第51話

 ララ様とリリ様は、俺と一緒に王都に行くそうなので。

 2階の客間で、過ごして貰っている。

 逃げ道は、無さそうだ。


 気分転換に、領内を歩く。

 まだ、それ程時間は立っていないのに。

 もう、外観は出来上がっている家を見ると。

 ファンタジーて、凄いな。

 と思う。

 ミーパが、俺を見つけ近付いて来る。

 この光景だけで、癒やされる。

 でも、戦争にミーパを連れて行こうと考える俺は。

 最低な気分にもなる。

 俺って、クズかもしれない。


 ミーパに、頑張るよう伝え。

 商店街?を歩く。

 すると、綺麗な花が並んでいるお店を見つけた。

 「いらっしゃい!?あれ?もしかして、新しい、領主様かい?」


 「あれ?バレました?」

 陽気な、おじさんだ。

 「ここは、お花屋さんですか?」

 「キレイでしょう。ワシラ家族で、丹精込めて作った。花達ですぜ!」


 「とても、キレイで。癒やされます。これで美人な定員だったら、全部買ってしまったかもしれません!」


 そう言うと、陽気なおじさんが。

 泣きそうな、顔になる。

 「面目ないです。本当なら、美人なカミさんがいるんですが。モーヒガに、連れて行かれ。怪我は、治ったのですが。まだ、家にはけぇって来てねぇんで」


 「それは、申し訳ありませんでした。怪我の治療は、させて貰いましたが。お力になれずに、申し訳ありません」


 「そんな、気にしないで下さい。怪我が治れば、後はあいつが元気になるだけですから」

 とは言うが。

 この空気は、シンドイ。

 「おやっさん。これとこれ包んでくれませんか?」


 「はい。毎度!」


 この空気に、耐えられなくて。

 花を、買ってしまった。

 その後、歩くが。

 治した女性が、気になり。

 戻った。

 入り口に、サリーがいて。

 「御主人様。その綺麗な花は。今度奥様になられる、お2人にですか?まめですね!」

 冗談だと、わかっているが。

 言葉を、返す気になれずに。


 彼女達の元に向かう。

 俺の様子が、おかしいのでサリーは心配でついてきた。


 部屋に入ると、人族の女性3名が。

 ベットの中で横に、なっていた。


 1人、1人に、花を近づけ。

 綺麗でしょ。

 花瓶に入れて、そばに置いておきますね。


 そう伝えながら、見せていく。


 最後の女性で、変化が現れた。

 近づけた瞬間。

 顔を、近づけ。

 抱きしめたのだ。

 彼女が、奥様なのだろうか?


 「近くのお店で、購入しました。とても、ナイスガイな男前の男性が。売っていましたよ」


 微かに、耳が動くのが見えた。

 「花の香りに誘われて、綺麗な見た目に魅了され。男臭い男前に、びっくりして。思わず、購入してしまいました」


 「あの人元気でした?」


 声を、出してくれた嬉しさから。

 大きな声が出そうなのを、グッとこらえて。


 「ええ、ただ。寂しそうでした。何でも、美人な奥様が帰ってくるのを待っているんだとか。それまで、頑張るんだと張り切っておりましたよ」


 「ウフフ。そうですか…」


 後ろを見ると、サリーは驚いていた。

 何をしても、声を出す所か。

 表情を、変えることさえなかった人が。

 涙を流し、声を出したのだ。

 驚くのも無理ない。

 暫くすると。


 「すみません。手を、お貸し願えないでしょうか?」


 「喜んで」


 ゆっくりと、手を取り立ち上がらせる。

 そのまま、ゆっくりではあるが。

 店まで、歩く。

 周りも、驚いている人がチラホラいる。


 店番を、していた亭主が。

 ボーと、そらを見あげていた。

 それを見て、女性は。


 「アナタ。その顔では、お客様が来てくれませんよ」


 「あ、あ、あ~」


 声にならない声を出し、女性に駆け寄り抱きしめる。


 2人が、泣いてる姿を見て。

 思わず俺も、泣いてしまった。


 2人が、離れるまで見ていたら。

 サリーに、頭を叩かれて。

 「行きますよ」


 「そうだね。戻ろう」


 サリーの目にも、薄っすらと。

 涙が、見えた。

 良かった。

 

 良かった。

 どうやら、涙を流しながら歩いていたみたいで。

 ミーパに、抱きつかれ。

 「御主人しゃま。大丈夫でしゅか?」


 ミーパを、抱き上げ。

 クルクル回る。

 目がまわりマシュ。

 とミーパが言うが、嬉しくて。

 何回も、回っていると。

 また、頭を叩かれた。(笑)


 屋敷に、戻り。

 先程の、部屋に戻ると。

 1人は、変わらずこちらを見ることもないが。

 もう1人は、泣いているようで。

 嗚咽が、聞こえる。

 両手を、組んで神に祈るように。

 失敗するかもしれないが。

 その子に、近づき。

 そっと、組んだ手に触れると。

 ビクッとなる。

 震えている。

 失敗したかもしれない。

 サリーに、目配し。

 俺は、離れようとすると。

 服を、掴まれた。

 もう1度、手を握り。

 そばにいた。


 暫くすると、後ろが騒がしい。

 振り向くと、ザイスとパルマ。

 それに、タリスがいた。


 サリーに、小声で。

 「彼女のそばにいてあげたいから、誰も近づけないで欲しい。後、出来るだけ出発は引き伸ばしてほしい」


 そう伝えると、いつものからかいはなく。

 頷き、引き受けてくれた。

 やはり、サリーは頼りなる。


 いつの間にか、部屋が暗くなり始めた。

 ふと、彼女を見ると眠っていた為。

 部屋を出る。

 もう1つ。

 大部屋に、7人の獣種族の女性がいる部屋にも向かう。

 すると、世話をする。

 2人の女性に気がつく。


 「あの、ありがとうございました」

 「領主様。事情は、聞いております。獣種族の我々に、治療を施して下さり。ありがとうございまた」


 どうやら俺が、治療した女性達らしい。

 ベットには、5人しかいないのを見ると。

 2人は、精神も。

 回復したのであろう。

 これも、嬉しい知らせだ。


 「気にしないでくれ、立ち直ってくれてありがとう」


 今日は、泣いてばかりだ。

 年かな?(笑)

 時間が、解決してくれる事もあるのだろう。


 このまま、少しずつでも。

 皆が、元気になってくれたら。

 そう願ってしまう。


 2人も、無理せず休むように伝え。

 部屋を出ると、ヤマトがいた。


 「御主人様。お食事のご用意が、整いましたので食堂の方へ」


 「ありがとう」


 食堂に入ると、縦長のテーブルに。

 ララ姫、リリ姫、ザイス、パルマが、着席していた。

 奴隷達は、立ったままだ。


 「どしたの?皆座って。食事にしよう」


 「御主人様。姫様達もおります。ご一緒には、出来ません」


 ?あ~そう言う事。

 「ここの主人は、俺だと思う。俺は、奴隷だろうと、差別するつもりは無い。一緒に、食事をするのに反対のものは?」


 「失礼ながら、申し上げますが。私達王国の姫と。奴隷が、一緒の食事等考えられません」


 「ん?じゃあ。王国に帰っていいよ!」


 さも、当たり前のように伝えると。

 顔を、真っ赤にして。

 ララ姫は、出ていってしまった。


 リリ姫は、どうしていいかわからずにオロオロしている。(笑)


 「リリ姫様は、どうなさいますか?無理なさらなくても、よろしいですよ。私の考えは、変わりませんので」


 「私は、構いません」


 サリーが、大きなため息をはくが。


 俺は、間違ってない!


 間違ってないよね?

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