閑話-1 リオちゃんのオシャレ大作戦
木曜日、ニッチがウチに宣言した。
「莉凰、ピンクの私服でアーシの家に来るな。ピンク以外の私服を買え」
ウチの私服の何が不服だ!
「アンドリンはどんな私服着てんの」
「至って普通だよ。ピンクベージュとかコーラルだとかサーモンだとかピンク以外もあるよ」
「それはねみんなピンクっていうんだよー(泣)」
「そもそもピンクベージュって、ピンクって言ってるじゃないの」
「でも僕はかわいいと思うな。ピンクゴスと黒ゴスで双子コーデしようよ」
「だからアーシはピンク禁止って言ったでしょ。莉凰はピンク以外の普通の服も持つべきなんだよ」
「ぶー、なんかウチ普通じゃないみたいじゃん」
「普通じゃねーわ!」
「でも地雷系コーデは、白と黒とピンクは基本だよ」
「安奈もゴスロリ禁止な」
「「ぶーーー!」」
「ちぇ、それなら僕は病みクマさんの黒パーカーで行くよ。リオもおそろいのピンクの病みクマさんはどう?」
「だからアーシはピンクはやめろって言ってんの。莉凰は顔隠しても服装みりゃあ一発でバレるんだから。自覚しろ!」
「あー、それなら僕も納得だよ。」
「はーっ、ニッチの言う事なんとなく察したわ。アンドリン明日、服買いに行くよ」
横で聞いていたミクリンは盛大にため息をついた。
ウチとアンナは金曜日の放課後、ミクリンにGウーへ引きずって連行されていった。
「トップスはこのハイネックのニットなんてどう。ブラウンとかベージュにグレイッシュな色合いが混ざってるから二人にもマッチすると思うよ。ボトムスもこっちのロングスカートとかハーフプリーツのワイドパンツとか」
「エー、レースがついてない。フリルが無い。可愛くない」
「ここにそんなゴスゴスの服は無いよ!」
「ウチはこっちの柄のにしようかな」
「あんたはどうやってレオパード柄ばかり集めてきた。大阪のオカンか! Gウーにこんだけレオパード柄があったなんて私もびっくりだわ!」
結局うちはホワイトTシャツにホワイトシャツ、ボトムスがタータンのタイトスカート。
アンナは黒のロング丈サロペットに白のニットとカーディガンをミクリンに無理やりコーデされて帰らされた。
上から下までミクリン趣味のベーシック系コーデ。
結局アンナと二人ブー垂れながら帰ることになった。
ウチはもっとフェミニンでガーリーなファッションが趣味なのに!!
土曜日、ウチはクーラ-ボックス一杯の食材を抱えてミクリンコーデの服でニッチの家に行った。
ニッチは開口一番
「ねえ、二人とももう少しカジュアルな格好は出来なかったの?」
じゃあどうしろって言うのよ!
そしてアンナと三人で一口ハンバーグの制作にかかる。
「えー! リオ姉が服着てる!」
ニッチの弟のタメジローが顔をのぞかせた。
「なんだよーその言い方は! それじゃあ、いつもウチが裸エプロンみたいじゃないか!」
「だってよー。普通の服着てるの見たことねえもん」
「いつも普通の服だわ。殺されたいのか、タメジロー」
「誰がタメジローだよー。俺の名は治郎だ」
「二字も増やしてやったんだから感謝しな!」
「誰がするかよ。あんたのせいで中学で俺の事タメジローだと思っている奴がずいぶんいるんだから責任とれよなあ」
「だれがとるか。って、タメジロー! お前何食ってんの。せっかく作ったハンバーグ勝手に食うな!!」
そしてウチはタメジローのつまみ食いから防衛しつつ、一口ハンバーグを大きなタッパー一杯作り上げ、ニッチの母さんからとても感謝された。
これこそ全てウチの人徳と言うものである。
覚醒したドラゴンの魔力の影響も誰にも気づかれることなく隠ぺいする事が出来て良かった。
悪は滅び、正義は勝ち、一切の証拠も無く謎のままに消え去った華麗なる正義のヒロインの正体は要として知れない。
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