第4話渡す相手が気になる···

もうじきあの日がやってくる──そう、バレンタインデーだ。

女子が気になる──好きな相手だったりにチョコを贈る日だ。

バレンタインデーが近付くにつれ、男子女子ともにそわそわしだしている。

友人の田谷佳菜子が隣に駆け寄ってきて、声を掛けられた。

「みずぅ、今年は誰かに渡すの?」

「えっ、ううん......そんな相手っ、いっいぃないしぃっ!」

「えぇ~その慌てぷりっは怪しぃ~なぁ、ぷぷっ」

私の慌てふためく様子ににやけ面をしながらからかってきて、笑いを吹き出す佳菜子。

「笑うなぁ~っ!」

恥ずかしさのあまり、佳菜子の肩をぽこすか叩きながら叫ぶ。

私と佳菜子を見掛けた擦れ違っていく同級生達が小さく笑ってきた。

ううぅ、と俯いて恥ずかしさが早く消えてほしいと願う私だった。


彼女──友人の田谷佳菜子に私は密かに想いを寄せている。私には無い魅力をいっぱい持っており、憧れを抱き始めて数ヶ月も経たない内に恋愛感情に変わり始めたことに気付いた。外見──外面だけが良さそうな男子は結構いるが、好きなタイプの男子はそうそういない。

彼女に打ち明けたりしたら、一言も口をきいてくれなくなりそうで恐くて──言い出せずにいる。

現在いまの関係が崩れたり、離れ離れになるなんて......嫌だっ。


2月14日、バレンタインデー当日。


登校すると緊張した面もちの男子を多く見掛けた。

普段より廊下や教室が一段と賑わいをみせている。

会話を交わしたことすらない男子が頬を赤らめ、女子にせがむ姿をちらほら見掛ける。


佳菜子に誰かにチョコを渡すかと訊いてみたがはぐらかされてしまって訊けずじまいだ。


チョコを渡すなら本命は......誰なのかな?


私じゃあ──


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