第6話 新たな送り物
「藤本さんが用意したってどういうこと?」
それって優待って言わないんじゃないかな。ただの送り物だよね。
「えーとね。こういうのを通して仲良くなれたら良いなって思ったの。真夏くんが持ってるのは私の好きな漫画なんだ。それでこの良いところって書いてある紙はその名の通りお互いの良いところを書くの」
「なんのために?」
俺がそう問うと何故か彼女はほっぺたを紅くし上目遣いでこう答えた。
「だから真夏くんと仲良くなるためっ。だって私たち許嫁でしょ?」
その笑顔ときたら多分どんな男でも恋に落としてしまうようなとびっきりのものだった。一瞬にして心臓が跳ね上がる。
「仲良くなるために早く部屋に戻っていろいろ話そう?」
「はい……」
その笑顔にあてられたおれは全てを放り投げて藤本さんの言葉に従ってしまうのだった。俺にあの笑顔に抵抗できるスキルはなかったよ……
「じゃーんチキチキ第一回お互いの良いところ言い合うたいかーい」
場所はまた俺の部屋。異様にテンションの高い藤本さんと小さいテーブルを挟んで向かい合う形だ。
そう言えば藤本さん服着替えたんだ。フリルブラウスにミニスカート。そこに淡いピンクのショートカーディガンを合わせている。はっきり言おう。可愛い。
都会と比べ、そこまでデザインの良くないうちの高校の制服を着ていても男子からは可愛いと言われるのだ。私服だったらその可愛さも倍増されることは間違いない。
「始まりました二人の良いところ言う大会! それじゃあ先攻真夏くんどうぞ!」
ビシッとキレよく俺を指すが、そこからシーンとした空気が流れる。それもそうだろう。だって何をすればいいのか分からないから。
「なにしたらいいか分からないって顔してるね真夏くん」
すごいな。表情から俺が思っていることを暴くなんて。それとも分かりやすかった?
藤本さんはルールについて丁寧に教えてくれた。そのお陰でルールはバッチリ理解することができた。
ルールはお互いの良いところを紙に書いて言っていくというもの。出なくなった方が負けらしい。
みんな簡単だと思っただろう。俺もそう思った。ただこれかなり難しいゲームだ。
よく考えて欲しい俺が藤本さんのことを褒める。それってめっちゃハードル高くね? 逆も然り。藤本さんが俺のことを褒める。多分悶え死ぬだろう。
つまりこれは羞恥プレイなのだ!!
「仕方ないね。やっぱり私が先攻にしてあげる。ふふふ。覚悟はいい?」
こうして藤本さんとの戦いが始まるのであった……
読んでいただきありがとうございます! たくさんの評価ありがとうございます! とても嬉しく思います。これからも頑張りますのでよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます