第46話 異国
飛行機の中でせっかくリラックスしていこうと思っていたのに、
沙耶の質問攻めでむしろ疲れた状態でアメリカに行く事になった。
訳16時間程かけてアメリカへと向かう。
日本との時差は13時間程。
真逆の時間帯なので、
時差ボケが激しい。
パイロットからもうすぐ着くと言われ、
俺は荷物をまとめ、
席へと座った。
沙耶も同じようにドタバタとしながら荷物をまとめ、
席に座る。
そして俺らはジョン・F・ケネディ空港へと着陸した。
着陸してからは普通の飛行機が行かないような場所へと動き、
格納庫のような場所へと飛行機を入れる。
地面に降り立つと、
そこにはスーツ姿の外国人が5~6人立っていた。
俺はアメリカの覚醒者が男か女なのかも知らない。
もちろん顔も知らなければ、
特に情報も貰っていないので、
誰に何を話してよいかよく分かっていなかった。
「江口雅さんですね?」
「そうですが」
「少し確認したい事がございます。
それと一応検査等もお願いできたらと…」
「もちろん構いませんが、
連れもいるので一緒にでも構いませんか?」
「もちろん問題ありません」
この空港は基本ラッシュ時にはものすごい人で、
税関等の検査を抜けるのも2時間かかってしまう事まである。
しかし、特別待遇の為、
何も混むことはなくすんなりと抜ける事が出来た。
しかしその後俺と沙耶は外へ出るわけではなく、
人が20人程は入れるくらいの広い会議室のようなところに通された。
「ここでお待ちください」
「分かりました。
荷物はどこでしょうか」
「係の者が今移動用のヘリに積んでおりますのでお待ちください」
「分かりました」
俺は沙耶と二人部屋で待つことにした。
数十分ほど待っていると、
そこに金髪で少し筋肉質の男が3人入ってきた。
俺は入ってきた瞬間に殺気を感じた。
すると男達は一斉に襲い掛かってきた。
1人はスッと間合いを詰め、
右こぶしを勢いよく振り落とす。
俺はそれを左手でがっちりと掴む。
すると左側からもう一人が俺の脇腹めがけて前蹴りをしてきた。
しかし俺は拳を握った左腕を振り落とし、
蹴りをしてきた足首に肘鉄を食らわせた。
骨が砕ける音が響いた。
その隙に拳を握られている男が左足で俺の右頬を狙う。
咄嗟にスウェーバックして避ける。
そのまま飛び上がり空中で腕をロックしてそのままへし折った。
腕と足を抑え倒れ込む二人を後の一人は腕を組んで見ていた。
「なんなんだいきなり!」
「やるなお前」
「めんどいのはいいからかかって来い」
「じゃあ遠慮なく」
するとさっきの奴らとは桁違いのスピードで突っ込んできた。
その勢いのまま俺の顔面めがけて右ストレートが飛んでくる。
俺はガードしたが。
車が突っ込んだかのように吹き飛ばされてしまい、
壁に叩きつけられた。
壁は砕け、隣の倉庫の部屋まで吹き飛ばされてしまった。
「雅くん!!!」
沙耶は心配そうな声で俺の名を呼んだ。
「あんた何なのよ!
いきなり!」
「綺麗なお嬢さんだ。
あんなのじゃなくて俺とデートしないかい?」
俺を吹き飛ばした奴は流暢な日本語で沙耶に話しかけた。
「何言ってんのよ!
あんたみたいな奴願い下げです~!」
「あんなガキの何が良いのさ。
弱くてチビで、
細すぎるようなやつが」
「はい?
あんたみたいなムチムチで、
ゴリラみたいな奴より全然いいです!!」
「調子に乗らない方がいいよ?
お前殺してやろうか?」
奴は沙耶の首を掴もうと腕を伸ばした。
バチバチバチッ!!!!
次の瞬間。
俺は両足に力を込め全力で間合いを詰めた。
あまりの速さに外国人は目が追いついておらず、
いきなり轟音と閃光と共に現れた俺に反応すら出来ていなかった。
俺はそのまま全力でみぞおちに一撃。
あの時粉々にしてしまった時を思い出して、
慎重に脱力をしながら。
彼は気を失ってしまった。
俺はどっと疲れた。
立っているのがやっとだった。
沙耶はふらふらの俺を支えその場にあった椅子に座らせた。
「どうしたの!?
あの時みたいに倒れたらダメだよ!?」
「大丈夫…
意識はあるから…。
ただちょっと負担が…」
俺は喋るのも苦しいくらいだった。
「それにしても…
こいつらなんだよ…」
すると俺に腕を折られたやつが立ち上がり、
話しかけてきた。
「覚醒者である事を確認させて頂きました。
申し訳ありません」
「はっ…?」
「覚醒者ともなると命や身柄を狙われることが多く、
さらに他国の人間と接触ともなれば何が起きるか分かりませんから」
「だから…
試したって言うのかよ…」
「少しお休みになられたら行きましょう。
我が国の神の元へと…」
そう言うと折った腕を庇いながら、
気を失ったの担ぎ、足が折れたのに肩を貸して3人は出て行った。
「なんて言ってたの?」
「試されたんだってよ。
本当に日本から正式に派遣されたかどうか」
「何よそれ!」
「まったくだよ…」
「でももし、
あそこで雅くんが勝ってなかったらどうなってたんだろうね」
「確かに…」
あそこでもし動けていなかったら間違いなく殺されていただろう。
1時間後、
さっきとは別の人が来て、
ついてくるように指示された。
その態度を見るなり、
まだ完全に信用されたわけではなさそうだった。
俺は細心の注意を払いながら、
用意された車へと乗り込んだ。
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