第34話

 知らない天井だ。

 何だかボーとする。

 ここはどこだ?

 俺は何をしているんだろう?

 右手に感触が?右を向くとミーパがいた。

 左手で頭を撫でようとして、左手にも誰かいる?

 そちらを見ると、クーエが。

 周りを見ると、床に座るシーリャルが。

 ハートは別のベッドで、寝ている。

 「おはようございます」

 声をする方を向くと、入口からサリーが入ってきていた。

 「おはよう」

 と言うと皆が起き!

 「主様」

 「主しゃま」

 と抱きついてくる。

 クーエと、ミーパの頭を撫でながら、助かったんだ。と思いふけっていると。

 美味しそうな匂いが。

 「お食事を、お持ちしました。食べていなかったでしょうから、おかゆです」

 「サリー!肉が食いたい(笑)」

 「こんな時くらい。素直に感謝し何も言わずに食べて下さい」

 と言われ口を開けると。

 「子供ですか?ユカリ様が回復魔法を、かけて下さったので動けるはずですよ!」

 そう言われても、押さえられているので。分からない(笑)

 「そっか。俺って、どのくらい寝てた?あと、助け出されてからどうなった?」

 自分で食べようとしたが、ミーパとクーエが、スプーンで食べさせてくれる。


 幸せだ。

 「ソウダイ様の身は、すぐに店に運び。ニーナに、ゆかり様を呼んでもらいました。次の日にはこちらに来て、回復魔法をかけて下さりました。それから、2日が経過しています」

 「サリーならすぐに見つけてくれると、思ってたけど難しかった?」

 「これでも色々と、手を回して大変でしたよ!助け出す時に、ハート様が怪我してしまいましたが、ユカリ様が治療して下さり。今は、そちらに」

 「なら、シーリャルの腕も治してくれたら良かったのに」

 「主殿、それがし剛力のお陰で片腕でも大丈夫です。助け出すのが、遅くなり申し訳ない」

 それから、行方不明になっていた6日間の話を聞いた。

 「ハートの念話だったのか?ついに俺も、頭がおかしくなったのかと思ったよ(笑)ミーパには、俺も繋がりを感じるよ。2人がいなければやばかったんだな(笑)」

 「元々頭はおかしいですがね。S級パーティーの人達も心配してましたよ」

 「彼らは?」

 「昨日。無事に帰って来られたようです。特にパルマ様が責任を感じて心配されてましたよ」

 「俺が、寝ている間に何があったか聞いても?」

 「話す前に、お伺いしたい事がございます。ルージュ王国の、カオリ様をご存知ですか?」

 「?この世界に来て、クレナイ王国から出てないし。ルージュ王国の人?カオリ?名前からして異世界人だと思うが、知らないよ」

 「そうですか。実は、助けに来てくださったのがカオリ様たちなのです」

 「達?全く分からない」


 意識を失った跡。

 牢屋に、兵達がせまっていた。

 ニーナは、ソウダイを運びながら逃げるのは難しいと判断。

 牢屋の入り口で、守る事に。

 その頃。

 兵舎の入り口で、暴れていた。

 クーエ・ハート・シーリャルそしてサリー達は、劣勢になっていた。

 団長はいないが、隊長や副隊長が駆けつけ!諦めそうになった時。

 馬に乗った、若い女性達があらわれ。

 「静まれー!私の名は、カオリ。ルージュ王国の使者。この場は、私が預かる」

 「そんな事認められん!兵舎を、襲う賊を殺せー」

  警備4隊。隊長ドビーが叫ぶと、兵達はどうしたら良いのか迷う。

 「ルージュ王国を敵に回すか、バカ者共!お前らの行動で戦争が起きる覚悟があるのか!」

 そう言われ、皆引き下がる。

 それでも、ドビー隊長は諦めきれないのか兵舎の中へ。

 第2王子から、ソウダイを監禁するよう言われ監禁していた為。

 ソウダイが生きていると、まずいと思い殺しに向かったのだ。

 カオリは部下に、兵舎の中へ行ったものを拘束するよう指示を出す。

 地下2階には、20人以上の兵達が倒れていた。

 が、他に誰もいない。監禁していた部屋にも。

 そこに、ルージュ王国の兵達が来てドビー隊長は、拘束され。

 連行されるが、何も話さないそうだ。

 サリーは、ソウダイの奴隷達に、ソウダイを店に運ぶよう指示し。

 ニーナに、事情をS級パーティーに伝えるように指示を出す。

 その後。カオリと、共に王城に。

 サリーは、王様との謁見の間にて、全てを話し。

 すぐにモーヒガを捕らえるよう言うが。

 モーヒガは、遺書を残し自殺していた。

 その為。裏で第2王子派閥が動いていたのは、わかっていたが。追求する事は、出来なかった。

 ルージュ王国の使者達は、元々の役目を終えて国に帰ったそうだ。

 伝言として、ルージュ王国にて待っています。との事。

 だが、俺には覚えがない。

 どういう事なのか?前世の知り合い?それとも知らぬ間に。こちらの世界で、知り合っていた?

 わからないことは、しょうが無いしと、考えるのをやめた(笑)

 「サリー様!色々ご迷惑をかけ!申し訳ありませんでした」

 「何ですか?突然!ソウダイ様気持ち悪いのでやめて下さい!感謝してるなら、早く私めを買って下さい」

 「なんでやねん!」

 漫才していると、皆、笑い出す。

 あー生きてて良かった。

 そこに、S級パーティーが入って来た。

 「元気なのか?」

 「助けに行けず、申し訳ない」

 「後3日は、安静にしていて下さい」

 「…」

 ザイス、マサヤ、ユカリが、順に声を掛けてくれる。

 「S級パーティーにも、迷惑かけて申し訳なかった。ユカリ、治療ありがとう。ハートまで治療してよかったのか?」

 「今回の件で、怪我した人達を治療するよう。王様から言われたし。団長からも、頼まれたから。気にしないで下さい」

 「で、パルマは元気無いけど?心配してくれたんだってな。ありがとうパルマ」

 「な!な!何を言ってやがるですか?心配なんて、するはずないのです!」

 「そんな事言って、討伐中。ニーナが来た時、王都に戻ろうと慌ててたじゃ無いか」

 と、ザイスに言われ無言でザイスの足を蹴っていた。

 本当は、モーヒガをこの手で殴ってやりたかったし恨んでいた。

 が、殺されたみたいだし。

 仕方ない。

 皆の優しさが、心に染みて。

 恨む気持ちが、薄れたようだ。


 「皆。ありがとう」

 心からの言葉を、皆に送った。


 それから、3日。言われた通り安静にしていた。

 甲斐甲斐しく世話をしてくれる。皆に感謝しながら。

 無事動けるようになると、王様からの使者が来た。

 今回の件について、話があるから明日。

 王城に来るよう言われたのだった。

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