第3話拒みたいのに
私はオフィスを抜け、コーヒーを淹れるべく給湯室へと向かった。
まだ休憩には早いが喉が渇き、疲れをリフレッシュさせようとコーヒーを淹れることにしたのだった。
給湯室に到着し、扉のドアノブに手を掛けて室内に足を踏み入れた。
全自動のコーヒーメーカーの電源ボタンをポチっと押して、コーヒーができあがるのを待つことに。
小型冷蔵庫の扉を開けて物色していると部署の違う先輩が後ろから声を掛けてきた。
「早いね、香保。待ってたの、私との──」
「先輩っ......違っ」
先輩──花牧早織が小悪魔的な笑みを浮かべ、あの事を口にしたので否定しようとしたがひとさし指を唇に当てられ、制された。
中学、高校と一緒だった彼女とは会社では先輩後輩といった関係になる。
現在は地元を離れ、会社に近いアパートで訳あって彼女と同棲している。
学生時代はからかわれるといったことは少なかったが大人に成長し、何かのきっかけでぐいぐいと迫るようになった彼女。
「恥ずかしいことじゃないじゃん。ヤっちゃおうよ、い・つ・もしてること」
立ちあがり向かい合った私に対し、小型冷蔵庫で下がれないように左足の膝で下半身の自由を奪いながら、吐息混じりに誘ってきた彼女。
生き生きとしている表情に恐れてしまう。会社内に私達の関係がバレたらと思うと恐くて恐くて。
彼女に逆らいたくても逆らえない。拒めば、この後の要求が激しさを増すからだ。
「少し、だけ......」
と諦め、彼女を受け入れた私だった。
彼女のぷるんとした唇が私の唇に触れ──
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