第3話 振る舞い

頭がいたい。クラクラする。


やっと家ついた。


自転車を止めると、風が心地い。


胸押さえて、必死に息を落ち着ける。


やっと落ち着いた俺はドアを開ける。


美幸に心配されるわけにはいかんしね。


「にぃに、大丈夫なん…!?」


なんでや。


「お前、汗びっしょりだぞ」


「あ?ああ…いや、大丈夫や。

 手ぇ洗わせてもらうで」


汗拭くの忘れとったかー。そっかー。


「お、おう」


洗面所で汗を拭いて、手を洗う。


「お、もう11時半か」


尚のことはよ調理せなな。





にんじんを軽く洗い、包丁で皮を剥く。


キャベツの皮を外側一枚だけ捨て、水洗い。


玉ねぎの茶色い部分を剥き、

根と茎の所を切る。


肉はもともと切れている。


鍋に水を溜め、火にかける。


フライパンも同じ火にかけ、油を敷く。


油がうまいことまわったら、

先に刻んどいた野菜を先に放り込む。


ジャジャッとええ音立てて炒められる野菜。


沸騰したお湯にさっと麺を潜らせてほぐす。


ほぐれた所ですぐにあげ、

網ボウルに待機させる。


野菜がしなってきたので、

肉を加え塩胡椒を振る。


肉にも充分火が通って、麺を投入する。


ソースを絡ませ、全体に行き渡らせ炒める。


ええ感じになってきた所で、

フライパンの端に

麺達を寄せて、Sサイズの卵を三つ投入。

目玉焼きを三つ作る。


深めの平皿に焼きそばをよそい、

目玉焼きを乗せる。


テーブルに箸と箸置き、

コップにお茶を運ぶ。


時間は12時15分。

我ながら良いタイミングや。


「焼きそばできたで〜。

 ゲームは一旦おしまい」


「できた!?いやぁ、

 さっきからめっちゃ良い匂い

 漂ってきてたからさ、

 すげえ腹減っちったよ!」


「にぃに、やきそばおいしそう!」


「おおきにな。さぁ、

 冷めんうちに食ってもてや。

 マヨはご自分で」


「「いただきます!」」


二人が勢いよくがっつく。


「も、もうちょい落ち着きぃや…?」


ついでに言うと俺はかなりの少食で、

食べないんやなく食べとうても

食べられへんのや。


「美味しいな、おい!すげえな蓮!」


「さすがにぃに。めっちゃおいしいわ」


「そりゃぁよかった」


ものの数分後、

「なぁ、これお代わりある?」って。


「一人分くらいやったら…」


「美幸も欲しい!」


「むっ!じゃぁジャンケンで勝負だ!」


「「最初はグー!」」


「元気やね〜…」


「「ジャンケン…ポン!」」


「よっしゃ!勝ったでにぃに!」

「負けちまったー!」


「そんなに騒がんの。そんなにあれやったら

 次は多めに作ったるから、

 な?落ち着き」


「おう、すまん」


そういえば自爆気味やけど

次も作る流れに…!


「おかわり!」

ま、ええか。楽しいし。


「いまよそうから待ってな」








スポンジに洗剤をつけ、水で泡立てる。


軽く水洗いした皿と箸、コップを擦った。


水で綺麗に泡を落としたら、


食器用タオルで優しく拭いて、

水場の隣の干し場に立てた。


「なぁなぁ、蓮ってなんでそんなに家事

 上手いんだ?」


「まぁ、小さい時から

 色々やってたからやろね」


「あー、そりゃ今からは追い着けねぇなぁ」


「手伝う?美幸は…寝てもたね」


「おう、ソファでスヤスヤ

 気持ち良さそうに寝てる」


「歳の離れた妹やから、

 可愛ゆうてしゃぁないんよね」


「そらお前、妹可愛がれるって

 お前は偉い奴なんだよ」


「ふふ…

 偉い奴なんか言われたん初めてやよ」


「そんなら今から自覚してきゃ良いんだよ」


「ハルくんは優しいなぁ」


「ばっかお前蓮、

 友達なんだから当たり前だ」


「友達、…友達、ええな、友達。

 改めて、宜しくな」


「今更だ、ばかやろー。当たり前だろ」


「「あはははは」」









その日はハルくんの家で一緒に遊んだ。


夜ご飯はシチューを3人で食べた。

久しぶりの楽しい日やった。




翌日。


「ふぁぁ…ぁぁ」


二段ベッドの上段で目を覚ます。


そろそろ美幸も年頃やろし、

二段ベッドも卒業やろうなぁ。


いつも通りの七時弱。


「朝ごはん買わんと…ふぁぁ」


昨日はハルくん家のキッチン借りたけど、

流石に朝から借りるわけにはいかんし、

コンビニまで自転車を漕ぐ。


「フレッシュサラダと…サンドイッチ…

 スモークチキンにパック牛乳」


適当に二人分買って、家に帰る。


ここまでの運動で、完全に目ぇ覚めたわ。

息切れるくらい。


常人なら運動言う程の運動ちゃうやろけど。



家に運び込まれた物のうちの一つ、


アイロン台みたいな高さのテーブル。

そこに二人分並べた。


寝室に向かい、美幸の肩を優しく揺する。


「朝やで美幸、起きてぇよ」


「んぁ…にぃに、おはよ」


「うん、おはよう美幸」



洗面台で、

美幸の顔を人肌に温めた絞り布巾で拭く。


まだ美幸は寝ぼけ眼やからな。


朝ごはんを二人で食べる。


「食器ないとはいえ、こんなでごめん」


「だいじょうぶやでにぃに」


ゴミをレジ袋にまとめ、紐を結んだ。


これであとはゴミ箱来た時に捨てるだけや。


歯磨きして、美幸の髪を梳かす。



「痛くないか?大丈夫?」


「うん」


美幸を着替えさせて...



俺は買い物リストを開きながら

徐に電気製品の大店のウェブサイトに入る。




キャラクターファイル

No.3 鶴崎 遥希

男性 16歳(遅生まれ) 高校入学前

蓮が越してきた家の隣に住む住人。

良いやつ。蓮の事を本当に男なのか

それとも男装した女の子なのか

思いあぐねている。

女の子だったら

俺セクハラだと思われねーかな

…と危惧している。

性別を聞くのは失礼だろうな...

とも思っている。

蓮と仲良くなりたいと思う。

短髪、ナチュラルショート。力は強い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る