第28話 施設A・B捜査スタート!指揮官は警視正‼
「ここにいる全員、早田警視総監に反した行動で処分を覚悟してここへ来ていると思う。代議士達も関与している疑いからまともにぶつかっても勝機は見つからず、命を掛けて挑んでくれている仲間に心から敬意を賞します。ここまで全員無事で居てくれてありがとう。残すは最後の村営住宅の捜索です。」とここで「すいませ〜ん!ちょっとトイレ休憩5分だけ貰っていいですか!」と町野が手を上げ言い放った。
「いいでしょう!30分間休憩をとります。村営住宅管理室の方からお茶を頂いている。昼食にはならないと思いますが、携帯食を配ります。あと下に降りると公園内にトイレがありますので施設内には入らないで下さい。では一旦解散!」
となると「今井!山川!ちょっと!」
「連れションだ!三芳!これ持っていてくれ!」と声を掛けてと自分の携帯電話を渡し町野はトイレに向かった。
町野は歩きながら辺りを確認しつつ「今井!俺の携帯に電話かけてくれ!」と変な事を言い出した。
「どう言う事だ!」
「かけたか?いいから貸してくれ!」
「三芳か!」
「先輩!どう言う事ですか?」
「黙って聞いてくれ!この中に敵の内通者がいる筈だ!周りに気付かれるな!山川!今回の施設周辺を事前確認したのは誰だ!… それと施設操作の担当を決めたのは誰だ!」
「山本だ!でもあいつは山梨県出身で土地勘に詳しい事で三芳警視正が指名した筈だ!」「それは彼が操作会議の後に地元が山梨県で大学までその周辺で暮らしていたと聞いていたから!それにどうしても自分に任せて下さいと申し入れも強かったから!」
「山本の経歴を調べられるか三芳!」
「分かりました。」
「結果が分かる迄、時間を稼いでくれ!」と電話を切った。
「もし山本が敵の内通者だとしたら、施設Aは再調査する必要がある!」
30分後改めて全員が集合した。
「ここからは三芳警視正が指揮を取る。」と山川警視が話し始め「ここからが最後の捜索に入りますので、気を抜かない様に確認と報告を慎重に行って下さい。」
「ハイッ!」
「まずSAT篠田隊長!閃光破裂弾はもう一度使えますか?」
「少し時間は掛かりますが使用は可能です。ただし!・・・」
「ただし、どうしたんですか?」
「ただし、磁場発生により一時的に無線も携帯電話も使えなくなり、あらゆる電波が通じなくなります。その間はどうしますか?」
三芳警視正は一瞬考えたが「爆破や生物兵器・化学兵器を遠隔操作される恐れがある以上はこの方法しかない!その為、5m間隔で捜索実施!施設捜索の陣形で先頭の班長以下が代わる代わる報告をする事!念の為に装甲車を建物前に移動!そこが司令室になる。最後に故障の可能性がある為、いま無線と携帯電話の電源を切っておく様に!」
「警視正!」と手を上げ「俺は何処に入ればいいんだ!」
「先輩!いえ…町野さんは一般市民ですから、この捜査への参加は認められません!」「やっぱり!そうなりますよね!」と珍しく一回で引き下がった。
「2棟ある奥のA棟から始めます。手前の階段を上がり3階捜索を山本班!」
「ハイッ!」
「2階捜索を山川班!」
「ハイッ!」
「1階捜索を今井班!」
「ハイッ!」
「終了後は奥の階段側も3階2階1階の順に捜索する。」
「ではSATの準備が整い次第捜索開始します。建物前に上階捜索班から順に並び待機!」一斉に「ハイッ!」と応え動き出した。
同時に三芳と数名が「村営農業畜産研究センター」内の施設に再度向かった。
「今井!俺と三芳の居ない間にここをガサ入れする話を山川と篠田隊長と山本と4人でした時、ジョーカーが斎藤丈だと言う話が出た事があったか?」
「俺の知っている限りではそんな情報は無かったと思う。」
「さっき山川にも聞いたんだがお前と同じだった。」施設がある敷地へ入る前に「町野先輩!これ持っていて下さい。」とジャケットの内側に仕込んだ両サイドのショルダーフォルスターから右側の銃を渡した。
「俺は民間人だ!銃の携帯許可はない!」
それでも三芳は銃を下げずに「自分の身は自分で守り、チームの為に必要です。全責任は私がとります。」と真剣な目力で、町野も「分かった!」と受け取った。
周りを警戒しつつ背中合わせの様に近づきながら施設Aの入口前に着いた。3人は顔を見合わせながら「今井!三芳!行くぞ!」と町野が先頭でドアを開け中へ入った。
3人は顔を見合わせながら「今井!三芳!行くぞ!」と町野が先頭でドアを開け中へ入った。建物・施設内部は山本の報告通り新種子豚の飼育クリーンルームが有り、それを過ぎると走り回れるほどの広いエリアがあり、温水プールと休息睡眠ルームと食事を行う部屋と6つに別れている。
3人は別れてそれぞれの部屋を確認して行った。
最後に合流したのが品種改良の為の研究施設。
確かに研究室責任者名に斎藤丈の名前が幾つもあり、山本の報告と違っていたのは豚の品種改良とクローン豚についての研究資料やDNA細胞移植に関する研究は間違いなくここで行われていた筈だ。
そのタイミングで三芳の携帯電話にメールが届いた。
山本の経歴情報だった。
三芳は自分の目を疑った。
「ちょっとみせろ!」と携帯電話を奪い取ると声を出し読み始めた!
「山本隆士40歳。本庁公安部に移動する前の経歴部分に事故情報が記載されていた。
移動前は茨城県警刑事課の課長として15年間、優秀な検挙率で何度も表彰を受けている。本庁へ移動の話は前からあったそうだが、ただし本人にとってどうしても決着を付けたい未解決の事件を追っていた様で出世のチャンスを断り続けていた。」
「3年前に捜索中の車両事故で車は崖から落ち炎上し、頭蓋骨の骨折や顔の骨も砕け熱傷により皮膚も傷付き瀕死の重傷を負い2年間眠り続けていたらしい。ある日、奇跡的に目を覚まし1年間のリハビリと全身の移植と整形の手術を繰り返した。」
「その結果、元の顔が分からないくらい別人として生まれ変わり昨年5月に現場復帰となった。」
「この写真を見てみろ!事故に遭う前、当時の顔写真。」
「誰だこいつ!今の顔と全然違うじゃねぇ〜か!」
「本人の希望とある人物の推薦で本庁公安部の後方支援部隊に着任した。そして、ある人物と言うのが早田警視総監だろう!」
「そう言う事か!その事故って、現場は何処か書いてないか!あと… 最後まで追っていた未解決の事件、この2つに関しては調べられていないのか?三芳!三芳警視正!」
「今井さん!本庁のデータベースにはここまでだと思います。あとは茨城県警の公安課に親しい人がいるから確認はとれます。」
「それじゃ!頼みます!」「その間に最後のこの部屋!本当に何も無いのかだ!今井!床と天井には何も怪しい所は無いよな!」
「町野!隠し扉が無いかだが、この部屋にそんな大きな物を隠せる場所があるとしたら・・・!」
「今井!あそこだけだな!」と部屋の左奥にある天井の高さまである書類収納のスチールの書庫に向かった。
正面の扉を開き中を調べて見たが普通のロッカーと変わらない!
横にあるテーブルを移動させて右側にスライドして見たがびくともしない!
「町野!ここじゃないんじゃないか?」
「やっぱり、何もないって事か!」
「先輩!早くしないと村営住宅側の捜索が終わると山本班と山川班からも連絡が入っているです。もっと細かく事件に繋がる情報を探す様に指示を出しましたが時間の問題です。」「分かった。三芳は一旦戻って、B棟捜索を指示しろ!今井も疑われない様に一旦戻れ!」
「お前はどうするんだ!」
「もう少しだけ調べて何もなければ帰るよ!」
「じゃあ、すぐ戻るから1人で動くな!」「分かってるよ!」
「先輩!気を付けて!」
「ああっ!」と2人は装甲車のある部隊本部へ戻って行った。
町野は「また1人になったな!」と独り言を言うと壁にあるスイッチボックスの蓋を開け窓の自動シャッターを少しだけ開け表を覗いた。少し落ち着いたので右手の感覚だけでスイッチを下げた!「ジィーッ!」と音はするがシャッターは下がって来ない!手元を見ると同じ様なボタンが2つ並んでいて奥の方の下矢印を押していた。
「そうか!」と手前の下向きの矢印ボタンを押すとシャッターは下がり始めた。
「さぁてと!見落としがないか、さっきの部屋をもう一度…。」で立ち止まった。
慌てて戻って、改めてスイッチボックスを開け不思議に思った。
不自然に並ぶ上下の矢印!ロッカーの扉を開き、右側の上向き矢印を押した。
「ジィーッ!」と言う音と共に棚が上がり始めた。「やっぱり地下への入口は存在した。ここから先に何が隠されているかだ!… では行ってみますか!」と相変わらず独り言を言うと「じゃあ、すぐ戻るから1人で動くな!」
「先輩!気を付けて!」と2人の言葉を思い出していた。
2017年7月21日13時00分
その頃村営住宅前ではB棟の捜索を終えた山本班、山川班、今井班も集合し各部屋の報告が行われていた!
そこに茨城県警の公安課の酒井から確認を頼んでいた「事故現場が何処か!最後まで追っていた未解決の事件!」この2つに関しての情報が掴めたらしい。
「山川警視!報告中にすいません。少しだけ中断して下さい。大切な連絡が入りました。」と言う装甲車の中へ入って行った三芳を警戒心をあらわにし擬視する者が2人いた。
1人は山本警部でもう1人が・・・ 。
「三芳です。お待たせしました。調べて頂いた件ですね!」
「事故現場は茨城県ではなく、山梨県富士吉田市の国道でダンプカーとの接触で崖から転落。そのダンプカーは前田土建所属の大野俊夫(71)の運転。道路交通法違反の罪で逮捕されている。もう一つは茨城県の行方不明者事件を追っていた様だ!最初の行方不明者は18年前の23歳男性が始まりだった。その後は時期はずれるが、未成年の高校生男女合わせて5人と中学生が3名の行方が不明となっていた。3年後、その内の女性1名は甲府市内の飲食店にて保護された。その娘も記憶障害と心神喪失でその後、精神科での治療を続けているらしい。いずれの子供達も東京で行われていたあるゲーム会社のイベントに参加すると出掛けたまま行方が分からなくなっている。この事件にそのゲームを開発プログラムした人間が山梨の鳴沢村周辺で生活していると販売会社関係者から情報が入っていたらしい。」
「それで山梨に行って事故にあったと言う事なのね!」
「噂だが、その場所に誘導されて罠に掛かったんじゃないかとも言われていた!」
「事故の後、山本さんに会った事がある人はいましたか?」
「怪我がケガだけに顔を失い生死を彷徨う様な状況で会って話した者はいない様です。」「そうですか!今はその事を知る人がいない中、元気を取り戻し本庁で勤務しています。ちょっと背が大きいからいつも私の目線に入るのがイラッとくるけど!」
「そうですか!元気にやってますか!それにしても三芳警視正もおふざけになる事があるんですね!」
不思議そうな顔をして!「何の事ですか!」「えっ!今言ったじゃありませんか!山本が長身だって!」
「エッ!…だって180cmはあるでしょ!」「冗談はよして下さいよ!三芳警視正は身長どれ位ありますか?」
「157cmですけど!」
「でしたら、ヒールを履けば同じ位の筈ですよ!」
「酒井さん!山本警部の写真、出来たら背丈が分かる物を送って下さい!」
装甲車から出て戻って来た三芳警視正に今井が近付き「何か分かったのか!」
「ええ!後で話します。」と早速みんなを集め改めてA棟の捜索指示を出した。
「おっせぇ〜なぁ!もう、待てない!1人で行くぞ!」
「ガチャン!」とドアが開いた!
「待たせたな!町野!」
「やっと来たかよ!」
「すいません!先輩!」と言った後、2人共一瞬言葉が止まった。
「お前らが勝手に動くなって言うから随分と待ったよ!」
「やっぱり地下への入口はあったのか!町野!」
「ああっ!ただし、この先に何があるかは分からない!」
「どうする三芳!お前の考えは?」
少しだけ考えて「・・・ ここに1人で残した方がいいと思う。そして2人が地下を操作する。電波が通じる範囲で連絡は携帯電話で行う。そしてここに残り警備するのは私!」 今井が振り向き「三芳!俺がここに残る!… その方が複数の敵が来た時には戦闘能力は俺の方が上だ!どうでしょうか?三芳警視正!」
町野も三芳に向かって「このミッションの指揮官!決めるのはお前だ!」
「地下施設操作とクローン生産の証拠を見つけ出します。時間は今から70分!時計を合わせて!15時00分 丁度にここへ集合です。」「了解だ!」
「あと山本警部の情報が入りました。やはり先輩の読み通り別人です。敵側の侵入者と思って間違いないと思います。山川にだけは伝えて監視体制を敷いて来ました。」
「分かった!では、後程!」と今井と別れ、地下へ向かう通路を歩き始めた。中に入ると灘らかなスロープになっていて10m程でエレベーターのある空間に出た。
荷物様なのか大型のエレベーターが1基稼働している。
「お前はここで待て!罠かどうかを確かめる!さっきのスロープにはカメラとセンサーが幾つか埋め込まれていた。」
「そうでしたね!4箇所も!」
「先輩!問題なければ、携帯ワン切りして下さい!」
「了解!」と1人乗り込んで下へのボタンを押した。
「チィンッ!」と到着音と共に扉が開いた。エレベーターの右側ボタン側にわざと靴のつま先だけ出して見せていた。
人影が近付いて来るのが見えていた。
立ち止り靴が見つかった様だ。
銃を構える姿勢で左側に回り込むつもりなんだろう。
ゆっくりと近付き靴だけを見て手を伸ばして来た。
天井部分に張り付き捕まっていた町野はその手に飛び付き引きずり込み後方へ回りバックをとった瞬間、エレベーター内に銃声が鳴り響いた。
「あっぶねぇ〜なぁ〜!もう1人居るなら居るって言えよ!」と捕まえた男の頭を叩いた。
「ハイッ!」
「腕をカスらせただけだ!軽傷だ!お前のはいい銃だな!」
「・・・!」
「返事がない!」と震える手から銃を取り上げた。
立ち上がらせて胸ぐらを掴み足を負傷した仲間のところまで歩かせた。
途中、倒れた男が持っていた銃を拾いセーフティーロックを掛けて腰の後側に差し込んだ。
「三芳に連絡するか!何かワン切りって言ってたな!ま・み・み・三芳・三芳葵!あった!」
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