武器商人がラスボスでした。

@amanoreiyou

第1話いよいよ最終決戦!

「この扉の向こうに魔王がいるのか……」


俺の名前は魔王太鳳葬まおう たおそうだ。


「そうですね。しっかりと準備を整えましょう」


そういうのは勇者治僧ゆうしゃ なおそうだ。


「その通りだぞ。治僧」


と、勇者守牢ゆうしゃ まもろう

二人は兄弟だ。


「もう、焼子疲れた~」


そう言ってペタリと座り込んだのは魔王焼子まおう しょうこ

俺の妹だ。


俺たちは今、魔王の部屋の一個前の部屋にいる。

なんだかここは静かでこれが嵐の前の静けさというやつだろうか。


「これはこれは勇者ご一行。ぜひぜひ見て行ってくださいな」


そう喋りかけてきた人みると、色々な武器を持っていてどうやら武器商人のようだ。

う~ん、俺は勇者の剣もってるし、焼子は大魔導士だいまどうしの杖、、、皆もう最強の武器持っちゃってるしなぁ。


「なぁ、武器商人の兄やん。復活の薬持ってない?」


と守牢。

いや、復活の薬なんてそうそうないだろう。

まぁ、一応の確認だろう。


「戦士の兄さん、それはさすがにありませんが、どうです?この剣。これはここにしかない一点ものですよ」


「おお、すげぇ」

と守牢。


いや、大量生産の剣って……

あぁ、兵士の剣とか同じ規格のものが配られるのだっけ。

守牢の大戦士の剣も一点ものですが。

中古だから嫌なのかな?

勇者の剣なんて何人目だよ俺。どんだけ使い古されてると思ってんだ。


しかし、商人の出した剣を見てみると中々これが良さげな見た目をしている。

ふ~む。

ひきつけられる見た目をしているが、、、残念ながら見た目で選べないのが武器の辛いところ。

魔王戦でネタ武器は勘弁してもらいたい。

世界の命運がかかっているのだ。


「おい、太鳳葬。これすごく良い感じじゃないか?」

守牢は若干興奮気味じゃっかんこうふんぎみに話す。


「まぁ、単純に性能がどうかだよな」

と当たり障りのないことを言う。


「じゃあじゃあ、教えてもらいましょ?どうなんです。この武器」

と焼子が割り込んできた。


「性能は手に取って貰ったらわかるでしょう。どうぞ、試し切りでもしてくださいな」

と商人は守牢に剣を手渡そうとすると、これまた治僧が割り込んでかた。


「せめて、出自くらいは教えて貰ってからでもいいのでは?」


「そうか?試しに使っちまったほうが早いだろう?」

守牢。

さっさと剣を振りたいみたいだった。


「振ったほうが早くね?」

俺も守牢に便乗する。


すると治僧は俺に

「いやこれ、呪いの武器かもしんないし。そもそもこの武器商人も魔王そこに居るところで商売するっておかしいでしょ。こんなところでゆっくり休めてる時点でおかしいだろう?魔王が打って出てきてもおかしくないのに」

と耳元でささやく。


「いや、凄く違和感を感じているのはそのおかしいの量で分かったけれども。いきなりぶっこんでくんな」


「いや、あくまでもそこに魔王いるよ?しっかりしとこうぜ」


「でも、装備したときすぐに解呪かいじゅ魔法かければいいんじゃない?お前の魔法で解けん呪いなんかないだろう」

因みに解呪魔法をかけた時、呪いが何もなければささやかなダメージがプレゼントされます。まぁ、むやみやたらに使えんわな。


「そういう慢心がねぇ……」


と二人でこそこそやってると、

「何?お前ら」

と守牢が聞いてきたので

「なんでも」

と返す。


「じゃあとりあえず素振すぶってみんね」


「おう。素振れ。素振れ」


「じゃあ、どうぞ。お持ちください」

と武器屋は守牢に剣を手渡す。


「よし、お、良い重量k」

「はぁぁリムーブ!!」

とすかさず解呪魔法をかけてみる治僧。

いや、早いな。そして気合が凄い。

正直何もないだろう。そう思っていたのだが、

良い感じに魔法がかかったと思うと

「パリン!」

と剣がくだった。


「お前、呪いの武器を渡すとは何者だ!」


「ふふふ、我こそは魔王軍最高にしt——」


「はいどーん!」

と焼子の火炎魔法が炸裂さくれつ

そして守牢と治僧が続けて飛び掛かる。


「ぶっ飛ばぁす!」

「吹きとべぇ!」


そして俺はただ見ていた。

いや、サボってたわけじゃないからね。

戦況を冷静に分析していたんだからね?


「いやでも、話くらい聞いてもよかったんじゃね?」


駄目だめだよ。そこは間髪かんぱつ入れずにぶっ飛ばさないと。先手必勝。戦いの基本だよ?」

焼子が言う。


「そうだけどさぁ、何か言いかけてたし……」


「まぁ、それは魔王に聞いたらわかんじゃね?」

と守牢。


「それこそ間髪入れずに倒せよ」


「でも今回の敵はなんか砂になっていい感じに消えてくれたね」

と治僧。


「あぁ~わかるわぁ。倒した敵ゴロゴロ転がってんの気持ち悪いもんね」

と焼子。


「全員砂になればいいのにな」

と守牢。


「お前ら命無き物に何求めてんだよ。お前らはなれんのかよ。砂に」


「なるよ。私。砂に、なるよ」

焼子。


「え、そうなの?うちらの家系ってそんなのなの?」


「ようし、魔王の間にいくぞ!」


「それ、魔王の間であってるの?」


「分からん!!」


「よし、最終決戦だね」


「力合わせて」


「乗り越えるぞ」


「おー!」

「いぇーい!」

「よっしゃー!」

「いくぞー!」


け声と共に、ドアを蹴破けやぶり、部屋になだれ込む。



「あれ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

武器商人がラスボスでした。 @amanoreiyou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ