第17話 人魚伝説!時を超えたメッセージ‼

 【人魚の王には母君に6人の娘、その人魚姫達姉妹は1歳ずつ年齢が異なっていて、毎年1人ずつ海の上の世界を覗きに行った。

 一番末の姫は15歳の誕生日に海の上を覗きに行った時、船の上にいるとても美しい姿をした人間の王子を目にして恋心を抱いた。

急に空が真っ暗となり強風が吹き出し、高波で船が大きく揺れ出し、嵐に遭い難破した船から溺死寸前の王子を見つけて救い出したのは人魚姫だった。

 姿を見せられない人魚姫は海岸まで王子を運び命を救いその場を離れて遠くからその姿を見守っていた時、寝かされた王子を見つけ介抱した女性に王子は心を引かれてしまう。

人魚は人間の前に姿を現してはいけない掟なのだが、人魚姫はどうしても自身が王子を救ったと伝えたかったのでした。

 300年の長寿とこの海を捨ててでも人魚姫は王子を恋しがり、生命が短くなったとしても人間に生まれ変わり王子のそばにいたいとねがったのでした。

 人魚姫は海の魔女の家を訪れ、自分の声と引き換えにして、ピンク色に輝く尻尾を人間になる為の足に変える秘薬を受け取った。

その時に「王子に愛を受け入れて貰う事が出来なければ、人魚姫は海の泡となって消えてしまう。」と告げられた。

 秘薬を飲んで人間の姿で倒れている人魚姫を見つけた王子が声をかけるが、人魚姫は声を出す事が出来ない。

 その後 、王子の計らいで一緒に宮殿で暮らせる様になった人魚姫であったが、声を失い人魚姫は王子を救った出来事を伝え話す事が出来ずに、王子は人魚姫が命の恩人だと気付かない。

 やがて隣国の姫君との縁談が持ち上がり、その姫君こそ海岸に寝かされた王子を見つけ介抱した女性だった為、王子が想い続けていた女性だった。

 真実を憶えていない王子は喜んで婚姻を受け入れて姫君をお妃に迎えるのだった。

王子は人魚姫に縁談の相手が命わ救ってくれた恩人であると伝える。

 悲しみに暮れる人魚姫の前に海から現れた姉たちが自分達の髪と引き換えに海の魔女から貰った短剣を差し出し、王子の身体から流した血で人魚の姿に戻れるという魔女の伝言を伝えたのであった。

 眠っている王子に短剣を構えるが、人魚姫は愛する王子を殺す事と彼の幸福を壊す事が出来ずに、自分の幸せよりも王子を愛する想いで死を選び、海に身を投げて、光輝く泡になってしまった。】


この続きの解説が隆の書いた文章だろうか!…結局は王子の愛を得られずに泡になってしまった人魚姫だったが、夜明けの太陽を仰ぎ見ると、空の上に幾百の透き通る様な神々しい存在が見えた。


泡の中から出て空の上に昇りつつ風の精の仲間になった人魚姫の問いかけに答える声があった。


更に人魚には前世と言われる死なない魂は無く、人間の愛情を得ない限り不可能である為、他の力に頼るしかない。


大空の娘たちも同様だが、善行を積む事で「死なない魂」を持つ事が出来る。


300年務めて自分達の力の限り尽くすと「死なない魂」を授かり、人間として産まれ変わり長い幸福を分けて貰える。


貴方(人魚姫)もあと300年を善行を積めば「死なない魂」を授かる事が出来る。


他の風の精と共々に、流れてるバラ色の雲に紛れて空高く昇ってゆく中で「子供のいる家で親を喜ばせて愛しみを受ける子供を見つける度に試練の時は短くなり、悲しみの涙が流させられると長くなる。」と彼女らは仲間になった人魚姫に囁き、善行を積んで魂を授かって天国に昇るべく長い時間が始まるのだった。


最後まで王子夫妻や他の人々が真相に気づく事はなかったが、まるで知っているかの様に人魚姫の行方を捜し、悲しむ王子夫妻の姿を見て人魚姫は王子のお妃となった姫君の額にそっと接吻し、王子に微笑みかけた。


王子のそばにいたいが為に美しい声を失くし、最終的には自らの命を失う事になるこの人魚姫の話はアンデルセンの不朽の名作「叶わぬ恋」である。と書き残されていた。


最後のページに挟んであるノートの切り取りが3枚折りたたみ挟まっていた。

「人魚伝説(マーメイド)」

 

1965年2月14日


マリの容態が益々悪化しているのが見ていて辛い。


肝機能の障害が長く続き感染症にかかっていて、移植手術が必要な状況である。


だがドナーが見つからない!

なぜならば血液型が特別な為、世界中を探しても見つからない。


「Rh null」人間の赤血球の表面には、最大で342種類の抗原が存在し、この抗原は(体内では「抗体」)特殊なタンパク質が生成されます。


人間の血液型を判別する為の重要な要素となっている。


地球上の人口の99%と異なる血液型であるという事になり、さらに抗原がひとつもないとすれば、人口の0.01%未満しか持たないという幻の血液型である。


「陽性」の血液を輸血すると、自身の抗体が相手の血液反応を起こし、免疫システムが拒絶反応を引き起こして最悪の場合は死に至ります。


「抗原を一切持たない血液」つまりはあらゆる血液に対して陰性な血液は、非常に珍しく医学的に非常に重要な血液である。


全ての抗原を持たない「Rh null」であった事が判明し「Rh null」を持つ人は、世界中で43人確認されています。


完全なる突然変異によって出現したものなので、あらゆる血液型の患者に対して輸血可能な「Rh null」の血液を「黄金の血」と言われている。


ただし自身の輸血には同様の「Rh null」が必要となるのです。


世界中で輸血に協力してくれるのはブラジル・日本・中国・アメリカ・アイルランドに住む6人だけです。 


そんな世界的に貴重な「黄金の血」を人口の0.01%未満しか持たない。


この事が分かった時から悲劇は始まっていた。


輸血なら協力してくれる方がいたが、移植手術には首を縦に降ってくれる人はいなかった。


医学が進歩する未来へ「人体凍結」という選択も考えたが、そんな時シンガポールに仕事で行っていた友人からこんな噂話を聞き付けた。


ポーランドのある湖にセイレーンと言われる伝説の生物がいて、どうも人魚の生き残りではないかとポーランド政府も保護区に指定し、人の立ち入りを禁止し国家秘密となっているらしい。


そこに生物学の研究者が遺体を運び生体解剖を行っているらしい。


その研究者の1人がその肉をマフィア組織に密売していると言う噂を聞き付けた。


過去に伝説の龍を漢方薬として中国から輸入した事もあった。

が結果、彼女の容態に変化は無かった。


「人魚の肉」を食べると永遠の命が手に入る。


不老不死と古い見聞でも記されている。


何としても!どうしても!「人魚の肉」を手に入れたかった。


有りとあらゆるルートを探したが正規な輸入は見つからなかった。


ある商社マンからの紹介で東京の浜田物産と繋がった。


いわゆる裏社会の組織である。


「1kg10億円」と大分ふっかけて来た。


「本物の保証がないから断る。」と言うと

「今回を逃すともう暫らくは手に入らない品物だ!」


「分かった!少し考えさせてくれ!」と言うと「品物は来週中には手に入る!新潟のある港に他の物と一緒に入って来る手筈だ!そこで取引と言う事であれば現金3億円をジュラルミンのケースで持って来てくれ!」

 

「場所と時間は後で連絡する。」とその後「人魚の肉」を手に入れる事が出来た。


動物実験を研究室のマウスを使い行った。


免疫力の増加と血液再生力が高まり肝臓を半分切り取った実験体の臓器は元に戻るどころか新しい肝臓として機能し出した。


この結果を踏まえて、10gづつマリの食事に赤身の魚だと言って、肝機能やその他の数値を測りながら少しづつ量を増やして行った。


10日目を過ぎるとマウスの実験で出た成果を超える状況が見えて来て、まるで生まれ変わったかの様に回復して行った。


ここまでは・・・!この後、彼女は夜な夜な何処へ出歩るく様になり、朝になると帰って来る様になった。

  

周辺では奇っ怪な事件が起き始め、最初は村の馬が何頭も何物かに襲われ死んだ!次に西湖の漁師達が魚も鰻も取れなくなって来たと騒ぎ出した。


薄々は気付いていた!マリの様子がおかしい事に!ある日、見張りに付けていた者が走って来た。


「旦那様!奥様が!奥様が!」と騒ぎ立てた!


ドアはこじ開けられそこにはもう1人の守衛に馬乗りになり首元に噛みつき血を吸い続ける身体の青い斑点!鱗状の化け物の姿があった。


彼女はその後、身体にある物を打たれ、戦時下に作られた地下の施設で監視されている。


ただし陽射しがない夜間だけは西湖への水路を自由に泳ぎ生き続けている。


と爺さんの記録だろう!


前田隆の研究は自分の愛する母親を救う為に始めた研究だったのだろう!


これから、その化け物とどう挑む事になるのか!研究室のドアを開けると椅子に座り背を向ける女性がいた。


「待ってたわ!公平!」振り返ったのは!


「恭子!お前生きていたのか!本当に恭子なのか!」と動揺を隠しきれない 公平の体は震えていた!


「あなたがここに来たって事は公安も裏で動いている筈ね!」 


「教えてくれ!どうしてお前がここに居るんだ!なぜ戻って来なかった!」


「あなたも公安もマスコミもこの荒んだ時代に自分の命を簡単に捨ててしまう若者がどれだけ多くいるか分かっている?

ここには命の再生だけでは無く、心の再生を行う為の施設がある。伸一や神藤もその手助けをしているだけ!」


「ここで!隣の寺院の地下で作られてる麻薬は若者達を犯罪に巻き込み!

幾つもの事件の原因となり!

幻惑を見せ精神を狂わせて行く!

その片棒をあの娘たちにも担がせてるんだぞ!」 


「公平!私もマインドコントロールされたんだよ!

でも本当にポリプの研究は人の命を救える、 世界中の医療を変えてしまう事になる発明なんです。」


「時間がたち過ぎた!……」


「公平!今からこのスクリーンに映し出す記事を見て!」

 

テーブルに置かれたプロジェクターから映し出された文章を読んだ。


2011年の若返り回数の世界記録は 、京都大学瀬戸臨海実験所の久保田信准教授による9回であったが 、その後2012年12月15日発売の雑誌で久保田信准教授は「10回も若返らせる事に成功した。」と発表した。


さらに、久保田信准教授は、公益財団法人かずさDNA研究所との共同研究により世界で初めて次世代シークエンサーを用いた分子生物学的解析の論文を2016年に公表した。


その論文では、クラゲを針で突いて人為的に若返らせて、4つのステージ:(Ⅰ)クラゲ未成熟個体、(Ⅱ)針で突いて団子状態になったもの、(Ⅲ)団子状態から根を生やし始めたもの、(Ⅳ) 若返ったばかりのポリプを用意して、それぞれのステージからメッセンジャーRNAを全て抽出して、次世代のシークエンサーを用いて配列を解析している。


取得した配列断片を解析した結果、各ステージで特異的に発現する遺伝子や機能遺伝子群の推定に成功し、クラゲ個体では他のステージと比べて多くの種類の遺伝子が多岐に発現している事、ポリプへの若返りの途中過程では、異化―二次代謝―触媒活性―DNA結合などの機能を持つ遺伝子が多く発現している事などが判明した。


若返りのしくみを解明する為の基礎的な情報となると期待できる。


また、2003年に放送されたテレビドラマ「14ヶ月〜妻が子供に還っていく〜」(読売テレビ)でも、作中においてこのクラゲの研究から作られたという設定の若返り薬が登場した。


このドラマを制作したホリプロは、日本におけるこの類の専門家である久保田信(京都大学瀬戸臨海実験所)に取材し彼が作品中に登場するシーンも作られた。


2016年9月下旬に平凡社から「クラゲ大図鑑」が出版され、そこで久保田はベニクラゲの最新のまとめをコラムで示している。


田中光二は自分の作品に関して入る事となったと久保田信自身は述べている。


久保田はこのクラゲの研究から老化に関する大きな発見がある可能性を語り、「若返り薬」の夢についても語り「ベニクラゲ音頭」を歌っている。


また久保田は、ベニクラゲ類に関する小説も執筆し「若返り」を有料で、上町成慈のペンネームで著した「教授のベニクラゲ」を無料で公開し、ベニクラゲ類についての知識を世に広めるべく尽力している。


「とあるけれどすべては世の中の人へ向けたこの研究チームの情報操作、マインドコントロールは始まっているの!」


「君は知らされていないんだろう!この研究や麻薬類の密売には元々違う訳があったんだ!」


「ガチャッ!」奥の実験室のドアが開いた!


「無駄だよ!高野さん!いや違ったな町野公平!

そんな事では彼女の洗脳は解けないよ!

最後のピースを無事届けてくれてありがとう!」


「お前は・・・!」

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