(三)-6

 運転席からは大柄の男が出てきた。そして入野に向けて「お頭おかしら、ご無事でしたか」と言った。

郡元こおりもとか」

 入野がそう答えた。

「知り合いなのか」

「ああ」

「お頭っていうのは何だ」

「ともかく、署に連絡してくれ」

 そう言われて、白沢は拳銃を左脇のホルスターに戻してパトカーの運転席のドアを開き、無線のマイクをひっぱり、川居署を呼び出した。このとき白沢はちょうど入野たちに背を向けるような体勢だった。

 ちょうど川居署が応答し、白沢が応援を要請しようとしたとき、銃声が鳴った。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る