第3話 美少女コスプレイヤー、脱ぐ!

「エゴちゃんねる? 変な名前だな」


 ヒマリは俺の顔をじっと見た。

 少しすると俺の名前(チャンネル名)を受け入れたのか、ニコリと笑った。


「ところでお主の持っているその棒は何だ?」


 ヒマリは白くて細い指でスッと俺の自撮り棒を指差した。


「ん、ああ……えっと、これは俺の武器だ」

「これがか? 大した攻撃力はなさそうだが」

「こうやって相手に向けることで攻撃する」


 そう言いながらも俺はヒマリを動画撮影していた。

 可愛いレイヤーの動画は沢山の再生数が稼げる。

 特に、きわどい場面が撮れれば尚更だ。

 ヒマリのローブは膝上までしかなかった。

 俺は彼女の白い足を舐める様に撮影した。


「何か、気持ち悪いな」

「え?」


 あ、取られた。

 気付いた時には、自撮り棒はヒマリの手の中にあった。


「あ、ちょっと!」


 取り返そうと飛び掛かる俺を、彼女はひらりと避けた。


「なんじゃこれは!? わらわが何だか小さな箱に入っているではないか」


 スマホというものを知らないであろう彼女は、目をぱちくりさせながらスマホの画面に見入っていた。

 画面には先程、俺が盗撮ならぬ撮影したヒマリの全身が映っていた。


「魔法か? 新しい魔法なのか?」


 興味津々で俺に問い掛けて来た。

 そりゃそうだろう。

 スマホ何て道具は、この世界からしたら万能の利器に違いない。

 彼女は驚きながらも、スマホを手に取りどうにかしてそれを理解しようとしている様だ。


「それにしても……なんだかいやらしいな」


 ギク!


「そうか。こういうことか。お主はこの道具でわらわの魂を写し取ったのだろう。まったく……」


 ほっ……

 何だか別の意味に解釈してくれたようで良かった。

 彼女の身体をいやらしい目で見たことがバレなくて良かった。


「写すならもっと綺麗に写して欲しいものだな」


 そう言う彼女は、ローブに手を掛けた。

 白い肩が見え……


「わー! ちょっとダメ! 裸はアップ出来ない。アカウント停止になる」


 俺は慌てて彼女にローブを着る様に促した。


「……まったく、せっかくのわらわの好意を……」


 彼女は不服そうだった。

 何だろう?

 初対面の相手の前で一張羅を脱ごうとする彼女は、貞操観念というものが無いのだろうか?

 この娘がYouTuberになればすごい人気者になるだろうな。

 せっかく異世界に転生したのに

 俺は可愛い女の子に生まれ変わりたかった。


つづく

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