第2話 小次郎

小次郎いわく、人は優しく思いやりがある。多くの聖人の中に一部の悪い奴がいるだけである。だから人は汚い存在だと思われても仕方はないが、俺は醜悪さよりも人道のほうが人には存在してると思うとのことだ。武蔵はそれに対し

「そんなのすべて見栄を張ってるだけの偽善にすぎないだろう。そうしておいたほうが周りからの評判もいいし、何より自尊心も高まる。そのほうが自分のためになる。結局みんな考えてるのは自分のことで、どうやって自分をよく見せるかしかしか考えてないだよ。」

というと即座に

「それは違うぞ!」

「多くの人はな、心に助けてあげないととか、救いたいとかは一瞬よぎるんだ。だけどできない。なんでだと思う?この国が悪いんだよ、この国の雰囲気、同調圧力にんみんな吞まれてしまうんだ。俺は違うが多くの人はそうやって自分が押し殺されるんだよ。」

小次郎は熱弁していた。それはそれは顔が赤くなるくらいに。

「でもそれ、美しいとは言えねえだろ?」

「どこが?」と小次郎は質問すると武蔵は持論を展開した。

「自分を貫くことこそ美しいと思うぞ。俺はそんなのに負けてる奴らは美しいと一概に言えなくないか?」

小次郎は聞いたものの、理解できないというような表情を浮かべた状態で静止していた。数秒たったのち、「そうかもしれないね。けど俺は人が美しい存在であると信じ続けるよ。」そう言って武蔵の横を通り過ぎ、公園の出口へと向かった。


「平和的な会話じゃないですか。どうしてあなたは彼を…笹沼武蔵さんを刺すという愚行に走ったんですか?お願いします!話してください!」

被疑者はさっきよりも不機嫌になりながらこれで最後ですと言って的確な表現を用いてその時の状況を表現した。

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