第35話

 「おもてをあげよ」

 「ハハァ」

 前と同じ顔ぶれの中。

 王様との謁見が、始まった。

 「3年前の英雄に対し、モーヒガの犯罪行為を、止める事が出来なかった。トーマス・モリスは、ソウダイ殿の奴隷とする。また、迷惑を掛けたとして。モリス家の財産を、与える物とする」

 「え?」

 ありえない話で、素の声が出てしまった。

 「!国王様!いくらん何でもそれは、おかしな事ではないでしょうか?昨日のドビーのように死刑。財産は国が管理する。それが普通なのでは?」

 え?ドビーって警備隊長じゃなかったっけ?そういえば、ルージュ王国使者に対してなんかやったんだっけ?

 それより、奴隷?財産?初耳なのですが!こう言うのって事前に話があるのでは?

 第2王子が、慌てて国王に色々言ってるけど。どうするか?

 「発言の許可を、よろしいでしょうか?」

 「許可する」

 「モリス家の財産とは、どのような物になるのでしょうか?」

 とりあえず、貰えるものが何なのか聞いてみる。

 「まず、金銭で白金貨1,000枚。ルージュ王国側に位置するモリス領。モリス領にある屋敷。屋敷にある物。モリス家の奴隷。これらになります。詳しくは、こちらの契約書に記載されております」

 第1王子側の一人が、長い紙を読み上げる。

 「恐れながら、私はこの世界に来て日が浅く。領を頂いても、無理があるのではないでしょうか?」

 「その通りです。こんな奴に務まる訳がありません。ご再考願います」

 と、第2王子派閥がギャーギャー煩いがその通りだろう。

 だって、行った事もない場所の領主とか無理!内政チートとか、俺にできる自信がない!

 なんせ、計画性のない男だし(笑)

 「静まれ!これは、クレナイ王国。国王として、決定事項である!元領主のトーマスがいれば、領主としてどうすれば良いかなど容易い事であろう」

 マジカ!

 誰か止めろよ!

 シーンとするナシ!

 トーマスさんだって、やり抜くいっしょ!

 誰か助けてーと脳内で否定ばかりしていたが。

 「今後、ソウダイ殿には、ソウダイ・ヒーロと名乗り。ヒーロ領とする。今後トーマスと共に、クレナイ王国を守り立てるように」

 「ハハァ」

 えー!ヒーロって!すんげー第2王子側の人達に、睨まれてるし!デジャヴ?

 もういいや。終わりみたいだし帰ろう。

 またも、前回の部屋で待たされると、今度は第1王子とS級パーティーだけでなく!

 何か、男2人。女3人が、入って来た。

 身分高い人なんだろうな〜と、見ていると。

 「よ!ソウダイ・ヒーロ様!」

 とザイスが、笑いながら話しかけてくる。

 「お前知ってたのか?先に、教えてくれよ!」

 「申し訳ない。話すと、逃げるかもと聞き。私が口止めしたのだ」

 「そうでしたか。第1王子に、気を使わせてしまい。申し訳ありません」

 と謝罪する。

 「もう少し砕けて話してくれて構わないぞ。まず、初対面だろうからご挨拶して差し上げろ」

 「私は第1王子の妻、ミーシアと言います。正義感あふれる、ソウダイ様にお会い出来。嬉しく思いますわ」

 見た目20歳位だけど、多分もっとうえなんだろうな。貫禄あるし。

 「第3王女のララと申します。お見知りおきを」

 「第4王女のリリと申します。宜しくお願い致します」

 双子かな?そっくり!15歳位かな?名前まで似せなくてもいいのに(笑)

 顔は、そっくりでも体型は別(笑)

 ボン・キュッ・ボンと、ストーンみたいな?

 ヤベ、顔に出たかな?リリさんに、睨まれた。

 「僕は、第5王子のユートスです」

 モジモジしていて可愛い(笑)12歳位かな?

 「私は、カーター・イレ。イレ領の領主をしておる。ヒーロ領の隣になる為。力になれると思うぞ」

 50歳くらいかな?かっこいいヒゲだな〜と見ていると。ドヤ顔だ(笑)

 「何卒宜しくお願い致します」

 と返す。

 「ここにいるのは、私の陣営の者になる。出来れば信用して欲しい所だが、無理強いするつもりは無い。今回は辛い思いをさせ、すまない。結果も、納得できる物ではなく申し訳ない」

 「とんでもありません。ユリス様も、行方不明の私を探す事に尽力して頂いたとか。ありがとうございました。力になれる事があれば、申し付け下さい。派閥に関しては、まだどうするか決まらず申し訳なく思っております」

 「そうか」

 と残念そうな顔をする。

 「1つお願いしたい事があるのですが、聞いて頂いても宜しいでしょうか?」

 「話してみよ」

 「私の奴隷に、片腕の無い者がおり。ゆかり様に治して欲しくお願いした所。無闇に治す事が出来ないと言われまして、出来れば許可を頂けないでしょうか?」

 「ソウダイ殿の奴隷達にも迷惑を掛けているし、第1王子の名の下に許可しよう」

 「有難き幸せ。本当に感謝します」

 言って見るもんだ!やった!シーリャル!俺はやったぞー(笑)

 「ソウダイ殿は、変わっておるな、白金貨1,000枚より。領主の座より。仲間の為の方が喜んでいる」

 「こいつは、これが普通なんだよ」

 「自分もそう思います」

 「これは、元々。馬鹿なのです。」

 「これで、治してあげられます」

 ザイス、マサヤ、パルマ、ユカリの順にのべるが、普通じゃないの?手が無い人の、手が治るって方が凄くない?俺がおかしいのかな?

 と、また顔に出ていたのか。

 俺の顔を見て皆が笑い出す。

 その後、他愛ない話をしてユカリと一緒にサリーの店に。

 パルマは、何故か付いて来た。


 「御主人様おかえりなさい」

 クーエが、店の前で立っていた。何でもキルカに、商売について学んでいたらしい。

 最近は、御主人様と皆から言われる。

 なんと言うか、それを聞くとテンションが上がる(笑)

 中に入り。

 「御主人様おかえりなさいでしゅ」

 「御主人様おかえりなさい」

 ミーパと、シーリャルが部屋にいた。

 ハートは、病み上がりの為。飛ぶ練習をしに、でかけていた。

 「ユカリ。頼む」

 「任せて」

 やっぱ。ユカリは可愛い。

 何故か、パルマに蹴られた(笑)

 ユカリは、シーリャルを床に座らせ。ない腕を触るように

 「お願い」

 すると、シーリャルのない腕の付け根から光が!

 シーリャルも驚いていて、痛みはないようだ。

 欠損した場所から生えてくるのではなく。

 段々に、腕が見えてくるという感じ?

 付け根から指先まで、一気に現れる感じ?

 光始めてから1分程立つとユカリは、離れる。

 「動かしてみて!」

 と言われシーリャルは、我に返り。動かしてみる。

 「どうして?ユカリが?あれ?動く」

 混乱してるようだが、ユカリが治してくれた事を理解できたのか。

 ユカリに抱きつき

 「ありがとう。ありがとう。ありがとう」

 と何度も叫びながら泣いた。

 クーエ、ミーパも抱きつき泣いた。良かったねと、言いながら。

 それを見て、あーーー良かった。

 と、目をつぶり、貰い泣きした。

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