でもお姉様なら……あたしのこと……なんて。
馬鹿ですよね。あたし。今まで散々酷い目にあってきたのに。でも、お姉様には期待しちゃうんです。優しい方だから、純粋な方だから。加護持ちのお姉様だし、もしかしたら、と。
でも、やっぱり恐ろしくて。
サクナ様はどう思いますか。よければ返事ください。あたし一人で判断できるものではないんです。
報告はこれで終わりです。ほとんど愚痴と相談だった? 年頃の女の子はこんなものですよ。
いつか、お姉様に話せるといいのですが。
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