ステータスと技能の吟味

 CoCはリソース管理がキツいゲームである。

 なのでステータスの吟味と観察は重要であり、敵対的なKPの殺意あるシナリオと殴り合いたい場合は、歯ごたえある探索者を作成し、適切な技能をとっていくことが重要である。

 当然、シナリオ推奨技能などが指定されていればそっちの方が大事だが、他にもステータス次第で取ったほうが楽できる技能は一杯ある。


●「STR」

 某動画でも有名な『マーシャルアーツ』と『キック』が大好きな蛮族はダメージボーナス欲しさにこれとSIZをよく気にするだろうが、正直STRが高いなら『組み付き』を持ってるだけでも全然強い。特に人間相手には絶大な効果を発揮する。暴れる味方の発狂者を一時的に黙らせたりしたい場合も有効である。無論、狂信者やらを締め上げて尋問したりする場合にも使える。殺さずに済ますことができるところが利点である。

 ただ、神話生物相手にはあんまり信頼できないステータスである。そもそも物理攻撃がロクに効かなかったり、STRデバフ食らって動けなくなったりするからだ。勿論、発狂すれば目も当てられない。

 基本的に対人ステータスと思った方がいい。これが高いPCの仮想敵は銃を持たない人間である。

 野生動物の相手をしたい? 銃を持ったほうがいい。


●「CON」

 発狂して死ぬより殴られて死ぬ方が容易く死ぬゲームであるため、HPは重要である。CONが高いというだけで輝かしいHPタンクへの道が開かれている。KPと相談して厚手のジャケットくらいは出来る限り準備しておきたい。

 物理ダメージやショックは勿論、毒や病気に強い高CONのPCは必然的に発狂しない限りは生き残りやすいため、『応急手当』、『精神分析』、『薬学』、『医学』などを持てば他の死にかけPCを治療してやることも容易くなる。

 高CONを引いた場合はパーティのお母んになってやるくらいのつもりでいるといい。お前がパーティを守るのだ。神話生物以外から。


●「SIZ」

 ダメージボーナスとHPのおまけみたいなステータス。基本的にSTRが高いかCONが高いかで荒事屋になるかHPタンクになるかの分岐をするが、低ければ低いなりに咄嗟に『隠れる』際にゴネやすくなるため、使いようはある。

 だいたいの脅威とは素直に殴り合うよりやり過ごすか、奇襲して一方的に虐殺するかした方が楽なゲームであるため、身を隠しやすいというのは大きな利点である。

 無論、体がデカいならデカいなりに体重を引き合いに出すなり、表面積を引き合いに出して仲間を庇うなりとゴネる機会もあるということなので、想像力を働かせよう。


●「INT」

 技能値や『アイデア』に関係するため、探索においては非常に重要なステータスだが、低いと発狂し辛いという利点もあるため、高い場合と低い場合でビルド方向がガラッと変わるステータスでもある。

 高い場合は勿論パーティの知恵袋になるため、『図書館』、『説得』、『言いくるめ』、『心理学』、『オカルト』などの神話生物本体からは多少遠い場所で活躍できる技能を充実させるといいだろう。日本国内シナリオなら魔導書対策に『英語』や『ラテン語』なども欲しい。『アイデア』が高い場合はどうしても発狂しやすくなるため、発狂する危険性が高い探索はなるべく他の仲間に任せたい。高POWでも裏目る時は裏目るからだ。

 低INTの場合は「俺、バカだからよくわかんねぇけどよ」と言いながら発狂を避けやすくなるため、出来る限り高POWを確保したい。低INT高POWのPCは理想的SANタンクである。その場合は『目星』、『聞き耳』、『回避』などの冒涜的探索現場で強い技能を充実させつつ、精神的危険地帯をうろうろして他PCのメンタル被害を低減するといいだろう。


●「POW」

 いわずもがな最重要ステータスである。SANは勿論、高い『幸運』とMPは対神話生物や冒涜的ギミックに対して非常に有効なステータスばかりであり、これが高ければ神話生物に強くなり、これが低ければ神話生物に弱くなる。INTが低ければさらに申し分ない。

 SANタンクは探索の主役であり、何はなくとも『目星』、『聞き耳』、『回避』の現場三種の神器は確保しておきたい。勿論、余裕があれば『鍵開け』や『図書館』も是非欲しい。特に魔導書を読んだりする場合は『図書館』が要求される事が多いため、『図書館』は出来る限りとっておきたい。取れるなら『英語』や『ラテン語』もである。当然、自分だけ正気という場面も出てくるため、『精神分析』も欲しい所だ。

 見たら発狂するなと思えるような脅威の存在が想定できる場面では単独行動も辞さないつもりで前に出よう。勿論、パーティ分断からそのままぶっ殺される可能性もあるので常に有効な選択肢というわけではないが。

 とりあえず、あやしい扉やあやしい本を開ける場合は高POWのPCが最初に前に出るのが無難である。


●「DEX」

 これが高いPCは戦闘の支配者である。真っ向殴り合いでも先手が取れるというのは絶大なメリットであり、出来る事なら武器を持ちたい。勿論可能なら銃をである。

 高DEXから放たれる連射は相手が高位の神話生物でない限りは絶大な威力を発揮し、特に対人相手なら武器次第では行動すら許さず血の海に沈めることも可能である。DEX補正で高まっている『回避』も頼もしく、DEXが高いというだけで華々しい殺戮者としての道が開かれているのだ。『忍び歩き』や『隠れる』からのスニークアタックでゼロ距離射撃・貫通を達成した暁には、大半の人間は何もできずに命を落とすことになるだろう。通常ならやり過ごすしかない凶悪な野生動物の討伐も視野に入る。

 だが、それだけの火力があるということは、発狂したらその矛先が味方に向く可能性もあるということでもある。低POWの場合、火力を持っているなら集団行動は避けたほうがいいだろう。少なくとも味方が射程範囲内にいるときは迂闊な行動は避けた方がいい。集団行動の際はなるべく発狂しそうなギミックの周りをうろつくことは避け、他の脅威に対する備えをしたいところである。

 また、銃を握ったところで、一発でSANが1d20とか吹っ飛ぶ神話生物の相手はどうせ不可能であるため、過信は禁物である。また、CoCはだいたいにおいて公権力や法律にもPCは弱い場合が多いため、実際的暴力を振るう場合は時と場所を考え、慎重に行動する事を勧めておく。


●「APP」

 ほぼゴネ用ステータス。低いとKPからいじめられることもあるため、高いに越したことはないが、攻略だけ考えるなら優先度は然程高くない。

 だが、CoC世界の一般市民はだいたいルッキズムに支配されているため、低いと対人交渉で不当なペナルティを課せられることもある。そのため、これらを活用したい場合はそれなりの値は確保しておきたい。

 逆に言えばこれらを活用する気がないなら、むしろ恫喝や脅迫の種になることもあるため、NPCとの会話を重要視しないビルドなら敢えて低くするのも手である。

 実際、神話生物とほぼ見分けがつかない壊滅的な容姿の不細工が銃やナイフを構えて「お、おで、がまん、にがて」などと言って来たら、筆者はSANチェックを行った後、多分なんでも洗い浚い喋ってしまうだろう。筆者だって命は惜しい。

 

●「EDU」

 これが高いPCは技能値は勿論だが、高い『知識』を得られる点から読み物や調べ物での活躍を期待されることになる。そのため、『図書館』はほぼ必須といえる。『コンピューター』や各種学問も出来れば握っておきたい。無論、『英語』や『ラテン語』などもである。欲張れるなら『言いくるめ』や『説得』も欲しい。

 ただ、これらは職業に左右されるところが大きいため、高EDUのPCはKPとの相談が一番重要になる。なんとか有利な職業にありついて、高い技能値を生かしたいところである。

 KPとの密な話し合いは実際のプレイでも大事であるため、ここである程度プロレスの質を確かめるという意味合いもある。敵対的なKPも本当に敵であるわけではないのだ。たまに本当に敵のKPもいるが、そうであるか否かも此処で話し合えばある程度は確認が可能なはずである。

 

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