第37話

 次の日。

 俺は、奴隷商人のもとに来ていた。

 トーマスとの奴隷契約を、する為だ。

 契約内容は、全て主に従う。

 死ねと言われたら、死んでしまうらしい。

 何とか断わりたかったのだが、王様から言われていて決定らしい。

 「生涯、ソウダイ様にお仕え致します」

 「トーマスさん、出来れば開放したいので。希望して頂けたらすぐにしますよ」

 「それはなりません。王命は、絶対です。新しい領主の奴隷として尽くす所存にございます」

 何を言ってもダメそうだ。


 ハートは、レベルも上がり運べる量、重さが増えたので。

 浴槽のような入れ物に、ミーパ、クーエをいれ、村に行ってもらった。

 俺は、ボンドさんやサイ君。アリスさん達を新領地へ、誘う予定だ。

 その為。ハート、クーエ、ミーパには、先に行って貰った。

 残る、俺、シーリャル、トーマスは、歩きでの移動となる。


 白金貨1,000枚も頂いたが、使い道は。

 「御主人様。王都にある店は、売却しました。これから、宜しくお願い致します」

 「了解だ。お世話になった。S級パーティー。ラグナロクに、挨拶して出発しますかね」

 サリーを、購入するのに使った。

 色々お世話になったし、信用ができ、頼りになる。

 最初は、友達として新領地へ誘ったのだが。

 国王と、約束があり。

 サリー自身が認める相手で。白金貨1,000枚で購入する者が現れるまで。

 王家に、力を貸すと言う約束だったようだ。

 勇者が魔王と、相打ちになり。

 何もする気が起きなかったサリーに。

 国王が、この国の為。そして、お前の為。と約束させたのだそうだ。

 貴方に購入される事で、私は救われる気がします。

 この言葉を聞き。

 購入する事にした。

 なのだが、

 私は元々犯罪も借金もない為。

 お金は、私の手元に残ります。

 奴隷のお金は、主の物。と俺の手元に戻って来た。

 最初断ったのだが!

 サリー自身で、今まで稼いだお金が倍以上ございますから。

 と言われソウスカと、返ってきたお金を受け取る。


 サリーとの契約は、トーマスとは逆で全てに強制力は殆ど無い。

 サリーいわく、ソウダイ様を主と認め。

 尽くしたい。

 けれど、貴方は強制したくはないのでしょう。だから、奴隷だけど奴隷でない。この関係が、いいのだと言われた。


 そして、ニーナ。

 本人にどうする?

 と聞いたら、サリー様とソウダイ様を守る。

 と言われ、奴隷じゃなくてもいいのでは?

 説得虚しく、ニーナも俺の奴隷となった。

 契約内容は、トーマスと一緒が良いと言うが。

 それは駄目だ!

 何度も、説得してサリーと一緒と言うと納得してくれた。

 基本自由という事だ。

 本当に、ニーナには感謝しているので開放してあげたいが。

 本人が、嫌だと断るのでいつか。

 やりたい事。好きな事が出来たら開放しようと思った。

 マサヤ、ユカリ、ザイスに、ご迷惑お掛けして申し訳無かった。

 いつか、新領地へ遊びに来てくれと伝える。

 「一緒に行こうか?」

 「ザイス。やる事がこちらにもあるから、すぐには無理だよ。ソウダイさん。休暇が貰えたら遊びに行きますね」

 「王都で、嫌な思いをされたと思いますが。どうかこの国を嫌いにならないで下さい。何かお困りな事があれば、連絡下さい」

 3人にも、感謝を伝える。

 タリスは、その場にいたが空気状態。

 紹介もされないしいいか?と俺も気にしない。

 パルマは、離れた所でうつ向いていた。

 「色々お世話になったな。ありがとう。パルマ」

 何か言おうと、口を開けようとするが。

 何を言えばいいのか、わならないようだ。

 「もし、嫌じゃなければ。マサヤに、パルマが愛しているみたいだぞ。と伝えようか?」

 それを聞いて今度はポカーンとする。

 開いた口が塞がらない?みたいな?

 なんか情けない顔?子供みたいな顔?

 だったので顎を掴み。閉じてみる。

 やはり何故か足を蹴られた(笑)

 今までで、1番痛かった(笑)

 「お前は、私の一番弟子です。チャント修行するです。人の心配するより自分の心配するです。勝手に死んだら許さないのです」

 最後は、声が小さくて良く聞こえなかったが。

 心配してくれてるのは、伝わってきた。

 頭を撫でながら

 「1番弟子として、恥ずかしくないように頑張るよ。ありがとう」

 また、蹴られるかな?と思ったが。珍しくされるがままのパルマの様子に。

 顔を、覗き込むとやはり蹴られた。


 別れは寂しいけど、馬車で村に向かう事に。

 サイ君達は、元気かな?

 新領地の事も忘れ、お世話になった人達の事を考えていた。

 たいして、時間は立っていないのに。

 恋しく思えてします。

 3年いれば、故郷と呼べるだろうか?

 新領地へ付いて来てくれるだろうか?

 領地を貰うなら、村が良かった。

 等と、考えていた。

 村まで、5日を予定していた。

 野営している時。

 シーリャルが、大きな盾と剣を使い。トーマスと、模擬戦をしていた。

 トーマスは、両手剣だった。

 カッコいい!今度、教えてもらおう。

 シーリャルが一撃なら、トーマスは手数。といった感じに見える。

 「トーマス様は、20年前。ルージュ王国との戦争で。血濡れのトーマスと恐れられるほどで、国王から報酬として領地を、得ましたが。ルージュ王国との境目を与えられたのは、牽制の為だったのではと。噂されていました」

 「血濡れ?凄いね。てか、怖いかも(笑)」

 「今でこそ、穏やかに見えますが。敵は、二刀流と言えばトーマス。兜から血を垂らしながら、殲滅する姿は鬼のようだと言われていました」

 「マジカ!兵士として凄いのは、わかったけど。領主としては?」

 「私の口から話すのは…本人から伺った方が宜しいかと」

 「聞くのが怖いけど。トーマス!ちょっといいか?」

 「御意」

 シーリャルの重たい一撃を躱し、こちらへ来てくれた。

 「ソウダイ様。ご用でしょうか?」

 こう、様ばかりつけられて呼ばれると。

 調子に乗りそうで怖い。

 「様とか付けなくていいよ。領地の事を聞きたいんだけど」

 「は!税で得た金銭は、王国に半分。残りは、民の為に使い。屋敷は無償で、民達が立てた物になります。犯罪が少なく。いい所だと思っております」

 「凄いね!トーマスの収入は?」

 「は!私は、討伐報酬や功績等で。生活できる収入があった為。税は受け取らず民の為に使っておりました」

 メチャクチャすごいやん!

 この人の後に、領主とか勘弁なんだけど(笑)

 「御主人様。トーマス様がいない間。モーヒガ様が、好き勝手やっていた為。想像している領地では無いと思います」

 マジカ!

 モーヒガの野郎!

 あんま死んだ人間の事を悪く言うのも、まして。

 目の前に父親もいるし。

 「まっ。行ってみてだな」

 心配ばかりしてもしょうが無いし。

 まずは、サイ君達だと眠りにつくことにした。

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