引越して来て、4年目。何故か人気ブイ◯⚪︎ーバーになってた、なんでや?

本好コー

第一章 Vt〇〇berになるまで

第1話 引越し初日



俺は無茶苦茶に歓喜した。


やっとこの生活から抜けれるって。



「…母さん、真剣な話があるんや」


「なんや?つまらん話やったら焼くで」


相変わらずいっつも不機嫌やな。


「そんな怒らんといてほしいわ。

 …俺な、二億当たってん」


俺はさらっと嘘をついた。

7億以上あるのに…自分の性格の悪さに

反吐がでる。


「はぁ?ほんまに言ってるん?

 ほんまなんやったら早よ出せ」


「ごめん、それはできへん。

 銀行に預けたあるし、

 俺のもんやって言う書類ももう出した」


「いらん事しやがって!

 糞が、じゃあなんやねん!

 私に言う意味わからんわ」


「それでな、…一億渡す。

 やから、美幸と俺と、

 縁切って俺ら別んとこ

 住ませてもらわれへんか」


「は…?」


「そのための費用はこっちの一億から出す。

 母さんにとっても、ええ話やと思う」


普段俺らにあんだけ当たり散らしとるんや。

ここで嫌とは言われへんやろ。


あぁ、俺もなかなか嫌な性格

なってもたなぁ。


「……っチッ。ふん、

 一丁前に生意気なりやがって。

 好きにせえや。ほんまに一億

 よこすんやったらな」


「もちろんや、ありがとう…母さん」


一億も無いのに生きていける訳ないやろ、

とか思てんのかな。


母さんと呼ぶのは、

これが最後かもしれへんのやな。


そっからとんとん拍子に事は進み、


晴れて母さんと俺らは赤の他人になった。









新幹線で東京の世田谷まで向かう。


新幹線の席について、やっと緊張は解れた。


緩んだ瞬間、咳が込み上げる。


「にぃに体弱いんやもん、

 むりしたらあかんのに…大丈夫なん?」


「っはぁ、けほっ。はぁ…ああ、

 大丈夫や。優しいなぁ美幸は」


ほんまにあの親からなんで

七歳差とはいえ

こんな天使が生まれたんか知れん。


…俺は昔から筋肉も

それを作るための脂肪もつかへん。


少し走るとばてるし咳き込む。


ひどかったら気絶する。


貧弱とバカにされても文句は言われへん。


「ふぅ…」


「にぃに、これからどこ行くん?」


「東京の、世田谷って所やねん」


「学校で習った!にっぽんの真ん中!」


「そうやで、美幸。…良かったんか?

 友達に言うてきた?」


「…美幸、友だちそんなおらんし…

 母さんいっしょちゃうし、

 にぃにといっしょやから、全然大丈夫!」


「…せやな、向こうの学校で友達

 できたらいいな」


「うん!」


そして美幸はやっぱりというかなんというか

疲れてたんやろう、数分で寝てしもた。


可愛い横顔を見て

これからは俺がこの子を守るんや、と

再び決意した。






新幹線から降り、二人分のチケットをきる。


眠る美幸をおんぶして、

キャリーケースを押す。


でも、体力の無い俺は情けないことに

駅から出るまでがやっとやった。


ベンチに座らせ、起きるのを待つ。


あまりにも遅くなりそうやったら、

起こそう。


それから30分後、美幸が起きた。


「ん...おはよう」


「おはような、美幸。

 起きたばっかしで悪いけど、

 東京着いたで。

 こっから歩きで20分位かかる。

 ごめんな」


「んー...とちゅうできゅうけいはさせてな?」


「ーーああ、勿論や!」


ほんまにええ子や。





結局、四十分掛けて到着した。


美幸より俺が足引っ張ってた。


ほんまに情けなくてしゃーない。


息を荒くし咳き込む兄に、

その背中をさする妹。

ほんまは俺が支えなあかんのに…


不動産屋さんからもらってた鍵を取り出す。


よかった、落としてへん。


庭は車一個半くらいある。

結構広いんやなぁ。

比較的安かったとはいえ、

全国的に見ればだいぶお高い家やもんな。


鍵を開けて、家に入る。


「失礼しまーす...」

「しまーす」


可愛い...




家具もなんも無い。

木目調の落ち着いた部屋や。


庭につながる大窓も合わせば、

部屋の窓は大体一〜二枚程度か?


やっぱりええ家やなぁ、

不動産屋さんに感謝せなな。


即金で払ったのでローンもない。


キッチンも綺麗。食洗機までついとる。

トイレは一階のみ…うん、ええか。


2階に登る。真っさらな部屋が4つ。


ん?2階にもベランダがある?

おお、すごい…


なんて良え家なんや。

今までとは段違いや…






さて、今何時や?

うわ、もうこんな時間か…


あと一時間ちょいで

元家で使ってた二段ベットと二人の勉強机、

服とか学校用具とか本とか自転車とかの

俺たちだけのものを業者さんに

持ってきてもらう。


明日は明日で用事がてんこ盛りや。


携帯の解約と新しい携帯の登録、

家電家具や食器や生活必需品の買い物とか。


やる事はいっぱいや。


今は、駅で買ってきた菓子折り持って、

こういう所作が正しいんか知らんけど…

お隣さんの挨拶やな。




キャラクターファイル

No.1 渡辺 蓮 

男性 現在15歳 高校入学前

妹と二人暮らし。妹を可愛がっている。

体が極端に弱く、

肉をつける事も沢山食べる事もできない。

明確な理由はあるのだが、

本人は周りに体質だと言っている。

今まで髪を切るお金がなかったため

髪は長く、切ろうかなとボヤくが

今もあまり切るつもりはない。

服の下には夥しい量の

虐待の跡が残っていて、

それらを隠すこともできるから。

痣、切り傷、火傷等。

今でも後遺症等あるが、妹を守れたので

良かった…と

本人は自分に思い込ませている。

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