第2話 洗脳装置、装着します
翌日も、俺は麗華の家に来ていた。
昨日の帰り際に、麗華に明日も来るよう言われた為である。
麗華宅に来る途中も二、三、命の危機に遭遇したが、比較的イージーな命の危機?だった為、何とか回避できた。
「ねぇ瑛太」
麗華宅の研究室にあるデスクで麗華が謎の機械を製作しながら話しかけてきた。
「何だ?」
「三回回ってワンって言ってみて」
「断る唐突に小学生が絶対命令権貰ったら取り敢えず的なノリで言ってきそうな命令辞めろ」
「えー、つまんないんだもん……そうだ、ちょっと今から裁判所行って来「クルクルクルワン!」よくできました」
……屈辱だ。
何が楽しくて俺は幼馴染の女の子の命令を聞いているのだろう。
でもこれは仕方のない事だ。
金の力には勝てないのだ。
「所で何で俺は今日呼び出されたんだ?」
「奴隷がご主人様のもとに馳せ参じるのは宇宙の摂理、と、言いたいとこだけど」
「そんな宇宙の摂理は知らない」
「今日はあなたと私が春から通う予定の高校について話をするために呼んだの」
高校?そんなの行けるわけないだろ。
何せこんな能力だ。
入学して一年で単位が足りずに自主退学する事になるのは目に見えてる。
「それが瑛太でも通えちゃう高校を見つけちゃったの。学園島って知ってる?」
「学園島!?」
知ってるに決まってる。
何て言ったって世界一有名な学校だぞ。
「知ってるなら話は早いね。知っての通り、学園島は異能関係の教育に最も力を入れている学園。というか、強すぎる異能を持った未成年を隔離する為に創設された施設って言うのが私の推論なんだけど……ま、そんな話は今はどうでもよくて、とにかくその学園島の島内では基本異能が制限されるって言うのが重要なの」
「異能が、制限?それは異能が使えなくなるって事か?」
「そういう事。だから瑛太の『不幸』も」
「制限できる、と」
確かに、そんなところに通えるならそれ以上に幸運なことは無い。
だが、そんなチャンスが無いからこそ俺は『不幸』なんだ。
「でも学園島なんてお前はともかく俺が通えるわけないだろ?特別頭がいいわけでもない、強力な異能を持っているわけでも無い、お前みたいな実績があるわけでも無い、おまけに金も無い。こんな俺がどうやって世界一の学校に入れるって言うんだよ」
「私の金とコネがあれば余裕」
「簡潔かつ完璧な回答をありがとう」
そういやコイツ、世界でも三本の指に入る天才研究者で、発明品の特許でぼろ儲けしてたわ。
「予想以上に身も蓋も無いのな」
「世界は割と身も蓋も無く出来てるもの。まぁでも流石に入学試験を完全免除ってわけにはいかないから形だけでも試験を受けてもらうけど。という事で、はいこれ」
「なんだ?」
麗華がチケットと、チケットより少し大きな分厚めの紙を渡してきた。
「学園島行きの航空チケットと、異能科の特別推薦入試の受験票。お昼食べたら出発だから。準備しといてね」
「へ?」
もう一度今さっき渡された二枚の紙を見る。
それは確かに学園島行き一時半のチケットと、異能科の特別推薦入試の受験票だった。
そして。
「受験日は、明日ぁ!?」
「うん、何か問題でも?」
「いや、問題しかないだろ」
「何で、瑛太は私のコネで入学は最初から確定してる。実技は申し訳程度だし、例え筆記が0点だったとしても合格できるから何の問題も無い」
あ、そっか。
これは最初から勝ちの確定した試合だった。
じゃあ試験勉強もいらないか。
「あ、でももし、入試で低すぎる点数を取ったら少なくとも教職員の皆さんには『あ、あのコネの人ね』っていうレッテルが張られることになるだろうけど。まあ鋼メンタルの瑛太なら大丈夫……よし、出来た」
「勉強を教えてください麗華様」
俺がそう言うと、麗華は嗜虐的な笑みを浮かべた。
あ、嫌な予感。
「うんうん、瑛太ならそう言ってくれると思ってた!」
「どうしたの麗華「ガシャコン」って痛ッ!」
おもむろに、麗華がさっきまでいじくっていたピコピコ光ってる謎のコードが大量についたヘルメット型の装置を俺の頭に被せてきた。
「何この人を洗脳できそうな装置」
「おぉ、勘が良い。その通り」
「なんてもん付けてくれてんだ!?何これ外れねぇ!」
「スイッチオン」
「え、ちょ、アババババババババババババ!」
「それはまあ瑛太が言い当てた通り洗脳装置なんだけど」
「ババババババババババババババ!」
「洗脳の応用で学習装置としても使えるわけ」
「ババババババババババババババ!」
「激痛が伴うのが難点だけど、死にかけなれてる瑛太なら平気だよね?」
「ババババババババババババババ!」
「そろそろいいかな……スイッチオフ。気分はどう?」
「殺す気か!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます