第8話 事件後
襲撃者が取り押さえられてから10分もしないうち連盟の部隊の1人が合宿所に待機していた教師に事件の報告をした。するとすぐさま緊急時の信号弾が空に打ち上げられて、班別行動は中止になった。そして学校からオリエンテーションの予定はキャンセルされ、生徒、職員は全員帰還することになった。
そして、一年生は一週間の休みとなった。もちろん、教師は学校への報告と連盟の事情聴取を受けなければならないのでもちろん休みにはならなかった。
そして襲撃者に両足を切られた飯島と岡本は全治1ヶ月、肋骨を骨折した南と真柴は全治2週間の怪我を負った。いくら便利な魔法社会とは言え、大怪我を一瞬で治す様な魔法は存在しない。いや、一応は存在するが賢者クラスにしかそんな魔法は使えない。
今回の襲撃事件は日本の魔法界に衝撃がはしった。今までも国魔連は武力衝突などは何度も起こっているが、それは主に国同士の戦争やメインだった。それが今回は遠く離れた場所で、しかも割と身近な魔法学校で起こったからだ。
さらに犯人は一介のテロ組織だという事も驚きに拍車をかけた。所詮、テロリストと侮って連盟も十分な対策を行っていなかった。同様にほとんどの魔法使いがテロリストを甘く見ていた。
関東第一の校長室にて霧崎は東堂に事件の報告を行っていた。
「という事です。」
「まさかここまで大事になるとはな」
「そうすね。テロリストがここまでの戦力を持っているとは思いませんでした。リーダー格の男は感覚的に上級魔導師でしたよ。」
「確かに未登録の上級魔導師がいることにも驚いたが、それよりも内部の情報が漏れていた事が問題だろう。」
「確かに、ピンポイントで100家の岡本と真柴を誘拐する事ができたのは内部情報が漏れていた証拠でしょう。」
「本部への報告はどうするつもりだ?」
「一応は報告はしますが恐らく何のアクションも起こさないでしょう。魔法途上国ではテロリストがはびこっているそうですが、国魔連の加盟国ではまだ日本しか大きな事件になってませんからね。」
「お前もそう思うか。俺も今回は支部での対応になるだろうと睨んでいる。支部長のことだ、すぐに対処してくれるだろう。」
その日の夜、2人は東堂の秘蔵の一本を空けて酒を楽しんだ。
事件から1週間後、民間の病院に入院していた飯島、岡本、真柴、南の四人に守都が見舞いに来ていた。
「よう!お前ら元気になったか?ほい、これお見舞いな。」
そう言って籠いっぱいの果物を近くの棚に置いた
「あ、守都さん。ありがとうございます。足はまだかかりそうですが、肋骨の骨折はほとんど治りました。」
その後、軽く言葉を交わした後に守都は仕事があると言って四人の病室を出た。守都がエレベーターに乗って一階に降りようとエレベーター前で待っていると後ろから真柴が駆け寄って来た。
「守都さん。」
「どうした?何かあったか?」
「霧崎先生はどうなりましたか?」
「あいつ、まさか見舞いに来てないのか?」
「はい、一回も来てません。お礼を言いたくて待っていたんですけど…」
「はぁ。ごめんな、霧崎はそういう冷たい奴なんだよ。たぶん俺から言っても絶対に来ないだろうからお礼は学校行った時にでもいいな。」
「は、はい」
「霧崎の奴を悪く思わないであげてくれ。霧崎も色々あって大変なんだ。」
そう言って、守都はエレベーターに乗り込んで帰って行った。
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