第10話
「玲!!!」
声がした。後ろから。
「紗綾…?なんで!?」
そう。後ろにいたのは、紛れもなく玲の幼なじみ、紗綾だった。
紗綾はそれに答えず、真っすぐに真姫のもとへ歩いていった。そして、
パンッ!
「なっ!何やってんだ、紗綾!!」
あろうことか、真姫の頬を引っ叩いたのである。
真姫は赤くなった右頬を押さえながら、目を見開いている。
紗綾は言った。
「どうしてッ!ずっと玲の側にいた私じゃなくて、コイツなの!?やっぱ顔?可愛いから?コイツなんてよく居るぶりっ子よ!可愛い子ぶってッ!!」
「何言ってんだよっ!紗綾!!」
「玲は騙されてるのよッ!今からでも遅くないッ!!このぶりっ子から私に乗りかえてッ!!私はコイツよりもずっと長い間側にいたのよ!!」
「無理だな!俺が好きなのはお前じゃない!真姫、いや、万莉だ!それに、万莉がぶりっ子だあ?万莉よりもずっと長い間側にいただあ?聞き捨てならないな!万莉はぶりっ子じゃ無いし、お前よりもずっと長い間側にいた!」
「流夜…ありがとう。」
万莉が言う。
「私は、可愛い子ぶってなんかいないし、貴方よりもずっと長い間、流夜の側にいた。」
「ずっとずっと!悪い虫を追い払ってたのに!悪い虫がついちゃった!アハハッ…駆除しなきゃ!!」
壊れた人形のように、紗綾が言う。
引っかかった言葉があった。
「悪い虫…?」
「そう。悪い虫。玲ってさあ、イケメンで運動もできて勉強もできるんだもん。だから、私の玲を奪おうとする女がいっぱい居たんだあ!でも安心して!私が駆除したからね!」
「紗綾。」
静かな声で流夜は言う。
ずっと好き るり @k197
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