第6話 自由
別居をして最初に心配をしていた家事についてはドラム式洗濯機とロボット掃除機の進化で何のストレスもなく自分でできるようになり「二十四時間、愚痴や文句も言わないで働いてくれる」電化製品に驚嘆した。また仕事に集中できない時はトイレ掃除をピカピカにするなど環境を清潔に整えると仕事もやる気になったり今まで経験したことがないことに気付かされた。料理はレシピのアプリがたくさんあるのでそれを見て殆どの料理が作れるようになり、今では料理が自分の大好きな趣味となった。化学調味料を一切使わないで全て天然出汁で旨味を取り、今では釣った魚や市場で仕入れた食材で和食やイタリアンのフルコースを作って友人たちに振る舞い、喜んでもらえるのが嬉しかった。家事以外でもう一つの心配は孤独だった。仕事上、人と会うことが多く、プライベートは一人暮らしの為に気楽に遊びに来てくれる友人も増えて、意識的に一人の時間を作る必要を感じるほど充実をしていた。異性関係も新しい発見が多かった。第一に離婚歴があり、子供がある程度大きくなって経済的に自立をしている女性で、結婚という名の契約行為を無理には望まないと言っている女性が多くいることがわかった。もっともその女性達の多くは「結婚がゴールだとは思ってはいないが、良い方がいたら結婚ができたらいいとは考えている。」というので本心は安心できる結婚をしたいのだろう。第二に独身でこれまでキャリアを積んできて、子供を作ることよりもキャリアを積んでいくことを選択した高収入の女性である。面白いことに1000万円以上の高額所得者である女性でも「もし結婚するなら自分より年収の高い方でないと考えられない。イケメンでお金のない男性とは恋をしたいとは思うけど」と笑う。経済的に自立している女性でも古代からの女性のDNAである「自分より能力がある強い男性に守って欲しい。」という安全欲求本能と、男性以上に損得に敏感な女性の「結婚をすることで損をしたくない」という強い意思を感じた。エステ感覚でセックスを求めている女性も多かった。第三に夫とのセックスレスが数年続いている人妻の割り切った性交渉の需要もとても多いことがわかった。夫は家族としては優しい人だし、収入も安定しているので離婚をする気は全くないが、自分も生身の女性なので、月に一度で良いので、「〇〇ちゃんのママ」でも「△△さんの奥さん」でなく、ひとりの女性と見てくれる男性に愛されて性行為をしたい。でもトラブルには絶対になりたくないので、夫とは面識がなく、私と結婚願望も持たない口が堅い人を探している」という依頼?も数人からいただいた。毎月、生理前に抱かれたい女性と生理後に抱かれたい女性がいることが男性である拓実には興味深かった。第四に若い女性が欲しければ、パパ活サイトに登録すれば二十代前半の驚くような美人から相当数のメッセージが登録した日から届いた。最も風俗嫌いの拓実には「最初の顔合わせは一時間で1万円、気が合ってお食事をお互いにしたい時は3時間で3万円、大人(性行為のことを大人というらしい)は5万円、長期契約を望みます。」という言う要求には興ざめであったので拓実は利用しなかった。いずれにせよ、異性とのデートには全く困らなかった。費用も食事代程度は男性として拓実が払ったが、それだけでも女性に感謝をされて、居酒屋やカフェに行くときには「安い時には私に出させて下さい。」とユーモアを交えて払われたり「美味しそうなものがあったのでおみやげに買ってきましたので一緒に食べましょう。」とか、結婚生活と異なる笑顔での会話と心ときめくセックスをする時間がとても心地よかった。
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