第20話 次の刺客!更なる闘いへ‼

 拳法を使う様に蛇拳の構え、鷲拳の構え、虎拳の構え、龍拳の構えで囲まれた。


一歩前に出た公平は一番左の蛇を手招きし左の中指でおびき出した。


蛇は2首の鋭い牙で噛み付いてくる。


それをすり抜けながら首裏の延髄に肘を減りコマした。


バタンと前に倒れ、鷲と虎が前に出て来た!


「こっちだ!」と言うと鷲をめがけて突進して来たサイが低く突き刺し後方に跳ね上げた!


虎へは熊が掴み掛かり爪を立て襲い掛かる虎の腕を掴み投げ飛ばした!


「京!仁志!お前らか?」


「待ってましたよ!先生!」


「3人目はお任せしますよ!コーチ!」と言うと起き上がって来た鷲と虎の攻撃を迎え打った!


「洋平!お前はここで待ってろ!直ぐに終わる。」


鷲拳は京のタックルを跳び箱を飛ぶ様にかわし、京の頭と背中に爪を立て攻撃していた。


「京!タックルは低く脇を閉めてスピードだ!」


逃げる脚に掴み掛かり変形の水車落としで地面につき刺した!


虎の拳は素早い突きと鎌の様な爪で仁志の顔や上半身へ傷を付けていた 。


「仁志!下半身をバネにして腰の回転だけで鋭く振り抜け!」


掴みかかる腕を担ぎ鋭く頭から地面に叩きつけ山嵐が決まった!


残りは龍の拳法だけか?


状態を低く構える蛇拳と違い高い頭部上で首を振る。


まずは相手の間合いに入ってどんな攻撃を繰り出すかヒット&アウェーでジャブとスウェーバックを繰り返した!


一瞬、風が吹いたと思った後、左拳と左肘の間に細い刃物で切り付けられた様な3本の線から血が滲んで来た。


次に左のローキックで膝を狙ったがわずかに交わされ、戻った脚のズボンが膝から裾にかけてボロボロになっていた。


「やっぱりか!

あいつの武器はあの脚にある!

しかもカマイタチ(鎌鼬は、日本に伝えられる妖怪が起こすとされた怪異である。

つむじ風に乗って現われて人を切りつける。これに出遭った人は刃物で切られたような鋭い傷を受けるが、痛みはなく、傷からは血も出ないともされる。

明治時代に「かまいたち」現象は、旋風の中心に出来る真空または非常な低圧により皮膚や肉が裂かれる現象という説明解釈がなされ、この知識は一見科学的であった為に近代以後、一般に広く浸透し、しばしば旋風によって物体をカッターの様に切り裂く表現が見受けられる。

しかし実際には皮膚はかなり丈夫な組織であり、人体を損傷する程の気圧差が旋風によって生じる事は物理的に考えられず、カマイタチの発生する状況で人間の皮膚以外の物(衣服や周囲の物品)が切られている様な事象も報告されていない。

これらの理由から、現在では機械的な要因によるかまいたちの伝承が雪国に多い事も、この説を裏付ける。

また、切れるという現象に限定すれば、風が巻き上げた鋭利な小石や木の葉によるものとも考えられている。)だ!」


見えないスピードで風を操る龍か!


あの高く上げた腕は構えでは無く、自分の技絡みを守る意味があったとはな!


これしかないな!


「肉を切らせて!骨を断つ!」


また剣術の構えから腕を前に風の位置に入ると指先に傷をおいながら頭と身体と脚を前方へ回転させ、龍の腕をかすめ頭部へカカトを激突させた!


骨法秘技竜巻蹴りだ!


膝からガクッと倒れこみ勝負有り!


「一発で決めただろ!

だから直ぐ終わると言ったよな!

つむじ風より竜巻だ!」


唖然として見ていた京と仁志も近づいて来て「凄いや!やっばり先生は!」


「お前らもなかなかだったな!ハッハッハ!」


「先生!龍二達はどうしてる!」


先程のいきさつを話し護衛として残して来た事を伝えた。


「3人とも!あの黄色の服を着ろ!」


1番ダメージの少ない蛇を起こし黒のフェイスガードを外した。


「誰に指示されて俺達を襲った?

答えなければクラゲの餌にでもするか!」


「分かったよ!

恵子さんだよ!

もし後を付けてくる奴がいたらここで食い止めろと!」


「お前何て名前だ!」


「立花ワタル!」


「そうか!ワタルか!お前らは誰にあの拳を教えられた。」


「李(リー)青風師範とケイン・シマダの指導で5年になる。

その前はみんな地域の空手道場にいた。」


「ワタル!何でここに来た!」


「みんな金に困っていた。

仕事も無い若者を集めて、ここで洗脳し鍛えられている。

だから普段は前田家の経営する飲み屋の用心棒が俺達の仕事だ!」


「ワタル!お前らの他にあと何人拳法を使う奴がいるんだ?」


「双子のキラーズとシャドーが2人、あとはコーチと師範、そしてジョーカー・ジャック・クイーン・キングの10人だよ!」


「何だよ!最後の方は!トランプじゃねぇーか!」


「最後の4人は実在するのかは俺たちにも分からない!

ただ道場ではその4人は忍者の被るマスク!頭巾の様な物で顔は分からないが目の色や髪の毛の色から外国人だと噂があった!

彼らが現れる時は必ず外国の大使館ナンバー2台が駐車場に停まり、人払いがされていた!

どこの大使館の車だろう!

見慣れない鳥と蛇の国旗がついていた気がする。」


「あの国か?

確かに!マスクマンが多くルチャ・リブレのレスラーが有名だ!」


「麻薬の密売や大麻の密輸が噂され、マフィアと日本の暴力団が治外法権で警察の手が出せない所で取引を行っているという事か!

そして、ここに薬を持ち込んだ浜田物産と手を組んでいるのもあの国の政府とマフィアだ!そうか!」


「町野さん!どう言う事だよ!」


「まだ、確信は出来ないがさっきの黒服2人は国際刑事警察機構(International Criminal Police Organization)のメンバーかも知れない!

(国際犯罪の防止を目的として世界各国の警察機関により組織された国際組織。日本国内では「ICPO」と呼ばれ、海外の国ではインターポール(INTERPOL)と呼ばれている。)


三好ならこの事も知っている筈だ!」


そのまま事務所へ向かった。


公平は手前で立ち止まり京を読んだ!


「京!一発殴れ!」と顔を出した。


「何で俺が先生を殴らなきゃいけないんだよ!」


「勘違いするな!

捕まえられて連れてこられた奴が一発も殴られてない!

痛い目に合ってないのはおかしいだろ!」


「分かったよ先生!じゃあ!いくよ!」


「バゥァン!」

公平は後ずさりして右膝を付いた!

顔を上げてみると顔の左側に食らった拳が鼻血と上唇を切った口からも血が噴き出していた。


「カァ〜!なかなかのパンチだ!京!」と言うと立ち上がり、付いた右膝の埃をはたいた。


「俺を倒し捕えた。と言うんだ!

いいかワタル!」


「先生!こいつは向こうの人間だぜ!

奴らの前に行ったら裏切るに決まってるだろ!」


「京!もう洗脳は解けたんだ!

ワタルはどちらが悪人か!よくわかってるよ!なぁっ!ワタル!」


「さっきから俺の事、ワタルって馴れ馴れしく呼んでるけど!

さっきまで敵だったんだぜ!

命令されてだけど襲い掛かったんだぜ!」と言うと涙を流し始めた。


「兄ぃ〜ちゃん!・・・俺はここへ兄と2人で連れて来られたんだ!

まだここに来て間もない頃だ!

奴らは兄ちゃんをスパイだ!裏切り者だ!

と痛め付け、地下牢で監禁した。

俺は何とか兄ちゃんを助け出し2人でここから逃げ出そうとした。

体の弱っていた兄ちゃんは追っ手に囲まれた中で俺だけを逃がそうと犠牲になり、銃で撃たれ奴らに殺された。

俺は山に逃げ込み通り掛かりのトラックの荷台に忍び込み甲府市内で警察に飛び込んだ!しばらくすると身元引受人とかで弁護士と保護士とやらが現れて車に乗せられ何処かの事務所へ連れていられた。

2人ともまだ未成年だった俺に

「安心して!大丈夫だから!」と言って食事を用意してくれた。

ホッとしたのか、そのまま眠ってしまった。その後の事はぼんやりとしか憶えていない!その後マインドコントロールされたんだ!」


「分かってたよ!だから首裏の延髄に肘を打ち込んだんだ!脳を震わせ瞬時に洗脳を解いたんだ!」


「京!分かったよな!」


「ああ!」新築した母屋側の玄関にまわり、インターフォンを押した!


「ハァ〜イ!」と出て来たのはお手伝いの節子さんだった。


「ワタルさん!どうしたの!」


「事務所へ繋いで、恵子さんに、予定通り捕獲しました。とだけ伝えて下さい!」


奥に入って行くと直ぐにまた戻って来て…「今日は遅いから、改めて明日の朝9時に道場で待つ様に!と伝えてって。分かる?」


「ハイ!分かりました。」と言う社務所裏の倉庫に食料が保存されていたのを思い出し取りに向かった。


そして先程の虎とワシと龍を縛り閉じ込めた祠の中へ向かい、今晩はそこで体を休める事にした。


その3人も洗脳を解く為に恐怖を体験させた!


その後に食事を取らせそれぞれに話を聞いた!


長い一日で疲れた全員が一瞬で眠りに付いた。


ボートのロープを使い念の為にドアを塞いだ!


水の流れる音だけがする静かな夜だった。


2017年5月9日


 目が覚め時計を見ると6時を指していた。


昨日の戦いで体が痛む場所があった!


年を感じながら今日これから起こる事を考えていると水路側から微かに人の声が聞こえて来た!


周りの皆を起こすと階段上のホールに移動させた。


トンネル側から明かりが見えて聞き覚えのある声がした。


「早く戻らないと和也さんにキレられるからな!ジャイ!

動くなよ!お前が動くと揺れが凄い!」


「ファイ!フイマフェン!」


「誰じゃ!我らの眠りを妨げるものは!

ここへ足を踏み入れた者は2度と生きては戻れないのだ!ハッハッハッハッ!」とボートの2人を脅かした。


耳と目を塞ぎ下を向いて震えているヒロシの肩を掴んで「お前か〜!」とやった。


「ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!・・・」とうずくまっていた。

 

「お前らな!俺様を誰だと思っている!

泣く子も黙るKOHEI-MACHINOとは俺の事だ…!な!ヒロシ」


「あれぇ …!なんですかぁ〜!

総長じゃないですか!脅かさないで下さいよ!ジャイ!大丈夫だよ!オイッ!」


「ワアァッ!」


「デッカイ図体して!何びびってんだ!

様子はどうだ!」


「恭子さんが言うには明日1日あれば、ほぼ完成すると言ってました。」


「そうか!それでお前達は何でここにいる?」


「・・・総長!俺達、あの書類に関する手伝いなんにも出来ないから外の見張りに出てたら間違えてここまで来ちゃったんです。

すいません。」


「ずぅいまぁぜん。」


「丁度良かった!

さっきまで洗脳されていて俺達を襲って来た奴ら3人を和也の所へ連れて行ってくれ!

拳法使いで腕が立つから、ここを脱出する時には役に立つ!

もう俺たちの仲間だ!

虎林(コリン)・鷲岩(シュウガン)・龍泉(リュウセン)!頼んだぞ!」


「総長はいいんですか!」


「オジさん達!こっちは任せてよ!」


「レスリングの京と柔道のヒサシ!」


「ガクッと!」


「皆で、間違えないでよ!ヒトシだよ!」


「ゴメン!ゴメン!分かってるよ太志!」


「ガクッンガクッと!仁志だよ!」


「アンジャッシュか!児嶋だよ!じゃないんだから、分かってるよ!ひとり!」


「劇団か!」といつも通り仁志はイジられていた。


ヒロシに事情を書いたメモを渡し、そこから分かれて俺達を5人は道場に向かった。


社務所と客殿と本堂とが続き、その後ろに御堂がある。


その裏に表向きは古武道の道場となっていて修行僧が日々訓練し、その他に檀家の方や周辺の子供達が土曜日だけ道場で開かれている教室に通って来ている。


そこへ裏側を通り道場の玄関から中に入った。


電気は消えシャッターが閉まっている為、真っ暗の中で4つの黄色く光る物があった。


「お前らはそんな男1人にどれだけ時間を掛けてるんだ!

だから未だに酒場の用心棒にしかなれない!」と声だけは聞こえてくる。


黄色い光る物が目である事は分かったがその光る目はパッと消え2つになり高さ3mを超えたり、一瞬それ以上になったりしながら…。


「全員その場で膝ま付き、正座しろ!

そして頭を下げて待て!」


しばらくすると後ろのドアが「バタンッ!」と音をたて開いた。


「パッ!」と床面から跳ね返る明かりで照明の明かりが付いた事で誰が来たかは想像出来た。


「お待ちしていました。」と光る目のどちらかが言うと

「パタンッ!パタンッ!…パタパタ!パタンッ!パタンッ!」と前の2人と後ろの1人は誰かを無理に連れて来ている様に思えた。


4人が前に並び、女性の声で始まった。


「お久しぶりですね!公平さん!もう顔を上げていいわ!」


「やっぱり!あんたか!

まだ若々しいじゃないか!もうとっくに60歳を越え還暦過ぎとは思えないね!」


「あんたはこんな雑魚達に囚われるとは落ちぶれたもんだ!

でも娘を取り戻しに来ると思ってたよ!」


「キミ・・・トモカ!か?・・・ケガは無いか?」トモカは知らない男からいきなり名前を呼ばれ戸惑っていた。


ただでさえ、今ここへ連れて来られた説明も受けていない。


恵子が話し始めた。


「トモカちゃん!あなたのお祖母様から指示をうけて安全な場所で囲まる事になったの!あなたを狙ってこの村へ入り込んだ男がいると聞いて、その男からあなたを守る様にと!その男がここにいる。」と指をさした。


「恵子さん!私は何でこの男に狙われなくてはならないんですか!

それとこの人は私の事を知っている。

どう言う事なの!」 


虎林(コリン)・鷲岩(シュウガン)・龍泉(リュウセン)の中の1人が前に駆け出し出て来た。


「違うよ!姉ちゃん!」と黒のフェイスガードを外しながら立ち上がって・・・


「洋平!何で!どうしてここに!」


「どうなってんだ!キラー兄弟! 

この小僧は誰なんだ!」


「…我々も今こいつらがこの男を連れて来たばかりで・・・!坊主!お前は誰だ!」


「お前らこそ誰だ!奇妙な化粧して!

まるでピエロだな!俺は姉ちゃんを取り返しに来たんだ!・・・父さんと!」


「と言う事はゴールデンブラッド「黄金の血」あらゆる血液型の患者に対して輸血可能な「Rh null」を持つその子を連れてここへ来たのか!

ご苦労様と言いたい所だがあんたは色々と知り過ぎたんだよ!

また違う人間になって遠く離れた場所で一生静かに暮らしてもらうか、それとも西湖の暗い冷たい湖底で眠ってもらおうか!」


恵子からキラーズに指令が下った。

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