第32話 真実
俺は白川を担いで校門を出た後に達也に電話をかけた。
「達也か?」
「お久しぶりですね!」
「ドラッグの元凶らしき生まれ変わりを捕まえた。
どうすればいい?」
「殺してないんですか?」
「とりあえず生け捕りにしてあるよ」
「場所は何処です?」
「高校の前だよ」
「騒ぎになってないでしょうね…」
「全校生徒及び教師たちの視線が痛いから早くして欲しいんだけど」
「何してるんすか…。
目立たないように言われてるんでしょうに…」
「仕方ないだろ…。
手加減できない相手だったんだし」
「すぐに部隊を向かわせますよ」
俺は校門を出て、
校舎から見えないところまで白川を運んだ。
あまりの痛みに呻く事しか出来ていなかった。
5分も経たないうちにスーツ姿の男女がやってきた。
俺の顔を見るなり近づいてきた。
「達也さんの命令でやってまいりました」
「お疲れさん。
こいつを達也の所まで運んでもらえるかい?」
「はい」
「俺はちょっと寄るところがあるから。
その後に合流するって伝えといて」
「承知しました」
俺は白川を受け渡し、
高校へと戻って行った。
そしてそのまま校長室へと向かった。
そして部屋をノックした。
「だ…誰だ!!」
「失礼しますね」
「おま…」
「校長は知ってらしたんですか?」
「何だ!いきな…り…!」
校長は明らかに動揺していた。
「白川美鈴の件ですよ」
「白川君がどうにかしたのかね!!」
「まさか学校で組織ぐるみでやってたなんて事ありませんよね」
「な…なんの…ことだ!」
「この学校内でドラッグが売買されています。
それも教師や生徒という垣根を超えて大量に…」
「くっ…」
「確かに白川が主導であれば学校内の生徒にバラまくのは安易でしょう。
しかし、教師にバラまくには御膳だでが必要だと思いましてね」
「わしがやってるとでも言いたいのか!」
「あくまで推測ですが、
この学校の先生たちはベテランの先生が多いですね。
しかも何人か赴任して10年以上が経過している」
「だから何だ!」
俺は携帯の画面を校長に見せた。
「そ…それは…」
校長の顔は青ざめていた。
「これはドラッグを使用している教師のリストです。
ちなみに先ほどお話した、
経歴が長い教師の方は皆使用している事が判明しています。
校長の名前もこちらに…」
「君は何なんだ!」
「ドラッグは白川主導でバラまかれたものではありませんね?」
「わしは知らん!!!」
「勘の良い白川の事ですからね…。
あなた方教師が仲良くドラッグの使用を行っている事がバレたのでしょう。
白川の親を引き合いに出されてしまい、
言う事を聞かざる終えなくなった…」
「…。」
「白川は資金調達を目的として、
学校でも有名な不良だった当時3年の相田の兄貴にドラッグを流した。
最初は不良生徒の間だけで行われていたのがいつの間にか相田が卒業したことに
より、一般やOBまで出回ってしまう結果になった。
白川の命令でドラッグのまとめ役を任されていたが、
まとめきれなくなったお前等教師は元々購入先だったヤクザの元へと駆け込んだ」
「貴様…」
「ヤクザ達はそんな話されたら逆に儲け話にしか聞こえなかったんでしょ。
相田の兄貴達を使ってさらにバラまき始めた。
ヤクザの指示か相田の兄貴、白川の考えか知らんけど、
弟を使って再び在校生にもドラッグをバラまき始めた。
そんな中、俺と言う存在に引っかかってしまったわけ。
結果的に世間にドラッグの存在をちらつかせてしまった。
もちろんヤクザは黙ってないわけだ。
最終的に俺の元にヤクザが脅しに来たのもお前らが情報流したってところかな」
「どこから気づいてた!!!」
「駅の前で車から降りてきた男が言ったんだ」
「何を!!!」
「相田のクラスメイトの江口か?ってな」
「はっ?」
「ヤクザが俺と相田が同じクラスである事を何故知ってるか。
圭が捕まる時にあいつ等はいなかった。
ほんの数日で兄貴の方から情報を聞き出したとは考えづらい。
つまり状況を知る学校関係者がクラスメイトである事を言ったに違いない。
推測するに圭とお前ら教師が繋がっていたのだろうな」
校長の顔は完全にキレているように見えた。
「叩けば埃がだいぶ出そうだな。
お前らただで済むと思うなよ」
「わしらは白川に言われて…」
「それでも使用していただけでも罪にはなる。
このことは報告させてもらう」
「お前は一体…」
「日本の最終兵器ですよ」
「えっ…?」
膝から崩れ落ちたままの校長の姿は何とも言えない哀愁が漂っていた。
俺は達也に全てを報告した。
達也たちはドラッグの疑いのある教師を確保。
校長と共に警察へと連行となった。
「いや~
お手柄ですね雅さん!」
「この先この学校はどうなるんだよ」
「今回は校長と教師が学校の運営費を横領という事で話をつけておきます」
「それで中身を全て入れ替えるって事か?」
「保護者を納得させるのに骨がいりますね」
「俺はあそこまで暴れて白川をボコボコにしたんだ。
転校だろ?」
「今回幸いな事に雅さんの後姿しか見られていません。
警察関係者によるおとり捜査という事にしておくつもりです」
「高校生に扮して警官が紛れ込んでたって話にすんのか?」
「面白い内容だとは思いませんか?」
「無理があるような気しかしないけどね」
「そういうのを世間は面白がるんですよ」
事件が終わって数週間が経った。
結果的にテレビのニュース等で学校教師横領事件として取り上げられた。
おとり捜査官として入っていた人間に関しては個人の為写真の公表などはされなかった。
学校と言う学び舎におとり捜査を入れる事に物議を醸しだし、
警察は市民やメディアから大きなバッシングを受けた。
白川も警視総監の娘として横領の片棒を担いでいた事を発表された。
警視総監は責任問題から自主退職となった。
白川は学校を退学。
ドラッグを使用していた教師たちは全て横領と言う事で刑務所に無期懲役で収監され、ドラッグを使用していた生徒たちは生まれ変わりの本部の人間によって学校を信用出来ない為他の高校に再入学と言う手続きを踏まされた。
実際は保護観察付きで治療をしながら他の学校で生活となっているらしい。
ヤクザ達は生まれ変わりの人間達による粛清により、
未だ所在不明となっている。
「雅くん!」
「おう」
「教師みんなで横領だってさ!
私の友達転校しちゃったよ…
学校は信用できないとか何とか言って…」
「まああんな事あったらね」
「うちの親も高校変えようとかなんとか言ってたの」
「どうする事にしたの?」
沙耶は俺に満面の笑顔を見せて言った。
「雅くんと結婚するから私は嫌だって言ったよ!」
「はあ?」
「お父さんもお母さんも大賛成だって!」
「マジか…」
「明日土曜日だしうちにおいでって言ってたよ!!!」
「はぁ…」
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