第26話 加速するバイク!警察隊突入と再登場‼
「公平!気を付けて行け!怒りは冷静さを失わさせ身を滅ぼす!」
公平は黙って頷き外へ出ると表にいた公安部の警官に後を頼み、ヘルメットをかぶりグローブをするとキーを回しあの場所へ向かった。
木漏れ陽が差し込む湖畔路を走りながらCBRのエンジン音が冷静さを取り戻させてくれていた。
サイドミラーに後方からダンプカーが近付いて来てスピードを上げて煽って来た!
「佐野組!前田のところのダンプか!」
前方から大型のトレーラーが走って来る!
嫌な予感がした!少し開けていたヘルメットのシールドをシッカリと閉めて、フルスロットルで回転数を9,000に上げREVを効かせ300m直前にトレーラーの正面へ出た!
スピードを緩めず突っ込んで来るトレーラーに対してパッシングした。
左車線へラインを変え予想通り道を塞ぐかの様に背丈程あるタイヤを左に切替すのを直前で躱し、右のレールにマフラーを擦り付け火花を散らしながら擦り抜けた。
そのままダンプと衝突したのだろう
「ダゥァ〜ン!ブゥッブゥッー!ドッカァ〜ン!」と爆発音と黒い煙が上がった。
テールライトが赤く輝き一旦、バイクを停めた!
県警に事故の連絡を入れ、またアクセルを回し走り出した。
周囲は公安部と警備部が固め包囲しSATが突入準備を整えていた。
指揮を取るのは三芳警視正の部下で今井と同期の山川警視がその場を管理していた。
村営住宅は裏側に大量の桃とぶどう畑が広まっている。
その先には「村営農業畜産研究センター」があり牧草地のフェンスに囲われた山まで続く施設内に幾つかの建物がある。
その施設の中の1つに神藤雅之と加藤伸一が遺伝子操作で造られ産まれたクローン人間の製造工場が隠されている。
DNAゲノム、IPS細胞、遺伝子操作で現に豚舎ではアグー豚、イベリコ豚、三元豚、クイーンポーク、ゴールデンポークなどを越える遺伝子組み換えによる品種改良新種を生産し始めていた。
「そこにジョーカーがいる。俺の良く知っている男だと思う!…だとしたら、またここにも1人組織にコントロールされ悪魔に魂を握られている者を倒さなければならない!だから、俺が闘わなければならないんだ!」
このミッションに総勢30名が終結した。山川警視が前に出て話し始めた。
「これから4チームに分かれて施設内の捜索に向かう!…三芳警視正はこの何処かにいる筈だ!各施設には何が仕掛けられているか分からない!十分に注意を図ってくれ!念の為、後方周囲4カ所に射撃手を配置し、4チーム目は待機して後方支援と周囲監視だ。最後に一般人と外国人労働者に被害が及ぶ事がない様に!山本班は施設Cへ!」
「了解しました!」
「頼むぞ!」
「今井班は施設Bへ!」
「了解だ!」
「宜しく!」
「山川班は施設Aに向かう!」
「ハイ!」
「全員、無事に戻る!迷ったら止まれ !誰1人として死なす訳にはいかない!」
渇いた路面と疾風と共に斜面とストレートを加速させ、左右のワインディングをコーナリングして、上下の起伏はジェットコースターの様に身体とバイクを一体にしてツーリングコースをCBRと共に駆け抜けると左右に広がる森林風景が鳴沢村と西湖の入口を示す場所が前方に見えて来た!
左側から何かが飛び出して来たのを急ブレーキと急ハンドルで躱し転倒した。
自転車で飛び出して来た女性もビックリして転んでいた。
「… 大丈夫ですか!」と近寄ると細身で長い髪を後ろでまとめジーンズに長袖のネルシャツを腕まくりした綺麗な若い女性が座り込み「ごめんなさい。急いでいたので!」と足を引きずりながら立ち上がった。
「何処か痛いところはありませんか?」と聞くと …「右足首を捻ってしまったみたいです。でも大丈夫、1人で歩けますから!」
「どこまで行く予定だったんですか?」
自転車のカゴから落ちたカバンを拾いながら 「保育所から電話で娘が熱を出して病院へ運ばれたと連絡が入って、焦っちゃいました。」
「その足じゃ大変だから送りますよ!」
「大丈夫ですから!それよりも、あなたも急いでいるんじゃないですか!」
「村営の総合病院ですよね!」
「はい!」
「同じ方へ向かう途中でしたので乗って下さい!一緒に行きましょう!」
「ありがとうございます。でも私、オートバイなんて乗った事なくて!」
「大丈夫ですよ!安全運転で行きますから!」
「では、お言葉に甘えさせて貰っていいですか?」
「勿論です。」と言うとバイクを起こしてセカンドシートのステップを下げ、先にシートに座り「シートを跨いで!ステップに足を掛け!内腿で挟んで!シッカリと腰を掴んで下さい!」
後ろを見ると自分の腰に手を当てて掴んでいた。
「あの〜!何やってんの!俺の腰に捕まるの!そうだ!」と振り返りヘルメットを被せた。
「シッカリと掴まって!」と言うと細い両腕を命一杯伸ばしギュゥーッと掴んで来て、ヘルメットが当たり少し痛いのと柔らかで心地良いのを我慢して走り出した。
走り出して5分位で通行止の赤い三角ポールと黄色と黒の帯のバリケード版と縦型の赤白の進入禁止パネルが置かれ、奥に1人で大柄の男が仁王立ちで誘導灯を振っていた。
伏せ目がちに黄色いヘルメットとマスクをしていた。
「すいません!この先で工事でもしてるんですか?」と聞いても反応がなく「黙ってるんなら通りますよ!」と言うと誘導灯を横に伸ばし道を塞いだ!
誘導灯が震えだし「クックックックッ!」と笑い出した!
「何がおかしいんだよ!」とアクセルを吹かしギヤをロウに落としアクセルを回した。「ヴワァン!キュルキュル!ヴワァンキュルキュル!ヴワァン!キュルキュル!」と前に進まない。
「お前ぇ!」と見上げた顔には化粧されたピエロの様な目にマスクからはみ出る赤い線が耳まで伸びていた。
その男は片手で400CCのCBRのパワーを抑え止めていた。
ヘルメットを外しマスクを取ると「キャ〜!」と後ろに乗っていた女性が奇声を上げた。
「待ってたよ!鈴木一郎さん!」
「… やっぱりそうか!」
「待ってたよ!スーさん!鈴木一郎さん!」「やっぱりそうか!斎藤さん!いや、斎藤丈!あんたがジョーカーって訳か!」
後ろに乗っていた女にも聞こえていた。
「斎藤丈?」
「あれから再会まで随分と掛かったな!沖縄まで送って行ってやったのも俺だから!」「あんたの事も少し調べたよ!」と言いながらバイクのKEYをオフにしエンジンを止めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます