第4話 ミキ2

なんか、騙された気がする。

レイ子は神奈川県川崎市にあるアパートの一室で思った。


ミキの職場が表参道ってだけで住んでるところは神奈川県やないかい。

田園都市線でどこまで下るのかと思った。

港区が遠ざかって悲しくなった私を誰か慰めて。

しかも、今時和室のボロアパートだし。歩くとパシパシ畳が鳴るし。

まあ、建物が古いってだけでキレイに片付いてはいるけど。


レイ子はサラダをもくもくと食べているミキの傍らで部屋の中を見回した。


出窓にどこかの寺の護符がある。その周りには御朱印帳やらおみくじに一緒に入ってる金色の打ち出の小づちみたいな小さいチャームとかが無造作に置かれている。


これは資料通り…


ミキはサラダだけの夕食を食べ終わると、2点ユニットバスにお湯を張り、バスソルトを入れて長い入浴をとった。入浴中、ミキはずっとスマホで異世界もののマンガを読んだりYouTubeを観ているようだった。

寝る前はコップ1杯の水を飲み、セージのお香を焚いていた。

ベッドに入ると再びスマホを取り出し、今度は水のせせらぎと澄んだ鐘の音を流しながら眠りについた。


レイ子がそっとスマホの画面を観ると睡眠導入というタイトルが出ていた。

どうやら眠りが浅いらしい。

じっとミキを観察しているとその通りで、夜中に畳がパシパシとなる度にミキの瞼はうっすらと持ち上がり眉毛をしかめる仕草を見せた。


朝のミキはとてもだるそうで疲れが取れないのか、栄養ドリンクを飲んでいる。

身支度がある程度終わると今度はトイレ掃除とお風呂掃除を始める。

そしてテレビの画面の時刻表記が8時になるとミキは仕事に行くため部屋を出る。


レイ子はそんなミキの生活を1週間観察して、これはどうしたもんか…と頭を抱えた。








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