第18話 ライトネス・ダイヤモンド再び

 ダイヤモンド・カイの新人構成員・アリーシャは緊張していた。

 ライトネス・ダイヤモンドに電話をとりつがなくてはならないからだ。

 手には盗聴防止用の極秘回線長距離通信機器が握られている。

 彼は自分の部下であっても気に食わなければ平気で射殺する――そんな噂を聞いていた。

 アリーシャは大きく息をついてからライトネスの部屋のインターホンをならした。

 するとドアが自動的に開く。

 ――そこには。信じがたい光景が広がっていた。

 彼は首輪につないだ半裸の女性五人に自分の足を舐めさせていたのだ。

「おや? 新人かな? かわいい娘だ」

 アリーシャの背筋が凍る。

「キミは私がお楽しみ中のときはなにがあっても決してジャマをしてはならないという掟をご存じはないか?」

「知っています――」アリーシャは滝のように汗をかきながら辛うじて口を開いた。「ですがそれと同時にコード番号『3784』で電話があった場合はどんなときでも取り次ぐようにともいわれております」

「なに? それを早くいわないか」

 ライトネスは通信機を受け取った。そして。

「よし。よくやったぞスタン。ん? 二人をどうするかって? 決まっているだろう。処刑する。ギャラリーを入れて全宇宙に配信する。見せしめだ」

 そういってライトネスは電話を切った。

「もう帰っていいぞ。かわいい少女」

 女たちはふたたび彼の両足を舐め始めた。


 アリーシャは恐怖なのかなんなのかわけのわからない感情に足元がフラつき廊下にしりもちをついた。

 彼女はライトネスやダイヤモンド・カイの『あらゆる女性を蔑視した表現や行動を許さない』という考え方に感銘を受けて党員になった。だが。

(彼の考えは正しい。だがやっていることは――――――真逆だ)

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