第22話 姉貴の登場!名医現る‼
今朝、車を停めた所に「白美社」と書いてある新しいトラックが停まっていた。
運転席のドアを開け乗り込んだ。
鍵がついていない!こう言う時は対外サンバイザー部分に差し込んである。
案の定、鍵はそこにあった。
「ヒロシもジャイも相変わらず単純な奴だな!
これじゃあ、盗んで下さいと言わんばかりだよ!」と言いながらキーを回した。
するとナビゲーションシステムから音楽が流れ出し、音声が流れ始めた。
「マチノコウヘイ?YES or NO!」
画面にタッチをした。
続いて「パスワードを入力して下さい!
Please Enter The Pasword!〇〇〇〇〇〇」
「誰がセットしたんだよ!めんどくせぇー!」町野は何かを見つけた!
「何だよ!これ!知らね〜よパスワードなんて!」
「ヒントくれよ!」
「ヒントを出します。
Let me give you a hint ! アルファベットで6文字のあなたの大切なものです。」
「ウゥ……オメガの時計OMEGA ○1つ余る!時計!WATCH ○ も合わない!
後はバイクか?CBR400ピッタリだ!」
「BOOH!!Fが抜けている。それでも答えが違っています。
セカンドヒントを出します。
Let me give you a 2nd hint !
あなたの大切な人です。」
「え〜とっ!かーちゃんか?YUKI ○○ ふたつ余る!…」
町野は黙って画面をタッチしOKを押した!
MOMOKO!するとサイドのパネルが動き出した。
「最初っから素直に考えれば、簡単な答えだ!」と言うと後ろを振り返り…
「いつまで隠れてるんだ!ピー!…コードが見えてたよ!」
カーテンを開け顔を出した。
「つまんないの!3時間も待たされて!」
「ピー!後でお前に紹介したいのがいる。
その前にケガ人を病院に連れて行かなきゃならない。」
「この人数じゃ息苦しいけど少しの我慢だ!階段が出せる筈だ!
ピー!パネル表示を見て階段を出してくれ!」
「相変わらず、人使い荒いんだから!」
「何か言ったか?」
「何でもない!あっ!ハイッ!あったから押すよ!」
「ウィーン・ウィーン・・・」と床が伸びて来て、伸び切った所で下がり出した。
「京!お前達から入れ!次は仁志!
洋平は蘭を座らせたら姉ちゃんを運ぶの手伝え!運転席の後ろに寝かせる!」
助手席の椅子を前に倒し
「俺が抱えて入るから、洋平は足を持て!」
「おう!洋平!大丈夫か?」と桃子が言うと…
「大丈夫だよ!姉ちゃん!」
「ん… ?」
「ガァン!痛てぇ・・・」と天井のスイッチパネルに頭をぶつけた。
その音で「うるさいな!静かにしてよ!」と目を開けると目の前には良く知らないオヤジの顔があった。
そして脇を抱えられている。
「ギィヤァ〜!嫌ぁ〜ッ!」と暴れ出した。
「姉ちゃん !姉ちゃん!シッカリしろよ!」と足を叩いた!
「洋平・・・!誰なんだ!こいつら!」
「さっきも言ったよな!父さんと助けに来たって!」
運転席から振り返りキミカを見つめながら「香織に良く似て来たな!記憶を失くされてお前が産まれて3ヶ月しか一緒に居られなかった!」
桃子も驚きと激しい怒りで続けた。
「オヤジ!このクソ親父!どう言う事だ!」
「ピー!そう言う事だ!2人とも!お前らの姉ちゃんだ!宜しくな!
恭子と別れていた間の事だ!
母さんはお前が産まれた事も再び出会うまでは知らせてくれなかったんだ!」
2人同時「ふ・ふざけんな!な!」
「息が合っちゃうんだ!血の繋がりは恐ろしい!」
スロープを戻し後ろのサイドフェンスを閉めた。
普段通りに警備室の守衛さんに挨拶をして門が開いた!
「このまま病院へ向かう!口の固い医者がいる所がある。」
「モモ!もう一つだ!お前に合わせたい人がいる!」
「もうこれ以上ビックリさせんなよ!」
「そうだな!」と息を飲み、顔をそらせた!
「どうした!オヤジ!」
「あのな!恭子が!お母さんが生きてたんだよ!桃子!」
「えっ!」何も言えずに頬をつたう涙が溢れ出していた。
「俺と同じ様に長い間あいつらにマインドコントロールされて、記憶を操作されていたがそれも、もう解けた!」
「お母さん!何処にいるの!」
「向こうの地下施設で最後の仕事をしてくれている!」
「何言ってるの!早く迎えに行かなくちゃ!」
「後2日だけ!藤井と龍が守ってくれる!」
「ダメだよ!私もお母さんのところへ行く!」と走り出した桃子の腕を掴み、引き戻し泣き叫ぶ桃子を抱きしめた。
「もう大丈夫だ!もう直ぐ母さんに会えるから!大丈夫だ!」
「ヒロシとジャイも控えている!浜田興業は今井が動きを止めてくれる。
あの国の大使館も、だから「J・Q・K」も出て来ない!
三芳が抑えているからな!
後はインターポールの2人!
あいつらがシャドーだろう!
この要塞を警備し探っている。
だから恭子は大丈夫だ!」
何か言いたげに「ん・・・ !」と口を噤んだ!
「洋平!あれを見せてやってくれ!」とスマホを取り出し桃子に渡した。
動画が流れ出した。
「桃子!…ごめんね!… 小さい桃子を置いて…突然いなくなって!
お父さんと2人で… 寂しい想いをさせたと思う。・・・
もう大分大きくなったでしょうね… !
事情があって長い間、連絡も出来なかったの!
後少し ・・・で会えるから・・・待ってて!」
涙を流しながら話し掛ける母親の姿が薄ぼけて来て、スマホの画面にも大粒の涙がこぼれ落ちていた。
後部席で「これどうぞ。」とキミカが桃子にハンカチを手渡した。
しばらく車を走らせた!真っ青に光り輝き、風にそそがれた波が銀白に輝き眩しい光景を暫く見ながら山中湖の湖畔に到着した。
「久々に来たから先ず様子を見てくるか!
ワタル大丈夫か!」
「大丈夫だ!」
「錯!乱!… ?お前ら双子だったよな!…
だからか!」
「ああっ!」
「双子のサク・ラン・坊か!」
「悪かったな!くだらなくて!」
「キラーズもダジャレか?」
「ああっ!」
「そうか!分かった!ワァッ!ハァッ!ハァッ!」
「ピンクの糸→ピンクイト→ピンキーとキラーズ(1970年代日本歌手)か!」他の皆はポケーッとし「誰の事!… 」
若者達には聞き覚えがないのが当たり前田のクラッカー!
そこから見える一軒家に着くと
「誰の事!… 」と仁志が始めると
「お化けが出るんじゃねぇか!」
「ここじゃない!」とケガ人3人をおいて森に入り、黙って歩く事10分でわりと大きな丸太で作られたログハウス調の古い家があった。
京と洋平は走って木製の階段を飛び越えドアまでたどり着いた!
仁志も遅れて階段を登った所で「ベキッ!」と板を踏み抜いた。
振り返り、躓いて転んだ仁志を見て笑っていると「ギィーッ!」と音を立てドアが開き、恐ろしい顔をした毛むくじゃらが金槌を振り上げて襲いかかって来た!
「誰ぇじゃ〜!」と暗がりから声がした。
「わぁ〜!やっぱり出たぁ〜!バケモノだぁ〜!」
「何処にバケモノがいるんじゃ!」と白衣を着て聴診器を首に下げ白髪頭に白髪髭の老人が出て来た!
「おぉ!珍しい男が現れたもんじゃ!
お前が来るときゃ必ず災いを持ち込む!
クワバラクワバラ!」と祈り出した。
一点を見つめて「やっぱりジャ!誰か怪我せんかったか…?だから金槌と板を取って来たんじゃよ!」
様子を伺っていた京と洋平も近付いて来て「ビックリさせんなよ!ジジイ!」と京が言うと金槌で殴りかかって来て、それをすり抜けて反射的に京の上段蹴りが後頭部に突き刺さった!
と思ったが腰を曲げ仁志が踏み抜いた床に板を置き、釘で打ち付け始めた!
空振りだ!
「ドァン!ドァン!ドァン!」後ろにいた洋平と町野だけはそれを見ていた!
「京さん!ムカデだよ。20cm近くはあったオオムカデ!」
「そんなの何処にいるんだよ!お前まで俺を脅かすのか!」
「お爺さん、凄いよ!身体に触れずに奥まで飛ばした。」
「誰がお爺さんじゃ!ドクターと呼べ!
わしゃ、無駄な殺生はせん!
自然に生かされちょる事を忘れてはならん!」
「公平!3人のケガ人を早く連れて来なさい!」
「何故3人って分かるんですか?」と洋平が言うと
「お前らからそれぞれ3人の違った血の匂いがしたんじゃよ!」
「何者なんだよ!先生!」
「俺の爺ちゃんだ!洋平!お前の曾祖父さんだよ!」
薪を運ぶリアカーを借りて3人を乗せ病室に移動した。
ワタルの体を貫通したボーガンの矢じりを町野達にカネノコで切断させ、その間に肝臓付近に突き刺さったナイフを横から作の背中を切開し患部の止血処理を行い閉鎖した。
「・・・これは誰が投げ付けたんじゃ!
右肩の軟骨部分をギリギリを貫通し、腹部も臓器を避けて肋骨の下を通した!
やり投げの選手でもこんな芸当は出来ない!」と言いながら同じ様に矢じりを切らせた。
1時間足らずで3人の治療は終わった。
「曾祖父さんって、幾つになるんだろうね!」と小さな声で桃子がキミカに耳打ちすると
「わしは95 (歳)になる。もうロウソクの火も消えかけとる。」
「聞こえちゃった!」と舌をだした。
「こんな大きな、ひ孫を3人纏めて目にする事が出来るとは思いも寄らなかった。
訂正するよ!
公平 !お前が来る時は必ず災いを持ち込むだけではなく、たまにはいい事もある。
ハァッ!ハァッ!ハァッ!」と町野と同じ笑い声を上げた。
「あぁ ・・・ あとは2〜3日動かなければ大丈夫だ!」
「公平!その間に済ませて来い!ここは大丈夫だ!」
「仁志!念の為にここに残ってガードしていてくれ!
桃子はキミカを連れてブルーの店で降ろす!2日間だけ囲まって貰う!
こっちが終わったら直ぐに迎えに行く!
その後一緒にお母さんを迎えに行こう!」
全員が黙って頷いた。
「それじゃあ、爺ちゃん!後は宜しく!」と言う公平の小さかった頃の姿が爺さんが目を閉じると浮かんで来ていた。
ただただ頷いて見送った。
車に戻ると人の気配を感じた。
地面には明らかに別な3人の靴跡が残っていた。
ジッポのライターをポケットから落とした 。
表面を反射鏡にしてそれを拾う振りをして車の下を確認した。
2つ異物が取り付けられていた。
「皆、まだ乗るな!・・・普通にしながら聞いてくれ!
車に爆弾がしかけられている!
何処からか見張られている!
ピーはキミカを連れて爺ちゃんの所へ戻れ!
いや少し離れた所で30分隠れていろ!
笑って手を触れ!さあ、行くんだ!」
戻って行く2人を見送り手を振った。
「洋平!京!隠れんぼするぞ!」
何か、考えがあるんだろうと左目をつぶり、ジャンケンを始めた!
負けたのは洋平だ!
「100数えてから開始だ!1・2・3・・・」とかぞえだした。
「京、下を見ろ!足跡が分かるだろ!これを追って進む!」
「了解!」と30m離れた前方20m先で人影が見えた。2人共、茂みに体を隠した。
「98・99・100 ・・・もういいかい?」
「もういいよ!」
その声の方向で洋平が向かって来る!
町野と京はそれぞれ近くに落ちている木の枝で土を掘って先に見つかれ!と京にサインを出した。
時計を見ながら町野も見つかり鬼は京と交代した!
町野はさっき自分が隠れていた場所に洋平をしゃがまさせ、自分は京のいた場所へ隠れまた穴を掘った。
また早目に2人は見つかり、今度は町野が鬼の番だ!
「今までより5m下がって隠れろ!あと、100数えた後の時間を稼げ!爆弾を外す!」
時計を見る。残り時間8分で2人が戻ってくる。
「1・2・3・・・」
車の下に潜りテープで止めてある爆弾を外そうとした!
1本のコードがもう片方の爆弾に繋がっていた!
これが抜けると両方とも爆発する仕掛けか!
外す事に集中して数えるのを忘れて…
「92・93・94・・・」
「あいつら!97・98・99・100もういいかい!」
「まあだだよ!」
車の下から抜け出し「100もういいかい!」
「まあだだよ!」
「100(ひゃーく!)もういいかい!」
「もういいよ〜!」時計を見た。
残り3分 !小走りで30m進み左側の茂み裏の穴に爆弾を埋め、コードが抜けない様にもう片方も隣の茂みの穴に埋めて隠し、更にコードを落ち葉で隠した。
「洋平!…京見つけた!」と立て続きに見つけて「そろそろ時間だ!車に戻るぞ!」と言い走り出した。
丁度、桃子とキミカが戻って来ていた。
そのままエンジンを掛け湖畔へ向かう道路を走り始めた!
「ドッカ〜ン!ドッカ〜ン!」という爆発音とサイドミラー越しに真っ黒い煙が後ろの森の中から広まって見えた!
ブレーキを掛けUターンで森へ戻った!
「京!洋平!
2人だけ降りて車に近付く奴がいないかみはれ!
ピー達はこのまま車に残れ!」
町野だけが爆発現場へ向かった。
左前方に1人倒れている。
「大丈夫か?」と声をかけるが意識はない!
息はしている!爆弾を埋めた場所に近い右前方にもう1人
「おい!分かるか?」目を開けて手を伸ばし
「助けて・・・助けて・・・」と意識がある。
さっきの奴がコードに足を掛けたんだろう!
先に洋平を呼び爺ちゃんを呼びに行かせた!
3人目はと先を見ると人影が見えた!
追いかけると足を痛めている様だ!
「無理するな!
前に倒れていた2人は今頃手当を受けているはずだ!
あんたもケガしているんだろ!
今頃、東京の事務所にも警視庁本部が令状をもって捜査に入っている!
どっち道あんたらの戻る所などないよ!
それこそ、破門した若造が勝手にやった事としてトカゲのしっぽ切りって所だろう!」
「出まかせ言うなよ!
お前らはうちの島を荒らし!
ヤクを横流しする前田の所の高野だろ!」
「指定暴力団浜田会直径遠藤組若頭!
田嶋竜司の命令か!」
「Mr・リバーシブル!とはあいつの事だ!あっちの組からこっちの組渡りに渡って!」
「兄貴が何だって言うんだ!」
「お前もヤクで脳がいかれてるのか?
リバーシブルの服はどう着るんだよ!」
「ひっくり返して!」
「近い!違う言い方で!」
「反対にする!」
「違う!バカ!遠ざかったぁ〜!」
「もういいよ!俺達は前田の人間じゃない!奪われた娘と母親、家族を取り戻しに来ただけだ!さっき見たろ!一緒にいたのはまだ10代の子供達だ!」
仁志と洋平がさっきのリヤカーを引っ張って来た!
「こっちだ!こっちにもう1人いる!」と手を上げた!
「銃を渡してくれ!
もう分かったんだろ!
俺達が敵ではない事を!
出なけりゃ、さっき撃つチャンスは何回もあった!
子供達が来る前に…」と手をだした。
「さぁ、黙って乗れ!名医がいる!」
「さっきのリバーシブルって、何の事だ!」
「後で教えてやる!まずは治療だ!」とまた3人が運ばれて来ると
「公平!やっぱりお前は災いを運んで来る奴だ!もうベッドは無いからな!雑魚寝だ!」
「1人目は大分飛ばされたんだろう!
身体中に骨折やヒビがはいっている。
肺に刺さった肋骨は切除した!」
「2人目は頭を打った様だが内部の出血はなさそうだが念の為に、CTをとった方がいい!あんたが1番大変だ!
右足が動かせないのは背中に刺さった破片が脊髄を傷つけている!
移動は神経を余計に痛める!
ここで手術をするしかない!血液型は?」
「ダメだ!RHマイナスのAB型だから!」
「無理だ!公平!輸血が出来ない!」
「爺ちゃん!こいつの血液は他の人とは異なった血液型で、見てみてくれないか!」
「どういう事だ!公平!」
「自分の目で調べてくれ!爺ちゃん!」
洋平の左の腕を掴みアルコール消毒をして「それじゃ…洋平!少しだけチクッとするよ!」
注射器を持ったまま、その血液を持って隣の検査室に入って行った。
しばらくすると難しい顔をして戻って来た。
「・・・なんなんじゃ!これは!」
「Rh ナロ?ノロ?みたいな特殊な血液らしい!」
…つまりはあらゆる血液に対して陰性な血液。
非常に珍しく医学的に非常に重要な血液である。
「Rh null」を持つ人は、世界中で43人確認されて、完全なる突然変異により出現したもので、あらゆる血液型の患者に対して輸血可能な「Rh null」の血液は「黄金の血」と言われている。
「ワシも95年間生きていて見るのも始めてじゃ!
体の大きさから1200CCが限界じゃ!」
「お祖父ちゃん、遠慮はいらないよ!
必要なだけ取っていいから!」
「やはり、公平の子じゃ!よう似ちょる!お前の貴重な血は400CCだけ貰う!
後はワシの血を400CCで間に合うじゃろ!」
「爺ちゃんの血液型は何?」
「RHマイナスのAB型じゃよ!・・今日の治療費はちょいと高こう付くがな!」
3人は3つのベッドに並び爺ちゃんが話しだした。
「お前達は公平やあの子供達をあの爆弾で吹っ飛ばすつもりじゃったのか!」
「ああ!組織に騙されていた!利用されただけだった!」
「あの手のプラスチック100爆弾は破壊力が普通に直下爆発すれば全員体がバラバラになりワシの手にもおえなかったじゃろう!
公平は破壊力を抑える為にあえて穴を掘り土に埋めたんじゃろう!
だから爆発に巻き込まれても3人ともこの程度で済んだんじゃ!」
町野は爆発音と煙で駆けつけて来た警察への説明に向かった!
陽が暮れる頃まで現場説明は続きバーベキュー用のカセットボンベを間違えてゴミと一緒に燃やしてしまったと言う事で話を収めたらしい。
無事に手術も終わり、1人で暮らす割には倉庫に食料や飲み物は保存があったので、桃子がシチューを作り、釜戸で米を炊いた。
食事を終えると皆さすがに疲労困憊で倒れる様に寝てしまった。
今夜は本当に雑魚寝で過ごす事になった。
それでも町野だけは車を森の外れに移動しそこで眠り警戒を解かなかった。
2017年5月10日
「トントン!」目を覚ますと洋平が立っていた。
「あれから1人で何処へ行ったかと思ってついて行こうと思ったら桃姉が「そっとしておいて!周りの人に疲労した姿を見せたくない人だから!あれでもプライド高いの!富士山よりもずっと!」って言うから、俺も車が気になっていたからあんたもそうかなと思って!」
「ピーの奴!生意気言いやがって!」
「これ!朝ご飯!姉ちゃん達2人で作ったサンドイッチ!あと水。
もうすぐに出発する?」
「準備は出来ているか!京さんはまだ寝てるけど!」
「寝かせておこうか!姉さん達2人を呼んで来てくれ!」
「分かった!」と走って行った。
サンドイッチにかぶり付きながら「ガリッ!殻が歯茎に刺さった!」
あいつをこの付近に残して行くとまた奴らに狙われる可能性がある!だから自分と一緒に行動させていれば守ってやれる。
娘達もそうだ!洋平が誰かをおぶって来た!
「寝かせとけって言っただろ!」
「だって、昨日の夜しつこく「明日必ず起こせ!置いて行ったら殺すからな!」と何回も念押されたんだから!」
「こいつも大分疲れているから!
荷台で寝かせておくか!」
「テーブルの上にサンドイッチ、皆の分も作って置いて来た。」
「ピー!さっき洋平がもって来てくれたサンドイッチ食ったよ!美味かったよ!」
キミカの顔をチラ見して桃子が言った。
「気味が悪い!今までそんな事聞いた事がない!」
「そんな事はない!タマゴサンドの塩分がいつもと違ってとても丁度良かった。」と言うとキミカを見た
「お父さ・・・」
「あれは俺が作ったんだ!」
「はぁ〜っ!」と町野が振り返ると!
「あれは俺が作ったんだ!」と洋平が話し出し…
「ん!やっぱりそうか!俺の口に合う、とても雑な塩加減でオマケにタマゴの殻が歯茎に刺さって!」
「ゴメンなさい!タマゴの殻を剥いたのは私です。」とキミカが顔を真っ赤にして言うと
「殻が歯茎にささって、も痛くな〜い!
カルシウム不足だったから丁度良かった!
骨粗鬆症気味だからな〜!」と嘘ぶると、
呆れ顔で桃子が「今度からまるごと入れてやるからな!ジジイ!」
中央高速に乗り東京を目指した。
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