第7話 親友と元の彼女!香織への告白‼
2000年12月29日
八王子署に勤務する今井に髪の毛を調べさせた。
実は2本採取していた。
もう1本は警察庁科学警察研究所 (通称・科警研) にいる鳴沢村の伸一、加藤伸一の姉恭子宛に封筒で送った。
恭子とはこの任務にはいる前に別れたが2年間付き合っていた。
今井に甲府署の刑事課に話がわかる土井と言う定年前の親父さんがいる。
昨日起きた殺害事件の状況と犯人の確定がされているのかを探ってもらった。
甲府新聞の記者の武田さんにも連絡し状況を確認した。
親父っさんからの情報によるとそんな事件の報告は上がっていないらしい。
武田さんからは周辺の住民にもその事を聞いて回るとドアを硬く閉め出て来てくれない。
5年前の清太郎事件の時と同じだと言う。
と言う事はまた前田家絡みの隠ぺいがあったに違いない。
「今井!俺はこれから長野経由で鳴沢村に戻る。そして、香織の持っているポーチとお前に用意してもらったポーチとブランドのキーフォルダーをすり替えてあの地下室にもう一度忍び込む。そしてポリプとメデューサの謎を明らかにする。」
「町野!俺も行く!1人じゃ危険すぎる!」
「ありがとう!でもな今井!お前まで巻き込む訳にはいかないよ!」
「何言ってんだ!ここまで関わらせておいて!お前が何て言おうが俺の意思で行動する!」
「分かったよ!お前が言い出したら聞かない事くらい俺が一番良く知っている。
じゃあ、後方支援をお願いする。
2人一緒に罠にでもはまったらそれで万事休す!相手の思う壺だ。
だから侵入する俺を少し離れて監視してくれ。
それともし俺が姿を消したら跡は追わずに3日待ってくれ!
甲府新聞の武田さんに連絡を入れてくれ!
俺も脱出が出来たら連絡する。
もし連絡がなかったら探し出して欲しい。」
「そして、このノートに書いてある事が真実である証人として今から起こる事を記録してほしい。
いつか目覚めた俺の記憶を戻しこのノートを渡してくれ!」
「何でそんな事を言うんだ!」
「調べたんだ!村の人たちの事を!」
「豊子婆ちゃんには血の繋がった身内はもう居ない!亡くなられた旦那さんとの間にも子供は産まれて居なかった。
だから孫なんている筈がない。
斉藤さんも時々出てくる「なまり」が気にはなっていた。
「〜だっぺ!」はどう考えても東北方面の方言だ。
本人に聞いて見ても記憶があやふやで両親は若くに事故で亡くしたから婆ちゃんに育てられたと言う。
東北の行方不明者リストから最近10年の届け出の中から探し出した。」
「伊藤譲二26歳茨城県稲敷郡美浦村出身、両親と妹と祖父母の6人暮し。」
「待てよ!もう少し順序立てて説明してくれ!」
「そうだな!6年前に東京に青年会の研修に行ったまま行方不明状態。」
「その年の冬にはこの村に居たらしい。」
「最後に若菜さんは「甲府市内の病院で産まれていた。
産まれて直ぐに東京の江戸川区で藤井さんと言う方へ養子縁組をされて20年間育てられた。
その後3年前から甲府に戻って来ていた。」
「その藤井さんの姪っ子に当たるのが松本結子、今の名前は坂本恵子、恵子さんだ!
父親は病院の受付記録から推測すると前田隆。」
「10年前に姿を消し行方不明になっている香織の母、茜の兄だろう。」
「出産直後に養子縁組し戸籍を移動しているが間違いないと思う。」
「どう言う事だ!」
「なぜ戻って来たかは分からない。」
「そして3人とも記憶がすり替えられている。」
「記憶操作 !マインドコントロールか!」
「そう言う事だ!他にも同様の事が起きている為、過疎化が進む筈の鳴沢村を中心に人口増加が見られる。」
「分かったよ!俺が見届けてやる。
でも覚えておけ、今のお前は警察バッチに守られていない一般市民だ!
もしもの時には警察官である俺は一般市民を守る義務があるんだ!」
「頼む。」
「あったり前だ!」
「俺はこれから一旦前田家に戻る。
そして香織のポーチを手に入れ村の情報をもう少し探る。」
「決行は12月31日大晦日の11時00分だ!」と席を立ちそれぞれの行動を開始した。
まずは香織に連絡を取り事情を説明した。
「高野でごさいます。」
「・・・。」
「もしもし!どなたですか?」
「香織か?俺だ!」
「公平さん!何処にいるの?」
「誰か周りに居るか?」
「公香(トモカ)が遊んでるだけ。」
「2人とも無事で良かった!」
「一昨日の夜、会社の仲間と少し酒を飲んで酔いをさますのに歩いて帰る途中に後ろから殴られ連れ去られた。
車ごと広瀬ダムに落とされたが何とか脱出出来た!」
「甲府署の土井のおやっさんにもダムまで来てもらい、実際に車が飛び込む所を見せた。甲府新聞社の武田さんにも協力を頼んだ!
だから事故として明日の新聞記事として俺が事故にあった事が発表される。」
香織は黙ったまま、頷きもせずに公平の話を聞き続けた。
「だからこの連絡は誰にも話さないでいてくれ!
夜には帰るが恵子さんやお母さんには話さないでいてくれ!
近くに犯人がいる筈だから!
トモ(公香)が眠った頃に戻る!
裏の勝手口の鍵を開けて玄関の明かりを2度消してくれ!
それが合図だ!」
「気を付けろ!いいか?」
「分かった!」
9時を回り合図が来た。
正面の門をゆっくり開けて壁沿いに裏に進んだ。
暗闇の中から居間の薄明かりが台所の窓を通して明かりを広めていた。
勝手口のドアを開けてそおっと中に入りドアを閉めた。
居間のテーブルには香織が座っていた。
「あっ!公平さん!」と立ち上がろうとするのを制し「しぃ〜!」と横に座り抱き締めた。
「ビックリしただろ!もう大丈夫だ!公香(トモカ)を連れてこの村を出よう!」
「どうして!急にそんな事を言うの!今回の事は!…」と一旦言い直して
「なぜ公平さんがそんな目に合わなくてはならないの!死ぬところだった訳でしょ!もう何にも関わらずにいましょう!」
「分かったよ!話すよ!」
「この村に来た本当の目的は、その前に俺はこの前まで警察官だった。」
「そして旧共産主義国の政府や国際テロリズムまた国内では、極左暴力集団、朝鮮総連、日本共産党、社会主義協会、学生運動、市民活動、信仰宗教団体、右翼団体などを対象に捜査・情報収集を行い、法令違反があれば事件化して違反者を逮捕するのが俺の仕事だった。」
「今回の任務は警察庁警備局などから発せられた特命事項である指定暴力団の資金源となっといる麻薬製造ルートの解明とその組織と組とを繋いでいる人物の特定までが、俺の潜入 ミッションだった。」
「それも10月20日を持って終了し、警察官も潮時と考え辞職した。
その事を知らない組織のヒットマンが俺の命を狙ったんだと思う。
県警にとっては 何にもいない存在として扱われている事から ゼロと呼ばれている。」
「県警本部長、警備部、所属長でさえ、ゼロの任務やオペレーションを知らされてはいなかった。だから誰も助けてはくれない。」
「もう1つのミッションは幼い頃の初恋の人を遠くから見守る筈だった。」
「私の事も騙していたのね!」
「騙したりしていない!このミッションの事を黙っていただけだ!後は全て真実だ!」
「だからと言ってここを離れなくてはならないの!
私も25年間この村で生まれ育ってとても安らかな生活を送れて来たの!
だからこれからだって公平さんと子供達と4人で暮らして行きたい。」
「4人で?って!どう言う事?まさか…!」
「そうなの!昨日病院に行って来たの。
多分間違いないでしょうって言われました。まだ8週目位だろうって!」
「そうか!2人目がここに居るのか!」
「いいんでしょ?産んでも!」
「当たり前だよ!だから警察も辞たんだ!」
「まだ組織のヒットマン、殺し屋が周りにいて、公平さんを狙って居るのならお爺様に相談しましょう。
お爺様なら何とかしてくれる筈!」
「明日また話そう。お爺様に相談するのはそれからにしよう!」
「そうね!分かったわ!」
電気の消えている隣の台所へ行き窓のカーテンを少しだけ開け様子を伺った。
香織の手を引いて居間から隣の客間へ移動し明かりを消してから同じ様に遮光カーテンを少し開けて外の様子を伺った。
「大丈夫そうだ!明日の新聞とニュースで広瀬ダムに車が転落した事が流れる。
運転者は高野公平26歳と出る可能性がある。
だからしばらくはこの家からは出られない。さっきの話も誰にも話さず2人きりの内緒にしてくれ!いいね!」
「分かったわ!」
「ありがとう!」と言うと香織の手を握り抱き寄せるとさっき開けたカーテンが閉まり切らず隙間から満天の月明りが差込み彼女を照らした。
生命が宿ったホルモンの関係なのか自分の感情的変化なのか彼女がいつもより綺麗に魅力的に見えた。
だからいつもより長いキスを続けた。
翌朝、目覚めると隣に香織とトモカ(公香)がいない。
慌てて上半身を起こすとそこには香織がいて俺を見て「どうしたの!公平さん。」と笑顔で立っていた。
次の瞬間、身体が動かない!
「これであなたもやっと私たちの仲間よ!」と足の裏側に何かを注射されたらしい!
必死になって身体を動かそうとするがどうしても動かない!思わず「あぁー!」と叫び声を上げた!
と目を開けるといつもと同じ寝室の天井が見えた。
慌てて上半身を起こすとさっきと一緒でそこには香織がいて俺を見て
「どうしたの !公平さん。」と笑顔で立っていた。
「そのまま動かないで!」と香織が言った。足元を見るとトモカ(公香)が俺の方を見て笑っていた。
「ふぅー!」と一息して「トモちゃ〜ん!」と抱っこしてベッドに腰掛けた。
「公平さん!どうしたの大きな声出してたよ!ビックリした!」と言いながら横に座り
「トモカ(公香)をベッドに寝かせて!おむつを替えて!」
「いいよ!トモちゃ〜ん!パパがおむつ替えてあげるからね〜!」とベッドに寝かせると急に身体が痺れて来て
「ご苦労様でした!」
と香織が腰に刺さった注射器を抜いた。
そのまま意識を失った。
水の中に沈められた状態で必死に水面を目指し腕を動かした。
「うっぷぁぱぁっ!」と息を吐き出し「はぁー!はぁー!はぁー!」と目を開けた。
まだ暗い時間。
時計を見ると 5時前だった。
香織はベッドの横で眠っていた。
何て嫌な夢を繰り返し見ていたんだろう。
何かが起こるのを予感するかの様だった。
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