第5話 1週間サラダ生活
ミキはここ1週間、大好きなチョコレートもお肉も食べていなかった。
ひたすらサラダだけ。
あわよくばダイエットになるかも…とも思っているが、それが真の目的ではない。
それは20年前、兄が買ってきたオカルト本に載っていたまじないの類だった。
『1週間、菜食生活を続け、塩の入ったお風呂で体を清めたあと白い服を着て鏡の前に立つと自分の守護霊が見える』
そんな子供のころに読んだ眉唾もののまじないを試してみようと思ったのは、ここ1年ほどのパッとしない仕事とか男運のなさからだった。
「よしっ」
白い服を着てミキは小さく気合を入れるように呟いた。
占いとかお守りとか風水とか、好きだけど本当は本気で信じてるわけじゃないし気休めくらいにしか思ってないし、守護霊だって本当に見えたら困るし怖いし。
「本当何やってるんだろ自分、うける。」
ミキは自分の行動を振り返って自嘲した。
そう言えば独り言も増えたなぁ…
「『自分の守護霊を見ようとして1週間サラダ生活を送ってたやつがいたんですよぉー』『なぁ~にぃ~!やっちまったなぁ~!!』」
ミキは一昔前のお笑い芸人のネタを披露したあと、
守護霊が本当にいたとしてこの独り言聞かれてたら恥ず~!とニヤニヤ考えながらお風呂場のドアを開け、手を洗う時のようなテンションで洗面ボウルの前に立った。
そして…鏡に目をやると、白い服を着た自分の姿がある…はずだった。
「…?!(ギャーーー!!誰ーーーーー!!)」
ミキは息を飲み、口をパクパクさせながら、その場にへたりこんでしまった。
腰が抜けてしまったようだ。
え、え、見間違いじゃないよね??
てか見間違いであって欲しいんだけど…なんか、後ろに私じゃない誰かもいたんだけど…なんか白い服着てる女の人だったよね…??
え、守護霊?
もしかして私の守護霊??
本当に見えちゃったの??
どうしよう、怖くて振り返れないんだけど…その前に足腰が生まれたての小鹿みたいなんだけど…
どうしよう、どうしよう…!!
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