第38話 凶行
俺は自分の目を疑った。
そこには浅井がいたのだから。
「浅井…か…?」
「浅井ね…
馴れ馴れしく呼ぶのやめてくれる?」
「何?」
「お前がいなきゃこんな事になってないんだよ。
特殊部隊の雅くん」
「どういうことだよ」
浅井はため息一つしてポケットから煙草を取り出して火を点けた。
「お前等がいなきゃこんな事になってないんだよ」
「お前等だと?」
「お前政府の人間だろ?
こちとら世界の悪者だよ」
「楓達の仲間か?」
「いかにも」
「なら何故組織の場所を聞いた。
知ってるだろ」
「まああれは素直にお前が喋るか試しただけだよ」
「お前ぶちのめしてやる…」
「そんな事にはならないって」
浅井は窓の外を指さした。
俺はよろよろと歩きながら窓の方へと向かった。
窓からは中にはとグラウンドが見える。
そしてそこには多くのマスコミらしき人やパトカーや特殊部隊などの車が止まっていた。
「どういう事だよ…」
「テロリストだってよ。
笑っちまうよな」
「お前一人じゃないのか?」
「違うね。
もうすぐお前の大好きな由希ちゃんも来るぜ」
すると教室の扉が開いた。
「あら。
もう動けるようになったの?」
そこには由希の姿があった。
「お前…」
「勘違いしないでね。
私は私のしたい事をしてるだけだから。
テロリストなんて失礼すぎるわ」
「お前等何者なんだ?」
すると由希はこちらを見て話し始めた。
「あんたらが考えてる通り私達は生まれ変わりの人間よ。
まあバレないように頑張ってはいたけどさすがに無理ね。
あんたの監視の為に白川を使ってこの高校に入学させられる羽目になったけど」
「どういう事だよ」
「私達はラファエル様の指示で動いてただけ。
100回のリミットのあんたをこちらサイドに引き入れる為にね」
「なんでそこまで俺にこだわる!!」
「それは俺から説明してやるよ」
そこにあのフランス人が現われた。
「いいか雅くん。
100回目以降の生まれ変わりはないのは知っているかい?」
「お前…!!!!」
俺はフルパワーで地面を蹴って殴りかかりにいった。
しかし浅井と由希が間に入り、
俺は吹き飛ばされてしまった。
「まあ落ち着いて話でもしようじゃないか」
「お前と話す事なんてないんだよ!!」
「いいじゃないか。
素直じゃないと下で死にかけてるやつと同じ羽目になるやつが増えるぞ」
「くっ…」
人質を取られていてはどうしようもなかった。
「100回のリミットは前にも言ったが稀だ。
俺はお前が欲しい。
まあ興味があるのは体だけだがな」
「どういうことだよ」
「生まれ変わりの人間の最初の創り方知ってるか?」
「何?」
フランス人は口の周りを舐めて言った。
「リミット同士でガキ作らせると出来んだよ」
「なんだと?」
「つまり各国のリミットを殺せば勝手に生まれ変わりはいなくなるのさ。
そして俺の国にリミットを集めてやつらでガキ作らせれば王国が出来るって事さ」
「だからお前…!!」
「さらにリミットの数が高い者同士で作ったガキはすごい!
そもそものスペックから高いってわけだ!
だから俺はお前が欲しい!!!」
「リミット同士って事は俺の父親や母親もリミットだったって事なのか…?」
「お前等みたいな部隊に所属もせずに一般人に溶け込んでリミットを迎えてるんだ。
そりゃあ普通の相手じゃな。
だが万が一そんなやつら同士が出会ったら話が合うなんてもんじゃないだろうな」
「知らなかった…」
フランス人の男は俺の方へと近づいてきた。
「俺と一緒に来い!
何不自由なく、女も毎日あてがってやる!
夢のような場所にしてやるからよ!」
「ふざけんじゃねぇ!!!」
「お前程のやつのガキが俺の支配下に入ったら間違いない!
最強に決まってる!!」
「絶対に行かねぇよ!!!!」
俺は地面を思い切り殴った。
すると教室の床にヒビが入った。
「どういうつもりだい雅くんよ」
「どうもこうもお前とは気が合わねぇって事だよ」
「なら沙耶ちゃんだっけ?
あの子は俺のペットにでもしちゃおうかな」
「沙耶に手出したらただじゃおかねぇぞ。
さらに俺らの仲間だってこんな大騒ぎになったらすぐに来るぞ」
「今日は警告じゃない。
決着をつけに来たんだよ。
残念な事にお前の仲間は手は出せないよ。
人質と人の目が多すぎるからね」
「決着だと?」
「仲間に出来ないのなら死んでもらう他ない。
他の連中に引き抜かれたなんて事があってはマズい事になるからな」
「じゃあここで終わらしてやるよ」
「人質取られてるの忘れてんのか?」
フランス人と由希と浅井は一斉に飛びかかってきた。
しかし俺はそれを受け止め3人に一撃ずつおみまいし、
窓から放り投げた。
そして3人は外にあった車へと叩きつけられた。
「貴様!!!!
何人のメンバーがいるか分かっているのか!
殺してやるぞ!!!」
フランス人は大声で教室に向かって叫んだ。
俺は窓の外から体を乗り出した。
放り投げられた3人は俺の事を睨んでいた。
マスコミや警察、野次馬たちはポカンとした顔で見ていた。
「俺。
天才らしいから。
何とかしてやるよ」
俺は生まれ変わりの理想郷のくそったれ共に宣戦布告をかましてやった。
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