第4話……初代騎士団長
目を覚ますと知らない天井だった。
俺はどうやらベッドの上らしい。
なんとも可愛らしい女の子の部屋って感じだった。なんというか……少女趣味全開だな。ピンク一色で驚く。
「ん、奥の部屋から気配が……って」
カチャッと扉が開くと、何故かバスタオル一枚のベリルがいた。
「目を覚ましたか、エドウィン」
「ちょ!? え、何してるの……ベリル」
微笑むベリルはベッドに乗り、ゆっくりと
「さあ、始めようか」
「始めようって……何を!?」
「子作り」
え……『子作り』? それってあの……子供をって意味だよな。――なんですとぉ!? そんな試験があるというのか……知らなかった。
「って、そんな訳ねぇ!! あの、ベリルさん!? それ以上は見えちゃいけないモノが見えちゃうし……って、バスタオルを取ろうとすなー!」
「エドウィン・ハークネス……わたしは、貴方を……」
目の前に桃色の唇が接近する。
あまりにツヤツヤしていて……
俺は思わず息を飲む。
このまま……。
このままベリルとひとつに……。
だが、そこで扉が開く。
「ベリル、ちょっと用があるんだが」
「「え……」」
俺もベリルもその図太い声の方を向く。
すると、扉の方には白髪の男性が建っており、この状況を見て固まっていた。相手を見てベリルはつぶやく。
「お父様……」
「え、お父さん!?」
ま、まさかのお父さんかよ!! しかもプルプル震え始め、俺に対し殺意の波動を向けてくる。げえ、嫌な予感!!
「だ、大事な娘になにしとるんじゃこらあああああ!」
「うああああ!! ていうか、逆に襲われていたんですけどー!?」
「問答無用じゃああああああッ!!」
部屋の隅にあったピンク色の槍を手に持ち、投げつけてくる。ブンッと物凄い音がして飛んでくるが――バスタオル姿のベリルが槍を掴んで事なきを得た。
か、かっけえ……あんな凄いスピードの槍をキャッチするとは、さすが騎士団長。ていうか、ほぼ娘に対して投げてなかったか、あのお父さん!
しかもベリルはベリルで混乱に乗じて抱きついてくるし……! 俺の顔はおっぱいに埋もれていた……これが噂の天獄・アブソリュート・ゼロかッッ。
ちなみに『アブソリュート・ゼロ』とは、天国と地獄の融合世界であり――真世界とも呼ばれるフロンティアなのである。一説によれば神々の世界であるとか何とか!
「なんて事をするんですか、お父さん! 娘の顔に穴が開く所でしたよ!?」
「うむ、すまん。男を狙おうと思ったが手が滑った」
やっぱり、ベリルの方に向けてたんかいッ!
「というか、ノックをして下さいと何度も言っているでしょう。もうお父様なんて嫌いです」
「なああああああああああッ!?!?」
お父さんは絶叫し、直立不動のまま白目を剥いてピクピク
「だ、大丈夫なのか、ベリル! お父さん、ショック死寸前だぞ!」
「いいの。お父様はいつも過保護すぎるんだから」
直後、お父さんは意識を取り戻し、俺を殺す勢いで
「……ジョンとか言ったな」
「エドウィンですが……」
「分かったよ、アレキサンダー。貴様と娘の交際を認めよう……だが、この私の
なんて重苦しい気迫だ……思わず背筋が凍る。俺は、認められる為にも戦うしかないのか!?
「お父様、エドウィンを傷つける事はこのわたしが許しません。この通り、彼とはもう裸の付き合いだってしているんです!」
ベリルが抱きついてくる。
その度におっぱいが形を変え、俺の顔を包み込む。うあああああああ、死ぬ、死んでしまう!! これはあああああああああああ……!!!
「アンダーソン、貴様あああああああああ!!」
いや、アンダーソンって誰だよ。もうさっきから『ン』しか合ってねぇし、ムチャクチャだこの人!
「もごもごもごも~!!(←おっぱいのせいで喋れない俺)」
「そうか、アンダーソン。お前の言いたい事はよ~~~く分かった。これは宣戦布告を受け取る!! いいか、アレキサンダー!! 明日、闘技場に来るのだ。その時がお前の最後だ!! 貴様の股にぶら下がっているブツを二度と使えないようにしてやる!!」
怒り狂うお父さんはそう言い残して去った……。なんだか嵐のような人だったな。いや、そうじゃない。このままでは俺が死んでしまう。
そっとベリルを引き剥がす。
「もういい加減に放せって」
「こうなったら、もう既成事実を作るしか……」
「なんでそうなる。まあ、勝てばいいんだろ?」
「無理だ……」
「無理って、無理な事はないだろう」
「お父様は『Lv.776』もあるだぞ! 初代騎士団長なんだ……どう勝つって言うんだ」
え……『Lv.776』ぅ!?
し、しかもクリスタル騎士団の初代騎士団長かよ……知らなかった。だが、逆に考えれば【レベルイーツ】で……いけるか?
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