第50話

 「恐れながら。私のような、非力で。奴隷だよりな異世界人には、勿体ないと。愚考致します」


 「今王都では、2つの噂が飛び交っております」

 なんだ?

 話を、変えた?

 「1つは、カムイ王国が宣戦布告したお話。」

 

 「もう1つは、ある人物が。無償で、聖女以上の治療を施していると言うお話です」


 場が、静まり返る。

 冷や汗が、流れた。

 俺の事だよな?

 確かに、秘密にはしてないが。

 情報が、早すぎないか?

 やはり、俺には監視がついているのだろうか?


 「ソウダイ様。貴方様の事ですね。聖男(セイナン)様と、噂されておりますよ」


 「セイナンですか?初めて聞きますね。確かに私は、治療する事が出来ますが。そんな、大層な者ではありません。回復魔法を使えるのは、他にもいるでしょう」


 「そうですね。回復魔法を、使う。それだけなら、多数おりますが!欠損した者は、聖女様でないと治せない。そう私は、認識しております」


 マジカ!

 サリーを見ると。

 今更ですか?

 と言う顔を、される。

 そうですか?

 背中に伝う汗が、増えたように感じる。


 「それだけの事が、出来る人を。他国や、色んな人達が、何もしないはずありません。その為。国王様は、心配なされて。私達を、嫁がせるおつもりのようです」


 はぁ〜。

 ため息が出る。

 逃げられませんかね?

 そう、サリーに視線を向ける。


 「発言宜しいでしょうか?」


 「はい。サリー様どうぞ」


 「ありがとうございます。私の記憶が確かなら。ララ様か、リリ様は。イレ領主に、嫁ぐ予定だったのでは?」


 え?そうなの?

「はい。何事もなければ、私がイレ領主に。リリは、カムイ国に。と予定しておりましたが。今回の、カムイ王国の宣戦布告。ソウダイ様の、奇跡のスキル。これらの事から。変更され。イレ領主にも。通達済みです」


 「戦争が、落ち着けば。同盟を結ぶ為。嫁ぐ可能性もあると思いますが」


 そうだ!そうだ!

 サリー!言っちゃれ!


 「今回我々は、負ける可能性を考えておりません」


 「カムイ王国は、勝算があり。宣戦布告したと思いますが、その根拠を。お教え願いでしょうか?」


 え?勝てるの?

 負ける気が無いなら、俺いらなくね?


 「カムイ王国は、勇者スキル保持者。ヤスオ様。ヒトミ様。そして、最強と名高いハヤト様。その3人を主力とし。ルージュ王国から、一部の協力者。サトウ王国と内通し。背後からの奇襲。これら戦力がある為宣戦布告したと見られます」


 「それで、こちらは?」


 「対し。クレナイ王国は、ラグナロクパーティー。無関心を装っている。ミカヅキ王国からの、救援。サトウ王国の裏切り工作。後話せませんが、最大の作戦があるとお伝えします」


 「?俺は、聞いてねぇぞ!パルマは?」


 今まで、黙っていたザイスが割って入る。

 パルマも、初耳のようだ。


 「失礼しました。作戦とは、前々から計画していた事で。戦力と、考えて頂けたら宜しいかと」


 身内にも、秘密の作戦?

 「ちなみに、マサヤは知っているのか?」


 「知らされていないと。思います。ですが、その戦力は最終手段。出さずに、済ませたいと言うのが国王様の考えでございます」


 きな臭い。

 マサヤに、秘密にする理由は?

 異世界人は、使い捨てか?

 ザイスやパルマも不審に思っているようだ。

 監視役のタリスは、無関心て感じだ。

 表情に出ないから、何を考えているのか。

 全然わからない。


 「それだけの戦略。戦力があるなら、俺はいらないと思いますが?」


 「欠損を治せる。そんな人物がいれば。死傷者は、半分以下で抑えられるし。もし、ユカリさんが怪我をした場合。ソウダイ様がいないせいで、死んでしまうかもしれません」


 それは、汚いでしょう!

 言っちゃうそれ!

 ユカリさんの、名前を出されると。

 断りづらい。

 どうしたものか?

 ザイスやパルマに聞いても、来ない選択肢はありえない。

 と、返される事だろう。


 王族が、何を考えているのかわからない。

 それが、問題だ。


 ニーナに、少し聞いたけど。

 第2王子派は、カムイ王国に。

 上から目線の、条件を提示して。

 使者を、殺されてるらしい。

 今回の件には、関係無さそうだ。

 だからといって、第1王子派からは。

 なんの情報も、得られず。

 ただ、国の為に行動している。

 そう、ニーナから聞いた。


 クレナイ王国とは、関係なく。

 カムイ王国は、戦争を吹っかけたのかもしれない。

 考えすぎなのだろうか?


 何か、さっきから、チラチラ俺を見ている?

 人間が2人もいるので、気になってしょうがない。


 「パルマ?どした?」


 「どしたとはなんです!師匠と呼びなさい!」


 「失礼しました。師匠様。先程からこちらを、見ているようでしたので。お伺いしたのですが?」


 「様は、いらないです。け、け、結婚するのです?それも、1度に、2人も?お前には、まだ早いのです」


 「私も、そう思います。が、どうしたらいいですか?」


 「それは!その。断ればいいです。でも、戦争には来るです」


 「パルマ様!それは、いけません!王様より賜った物を、突き返すなど。ありえません。こんな栄誉な事は、無いのですから。どうして、そんな事を!」


 ララ様は、お冠だ!

 暫くパルマと、お話してて!

 その間に、何か考えないと。

 あれもダメ。これもダメ。


 事前に、サリーから。

 王様から、領主の名を受け入れている為。

 出兵命令を、断るには。

 かなりの理由が、無いと難しい。

 そう聞いていた。

 最初から、逃げ道は無かったのだ。

 それでも、逃げたくて。

 巻き込まれたくなくて、あがいたが。

 ダメそうだ。


 「ソウダイ様は、どう考えているのですか?」

 「師匠の言う事に、従うです」


 「落ち着いて。二人共!顔が近い!」


 「失礼しました」

 ララは、謝ったが。

 パルマは、叩かれた。

 なして?


 ここで、もう1人チラチラ見ている人物にふる。

 「リリ様は、お嫌なようですね。無理なされない方が、良いと思いますよ」


 「!嫌なんて言ってない!」


 叫んだは、いい物の。

 恥ずかしくて、顔を伏せる。


 「ソウダイ様。ソロソロご決断を」


 「こちらとしては、行くのは構わないのですが。結婚は、遠慮願いたいです。まだ、身を固めるには早いので」


 何故か、パルマはドヤ顔してる。

 リリ様は、ホッとしているようだ。

 ララ様は、鬼のような形相だ。


 答えを間違えた?

 サリーを見ると。

 この人は、仕方ないですね。

 そんな、顔をして。


 「ララ様。ソウダイ様も、突然な事で動揺していますから。カムイ王国との事が、済んでから。もう1度確認してみては、いかがでしょう?」


 「そ、そうですね。サリー様の、お考えに従います」


 さすがサリー!


 サリーのドヤ顔を見ながら、戦争か〜と天を仰いだ。

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