第37話 反乱
先輩達も走り終えた。
見事に林先輩も決勝へと進出。
100メートル走には俺と林先輩、
陸上部やサッカー部等の運動部のキャプテンたちが並んでいた。
しかし、運動部のキャプテンたちは萎縮してしまっている。
もちろん俺がいるからだが…。
パーーンッ!!!!
スタートの合図が鳴った。
もちろん決勝もスタートを少し遅らす。
そして余裕の表情でスタートを切った。
もちろんごぼう抜きで一着。
クラスメイト達は嬉しそうに飛び跳ねていた。
もちろんブロックの3年生や2年生達も嬉しそうにしていた。
俺は少し盛り上げてやろうと思い、
走ってきた勢いのままクラスの方へと向かった。
するとブロックの皆が駆け寄ってきて盛り上がってくれていた。
人がひしめく中、皆がすごい笑顔だった。
その瞬間何か背中に衝撃が走った。
そして目の前が真っ白になってしまった。
次に目を開けた時、俺は小汚い部屋の中にいた。
まだ目の前がぼーっとしている。
まわりがはっきりとは見えずぼやけているような視界に何度も目をこすったが、
視界が晴れる事はなかった。
「お目覚めかい?」
「どこだよここ…?」
「それにしても丈夫だな。
100回になると免疫力も上がるのか?」
「何言ってんだよ」
相手は日本語だった。
俺は必死に目を凝らしたが、ぼやけてしまっていて薄汚い部屋と言う事しか分からなかった。
「さて交換条件だ」
「何だと?」
「ここがどこか一発で当てれたらお前の質問に答えてやるよ」
「答えれなかったら?」
「誰かが死んじゃうかもな」
俺は何とか情報を得れないかと思ったが、
何とも出来ず、体も自由に動かせず、
まず何が起こっているのかも把握出来なかった。
「わからねぇよ…」
「そうか…
じゃあ仕方ないな」
すると前に座っていた人物は立ち上がり、どこかへと向かった。
5分程すると男の叫びと共にドアが開いた。
俺はどうやら椅子に座らせられているらしく、
足元に男が滑り込んできた。
その男は何か叫んでいた。
「おい!江口!しっかりしろ!」
「え…?」
「こいつら何なんだよ!
大騒ぎになってんだよ!」
「なにが…?」
必死に俺に叫び続ける男に向かってさっき俺に質問をしてきた男が割って入った。
「そいつは当分動けないし、
まともには喋れねぇよ」
「は?」
「クスリ使ったからな!
普通人間なら死んじまうけど、
こいつは特別だからな、簡単には死なねぇよ」
俺はどうやらクスリを盛られているらしい。
どうりで体が上手く動かないわけだ。
俺は2人が何かを話している間に、
体のどの部分であれば正常に動くかの動作確認をしていた。
指は動くが、握るまでの握力はない。
足もピクピクとはするが、歩ける程回復していない。
視界も晴れる事は当分なさそうだ。
そんな中俺はどうするべきか考えていた。
しかし、そんな事を深く考える暇もなく、
事は起こった。
「おい!」
「えっ?」
「交換条件だよな」
「はっ?」
すると男は俺の足元の男性を担いで窓際へと向かった。
「ちゃんと答えない雅くんが悪いんだからな~
林くんよ」
「えっ?」
「うわぁぁあああっぁぁぁあああ!!!!!」
叫び声と共に何かが叩きつけられる音がした。
「死んじゃったかな?
まあ運が良ければ生きてるかもな」
「おい…。
今林くんって…」
「2年生の林くんだよ?
知り合い?
なんか下に降りてったらお前の事がどうだって掴みかかって来たから、
連れてきてやったんだけど」
「お前まさかここは…」
一瞬間が空いて男は言った。
「お察しの通り学校だよ」
「どういう事だ!!」
「交換条件だよ雅くん。
質問に答えて欲しいならこっちの問題に答えられないと」
「貴様!!!!!!」
「おっ叫ぶ元気は出てきたみたいだね~
じゃあ次の質問に行こうか」
「動けるようになったら覚悟しとけよ」
男は反応せず質問を続けた。
「本部は何処にある?」
「なんだと?」
「お前が所属してる本部だよ。
場所は何処だ?」
「お前何企んでんだ?」
「交換条件だ。
答えろ」
俺は何も言えなかった。
そうすると男は俺の方へと歩みよってきた。
そして胸ぐらを掴んだ。
「おい。
ガキがいい加減にしろよ。
吐かねぇと全員お陀仏だぞ?」
「…」
すると男は俺の顔を思い切り殴った。
そして俺は吹き飛んだ。
壁に椅子に座らされていた俺は椅子と共に吹き飛び、
廊下側の窓枠に叩きつけられた。
ものすごい威力のパンチを久々に受けた気がした。
しかし幸運にも殴られた事で意識がはっきりしたような気がした。
俺は自分で立ち上がる事が出来た。
そして男の方にゆっくりと視線を向けた。
そこにいたのは兵士のような恰好をした浅井だった。
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