第14話 side冨樫
冨樫賢介
※かなり強めの性的描写が含まれます。
※読まれる方はご了承の上お読みください。
――
横たわる俺の上で一人の女が腰をくねらせる。人間、好きだ嫌いだなんてのの前に一回抱けばいいんだ。抱いてみて、身体の相性が良ければその関係を維持していけばいい。そうすれば三大欲求の一つ、性欲は満たされるじゃないか。
その点、千奈はダメだ。いくらお願いしても身体を許さなかった。
すぐ側に渚砂の馬鹿もいたせいで、その護りは堅牢の一言。
優しい子なんだから大事にしろって、お前との関係は終わったのに何を言ってるんだか。瀬々木渚砂をフッたのは正直失敗したと思ってる。あんな尻軽そうな雰囲気の女なんだ、きっと気持ちいいに違いない。
「……っ、ねぇ、賢ちゃんも動いてよ……」
性欲の捌け口はいくらでもいた方がいい、その内の一人が自分の欲望を露わにする。
快感に溺れた女は美しい、普段は見せない表情に聞かせない淫靡な声。
「分かった、じゃあバックな」
「あは、嬉し、その方が深いからね」
そうそう、人間素直の方が良いんだよ。ひたすらに突いてやる、ご褒美だ。
高校生という若さと美貌を持ったこの世代の女は最高だ、いくらでも抱ける。
年上の女も抱いたことがあるが、ダメだった。やり過ぎてるのを抱いたってのもあるが。
屹立したモノを突き刺すと、女は快感に身を任せた喘ぎ声を上げた。
お望み通り深く深く突き刺して、そのまま体重を掛けて激しく。
顔が見れないこの体位は妄想を掻き立てるのに丁度いい。
桃の様な張りの良い尻を鷲掴みにして、操縦するみたいに上下左右に揉みしだく。
千奈……お前はいつになったら抱かせてくれるんだ。
大事過ぎて、過保護にし過ぎたか? そろそろ本性を見せるのもいいのかもしれない。
きっとお前の秘部はこんなもんじゃない、男を知らないお前を穢すのは、俺だ。
「なんで千奈は抱かせてくれないんだろうな」
ホテルの一室で女を腕枕にして、一人呟く。
「……それ、アタシがいる時に言う言葉? 別にアタシも身体だけだからいいけどさ……本当鬼畜だよね。千奈にばらしてやろうか?」
「別に、気にしてないくせに」
「あは、分かる? そうね……どちらかと言うと渚砂が邪魔なんでしょ? だったらさ、アタシが渚砂に変装するってのはどう? そこをわざと千奈に見せつけてさ、そこから崩せば早いんじゃないの?」
確かに、この女の風体は渚砂に少しだけ似ている。
化粧とかネイルを仕立て上げれば渚砂に見えなくもない。
「……じゃあ、試しに今やってみてよ」
「OK、ちょっと待ってね」
ベッドで横たわりながらスマホをいじっていると、女は出来たよと言いながら潜り込む。
正直、本当に驚いた。目の前に瀬々木渚砂がいるんじゃないかって思ったぐらいに似ている。
「これでネイルしたら完璧でしょ? スカルプ使って長くすれば真似も出来るだろうし……あ、ちょっと、なぁに? 渚砂としてるみたいで嬉しかった? あの子嫌いなんじゃなかったの?」
「今は違うだろ、渚砂の姿をした別の女だ」
「アハハ、いいよ、アタシの身体は好きにしても良いから……この、変態♡」
渚砂としてるみたいで、思った以上に興奮する。
そうか、千奈の親友とするっていう付加価値が付いてるからだ。
という事は、今の渚砂とするのもアリなのかもしれない。
……でも、本命は千奈だ。千奈を抱きたい。
「……っ、ちょ、激しくない!? …………っッ!」
後日、その女と共に千奈に見せつける様にしてホテルへと入り、する事をしてホテルを出る。
ホテルを出た後に千奈がいた事に少しだけ驚いたが、一途な千奈なら当然か。
そんな千奈が健気で可愛くて。三発はした後だったのに、今すぐにでも抱きたくなった。
でも、我慢だ。まずは渚砂との関係を崩壊させる。一人になった千奈なら
そう思っていた……だが、少々予想とは違う方向へと向かってしまった。
千奈と渚砂の関係に多少はヒビが入った様に見えたが、それ以上に俺との関係が悪化した。
表立って問うてこないが、僅かずつ距離が広がっていく。
王様ゲームで女に協力してもらって千奈とキスを要求するも、以前ならしてくれたそれも完全拒否だった。それに腹を立てて腕を掴み無理やりしたが、千奈は泣きながら部屋を出て行ってしまって。……その後は、完全に白けた空気が室内を包み込む。
「何か、千奈が浮気してるっぽいよ。相手はあのカラオケに来てた一年らしいけど」
別に浮気の一つや二つ、おかしな話ではないとは思う。だが、千奈の特別な最初は譲る訳にはいかない。そう思いながら監視すると、確かに千奈と奴の距離が近い。平穏を装いながら距離を近づけると、俺の浮気をチラつかせてくる始末。
なんなんだこの男は? 俺と千奈の関係を邪魔しやがって。せっかく千奈の護りを崩そうと思ったのに、コイツのせいで千奈がより遠ざかっていくじゃないか。
『賢介君、話がしたいので明日の放課後、旧校舎の三階、音楽室に来てください』
千奈からのSNSを見て、女が笑う。
「アハハ、これ完全に別れ話じゃない。失敗しちゃったね、賢ちゃん」
「……そう? 意外と音楽室で抱いて欲しいって事かもしれないよ?」
「アハハハ……はは、ま、アンタがそう思うのなら、それでもいいんじゃない? どうする? 見張りでもしてあげようか? 学校で先生にバレたら不味いでしょ?」
「……いや、協力してくれればそれでいい。叫ばれたりしたら面倒だからさ」
「直接協力するのは性質じゃないんだけど。面倒事になりそうだったらアタシは逃げるからね? それと、いつまでそんな喋り方するのさ。ホントのアンタはもっと醜悪でしょ?」
そういいながら、女はブラのホックを付ける。
相変わらず身体の相性だけは良い。それに性格も。
御堂中澄芽、俺の言う事なら何でも聞く女。
ただ、コイツはコイツで壊れてるからな、付き合うとかは二の次だ。
「ああ、構わないさ。ちょっと口を押えてくれれば、それでいい」
「あ、じゃあ良い事教えてあげよっか。音楽室の横にね――」
多分千奈の事だ、一発すれば大人しくなるだろう。
貴重な一発だ、丹念に味わうがな。
「明日が楽しみだな……景気づけにもう一回しようか」
「え~? 今着たばかりなんだけど?」
「馬鹿だなぁ、女の下着ってのは男が脱がす為に存在するんだよ」
「そんなの、初めて聞いたけどね…………あっ」
――
次話「side千奈」
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