第1話・修学旅行ははじまりの国だそうです2

 必修なら必修だと早く言ってほしかった小雪である。


「そもそもナイフしか支給されてないのに、魔法学なんてやるの?」


 苛立ったように小雪がいうと、クラスメイトたちは奈津をみた。


 クラスメイトには奈津は小雪と対等に渡り合える人物であると、この一月でわかっている。


「魔法学の時限定で渡されるブレスレットがあるんだ。小雪はなかなか来ないから知らなくてもしょうがないよ」


「ホントにもっと早く教えてくれるかな、奈津ちゃんよ」


「僕は男だから「ちゃん」はどうかと思うんだけど?」


「良いじゃん、中性的すぎてどっちかわかんないし」


 ニヤニヤしながら小雪がいうと、クラスメイトが「悪魔だ!」と総突っ込み入れた。


 悪魔とかいわれても小雪は気にしない、むしろ彼女には褒め言葉だった。


「小雪は悪魔じゃなくて、猫なんだよ。みんなは猫と悪魔の区別もつかないの?」


 奈津がそういうのでクラスメイトたちは「奈津はズレている!」といわれたのだった。

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