(三)-4

 若い男はパトカーの後ろへ回り込もうとした。

 そのとき入野が立ち上がった。手にはニュー南部の銃口が男の方へ向けられていた。

 それを見て白沢は「おい!」と無意識のうちに叫んでいた。入野が撃たれる!

 そう思った瞬間銃声が鳴った。若い男が撃った弾は入野から大きく外れて、織原金属のコンクリート製の門柱に当たったが、白沢が撃った弾は若い男の胸に命中していた。

 若い男は、胸を押さえて撃たれたことを確認したが、さらに入野に向かって銃口を向けて撃とうとした。しかし男が持っている銀色のトカレフは銃の上部が後ろにスライドしたままになっていた。弾を撃ち尽くしたのだ。


(続く)

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