第14話 中編 く、クリアやな



何やら不穏な事が書かれていた

コメント欄をチラ見しつつ、

プレイに集中する。


「氷要素は敵さんの攻撃と背景だけやなぁ...」


コメント:

・敵にさん付け 

・素晴らしい

・関西弁の特徴じゃねーの?

・たぁしかに

・しかしそれもまた一興

・何者だよおめぇ

・しかしマユキちゃんが可愛いのもまた事実

・何当たり前のこと言ってんだ?

・そうだそうだ 

・なんでマユキちゃん褒めたのに

俺怒られてんの?

・www

・『悲報!俺氏、草生える』wwww

・まぁ焦らないでマユキたん

 結構難しいから

...


「元気やな、皆...後なんか不穏で怖いんよ」


いや、そろそろほんとに。


コメント:

・だれだ、マユキちゃんを

怖がらせるやつはー(棒)

・不届き者どもめー(棒)

・wwww

・怯えるマユキちゃん可愛い

・SO!RE!NAhhh!!

・それな

...



「怯える僕を見て喜ぶん...?」


いや、ノリやとは思うけど。


「む」


風のエフェクトが現れ、主人公の背中を押す。


「風...?やりにくいけど、それ程でも...?」


確かに、徐々に地面滑るし

ジャンプした時の影響えぐいし...


それでも気をつけていればなんてことはない。


「流石に皆言うとったやつ、これちゃうよなぁ」


しかし。


氷の地面が現れると話が豹変したんや。


初め1秒程は、普通に進んどった。


しかしその直後、主人公は盛大に滑った。


「ふぁっ!?」


そのまま惰性で進み、止めることも叶わず

やたらステージに多かった穴に落ちに行く。


「ちょ、ちょ...止まらへん...!止まらへんって!」


どれだけコントローラーをガチャガチャやっても

アバターに一切の影響を与えられへんかった。


「あーーーーーーーがはっげほっ」


思わず全力で叫んで、脱力する。


ついでとばかりに咳き込んで肺も痛くなる。


コメント:

・悲鳴を楽しんでたら咳で一気に心配になった

・大丈夫マユキちゃん!?

・めっちゃ心配

・俺たちが余計な事を吹き込んだばかりに

・ごめんよ

・落ち着いて...超心配

...


「はぁ...はー...ふー...んん、落ち着いたで。

 いや、最近調子良かったからって

 叫んだ僕が悪いんやし落ち込まんといて」


叫んだのなんていつぶりやろうか。

寧ろ、楽しくすらあった。


コメント:

・叫ばせたの私達なのに...

・優しい笑顔だなぁ

・本当に優しい

・美しい心ね

・笑い方しんどそう...

 大丈夫?配信やめてもいいんだよ?

・それは...

...


「ん...ふふ、皆見てくれとるし、嬉しいし

 配信はやめんとこかな...」


自然と顔が綻ぶ。


コメント:

・ずっとジャンプを続けるのが攻略法だよ

・教えたら楽しみがないだろバカ

・それは...マユキちゃんがしんどそうなのを

 見る事の?

 それともゲーム的に?

・もちろん後者に決まってんだろ!

 俺はそんな性格悪い奴じゃねぇ

...


「まぁまぁ...ごめんけど、今回は見させてな?

 でも、心遣いも

 めっちゃ嬉しゅうおもたで。ありがとう」


優しい人ばかりで幸せやな、うちの番組は。


さて、ずっとジャンプ...やったな。


先程の場所まで無事に戻り、

氷の道をジャンプしながら進む。


ゲームの性質上、

ある程度空中で動く事ができる為

だいぶと楽になった。


「ゲームって楽しいなぁ...まぁ...程々に、

 てのが勿論前提なんやけど」


コメント:

・その通りだね

・ギクっ

・ぎくっ

・草

・当たり前のことよねぇー(ちらっ

・ぎくぎくぅっ

...


「あはは...まぁ、体調に気ぃつけてぇな?

 あ...でも、僕の体で言えたことじゃないし、

 差し出がましかったかな...

 迷惑やったらごめん...」


コメント:

・そんなことない!めっちゃうれしかった

・気遣えるマユキたん、可愛い

・迷惑なんかじゃないよ

・心配してくれてありがとう

・しゅんとしないでー

...


この体、偶に恨めしく思う。


あの親から生まれたくはなかったけど

そうやなかったら

美幸とかハルくんや結衣ちゃんや晴美ちゃんと

会えてないから、悩ましいとこやなぁ。


「教えてもらったからとは言え、

 結構順調に進めとる...とは思うんやけど」


何発か被弾はしているものの、

それもそこまでではない。


「おぉ、青い缶や」


途中、ラッキーな事も起こりつつ、

ステージを進めて行く。


コメント:

・初心者っぽいけど初心者よりは上手だよね

・見ててストレスは感じない

・呟かれるマユキ君の言葉が癒しよ

・酷い人はとことん酷いわよね

・その点マユキたんは素晴らしい

・見てて楽しいと思えるよな

...


「おぉ...ここがボスステージかぁ」


シェルターのような何かに触れると、

自動で開いて行く。


「思うんやけど、敵さんはなんで

 開けてくれるんやろうか...?慢心かなぁ」


コメント:

・慢心wwww

・そこはつっついちゃいけないのよマユキ君

・まんしんワロタ

・カァイソウwww


「ん、んんっ...気を取り直して、...行くで」


避けて、撃って、避けて。


被弾すれば主人公が凍って、

尖った針のあるま壁まで滑り、

串刺しで追加ダメージが入ってしまう。


「ぅぅわっ」「ひやぁっ」「あーっ」


その後、なんとか相打ち寸前で討った。


「や、やった...一発...!」


コメント:

・一発すげーー

・結構強い方なんだけどなぁ

・そんなもん初心者に勧めてんじゃないよww

・喜んでるマユキちゃん尊い

・あぁ...てぇてぇなぁ。俺たちの冒険は、

ここからだ

・終わってるwww

・何を?成仏したの?w

...


「ふーーー...

 今回は、ゲームを終わらせてもらおかな。

 見てくれてありがとうな。次はお待ちかね、

 ましゅまろコーナーやで」


コメント:

・フゥォォオオオ!!!

・読んで!私の読んで!

・読んで欲しいなぁ

・きたきたきたきた!




キャラクターファイル

No.16 杉本 紀郎

杉本財閥のトップ。昔、渡辺舞香に恋し

交際していた過去がある。

騙されていたのは既に知っているが、

それ以降結婚しようとせず

後から知った実の子の存在を

常に気にかけている。現在捜索中。

舞香は結婚もしてないので蓮の苗字は母方の物。

跡継ぎがいないからと急かされて

養子を引き取った。

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