第1話・修学旅行ははじまりの国だそうです3

「で、そもそも修学旅行はどこに行くのさ」


 小雪が不機嫌そうにそういえば、アルベルはいう。


「はじまりの国だ」


「はじまりの国ねぇ」


 ファンタジーゲームとかをやると、よく最初の国の名前は最初の国とかはじまりの町だのあるが、それと同じ感じだろうか?と、小雪は考える。


「はじまりの国のハルマリーで修学旅行をする。お前たちには自分のブレスレットを自分で作ってもらう」


 自分で作るのかと生徒達がざわつき始める。


 女子はウキウキしながら、男子は悩んでいる者もいるが、奈津はそんな素振りは見せず楽しげに笑っている。


「奈津ちゃんはブレスレットを作るの楽しみなのかな?いじりたくなる顔してる」


「何、そのいじりたくなる顔って」


 ただ、笑っているだけの奈津に奈津をいじる小雪である。


「小雪は修学旅行楽しみじゃないの?」


「私の楽しみはどこにでも転がってんの。だから、奈津ちゃんはさっさと女子の服を着た方が良いよ。自分の性別間違ってない?」


「間違ってないから男子の制服を着てるんだけど?」


 首を傾げる奈津は小雪にはどう足掻いても、女子に見えた。

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