第31話

 全く、火が出ない!

 無理なのだろうか?魔法の練習をしていると、お腹が空いてきた。

 1度飯でも食いに戻ろうと言うと、どこからか荷物を取り出すパルマ。

 「パルマ!今何処からそれを!」

 と詰め寄る。

 「何なのですか?近いのです!離れるです!」

 と顔を真っ赤にして手を振り回す。それが、俺の股間にあたりうずくまる。

 クーエやミーパが、心配して駆け寄ってくる中。

 シーリャルは、身体強化の練習に集中して気付いていない。

 「何をしてるです?空間魔法の1つで、宝物庫なのです。繊細な魔法技術が必要で、使える人は滅多にいないです」

 股間を叩いた事に気付かず、ドヤ顔する。

 「やはりあったのか!アイテムボックス!話を聞く限り俺には無理なのか?」

 「お前には、無理なのです。異世界人は、アイテムボックスと言うらしいです。何故股間を、押さえているです?」

 苦笑いを浮かべ、アイテムボックスがある事に喜んだが、所得できない事に落ち込んでいると。

 何やら暖かくなり、そちらを向く。

 驚く事に、ミーパが火の魔法を使っていた。

 「ミーパは、火魔法が使えたの?」

 「パルマ様が、教えて下さり試していると出来たでしゅ」

 確かにパルマは、教えるのが上手いが、そんな簡単に出来ない。俺って才能ないのか?まだだ!やってやる!

 「パルマ様、これ出来てますか?」

 振り返ると、今度はクーエがパルマに教わっている。

 気にせずやらなくては!集中して、火を!ファイアーボール!

 と、強くイメージする。小さくと、パルマからの注意も忘れ(笑)

 次の瞬間!

 「ウオー」

 直径20メートルはありそうな、火炎の丸形。イメージ通りのファイアーボールが現れた。

 「何やってるですか?馬鹿ですか?早く消すです!イメージです!火が消えるイメージをするです」

 「おう」

 消える?消化?でかい火を消すには、砂を使うんだっけ?よし!大量の砂!

 するとファイアーボールの上から大量の砂?が降り注いだ!

 「キャー」

 パルマ・クーエ・ミーパは、避難する。

 シーリャルは、集中していたまま。

 俺は、動けなかったが何故か砂?いや、土砂が避けて行く。

 暫くすると火は消えたが、そこに小山が出来るほどの砂があった。

 パルマ達が、避難から戻り。俺を見つけると

 「何やってるですか?小さくイメージと言ったです!」

 「ソウダイ様。大丈夫ですか?」

 「主。平気でしゅか?」

 「悪いな。火が出なくて、小さくって注意を完全に忘れてた(笑)」

 ギャーギャーパルマが喚くが、

 「シーリャルは?」

 と、俺が言うと皆も探すが見渡らない!埋もれた?

 慌てて、集中していた場所を探して見ると。

 少し盛り上がった場所があり!慌てて掘り返すとシーリャルがいた。

 「シーリャル!大丈夫か?」

 「ん?」

 シーリャルが目を開け驚く。

 「主殿!これはいったい?動けぬ」

 「気づいてなかったのかよ。そんな事あり得るのか?」

 「集中していた場から、動いていない現状を見ると。身体強化より強力な、剛力を取得したのでは?」

 シーリャルは、ステータスを確認する。

 ステータスは、基本。本人しか知る事ができないが、他国で鑑定スキル保持者が発見されたらしい?

 かなりの人達から、狙われている為!国で保護され、そこから一歩も出れないとか?本当にいるかも眉唾らしい。

 「剛力が、増えてます。これで、片腕でも役に立てます。良かった」

 シーリャルは、嬉しそうに話す。自分もステータスの確認をしてみる。

 ステータス

 レベル1,060

 スキル

 言語理解 恐怖体制 

 走経験値

 ダッシュ シュート

 タックル ジャンプ

 投擲

 豪炎魔法 豪土魔法 身体強化

 HP106,000 MP53,000

 魔法スキルが、増えてる!とガッツポーズする。が、何故豪がつくし?(笑)

 ミーパは、初級魔法を取得したらしい。え?火魔法じゃ無いの?と思ったが、元々透明化スキルは魔法に通じるものがあり。

 魔力が見えるパルマいわく、繊細かつ虹色に見えるらしい。

 大きさではなく。色や、素質?みたいな物が見えるらしい?

 俺には良く分からないが、パルマが言う事に間違いが無いと思う。

 現に俺には細かい作業は、苦手だし。小さいサイズで出す事が出来ない。けど、ミーパは出来る。やる前からパルマが言っていたし。

 魔法が使えるだけいいやと、これ以上の練習をやめて。王都に戻ろうとしていた時、馬に乗った騎士達が俺達の方に来る。

 「お前達!先程でかい火の玉が、この辺りに出現したが何か知っているか?」

 「申し訳ない。自分が魔法の練習をしていた時に、誤ってあんな大きいのが出てしまったんだ」

 「原因は、お前1人と言う事で間違いないか?」

 「間違いない。こんな大勢が来る自体になり。ご迷惑を、お掛けして申し訳ありませんでした」

 と謝る。

 「隊長。そんな奴の言う事なんて、信じる必要もなく。全員牢獄にぶち込みましょう」

 「待て、私は警備5隊、隊長のザンド。あんなにでかい魔法は、見た事もない。簡単に信じる事は出来ないし。今皆様に、王都に対して攻撃しようとしたとして捕縛。抵抗するようなら殺害許可もある」

 「ちょっと待ってくれ。俺は魔法の練習をする為。S級パーティーのパルマに、指導して貰っていた所。初めてだったので、ミスをしてあんな事に。他の人達は関係ない」

 「そうです。この馬鹿は、ミスをしたです。ですが、故意にでは無く。攻撃するつもりも無い。ただのミス。捕縛される必要はありません」

 ありがとうと頭を撫でると、何故か足を蹴られた。

 恥ずかしいのは、わかったが足を蹴るのはやめて欲しい(笑)

 するとそこに、馬に乗った若い男が軽装で現れた。

 「ザンド隊長。先程の攻撃は、この者達の仕業ですか?」

 「警備4隊、隊長のドビー隊長

。今日はお休みのはず、どうしてこちらに?」

 「国の危機に駆けつけるのは当然な事。で、この者達を拘束し連行する所ですか?」

 「事情を聞く為来て頂くが、拘束するつもりは無い!」

 「それはおかしい!やましい事が無いなら拘束されてもいいのでは?国の危機!それ位、当然な事。おいこいつ等を拘束し連行しろ」

 「勝手に指示を出すな!指揮権は、警備5隊にある。お前らは、王都に戻り事情を国王様に説明しろ」

 「後悔しないといいが、ザンド隊長暴れても知らないぞ」

 そう言って王都に皆戻る。

 「付いてきてくれ。それとパルマ様。S級パーティーの元に行きこの事を伝えて頂けますか?警備4隊は怪しい噂が絶えないので、何があるかわかりません」

 「わかったです」

 「ザンド隊長。説明は、自分が致しますので。他の者達は、S級パーティーの元に行かせてもよろしいでしょうか?」

 「出来れば、全員といきたいが、パルマ様はどうお考えですか?」

 「こいつの言う通りに。他の者達は、S級パーティーが、保護する事を保証するです」

 「わかりました。王様にもそのように報告します」

 と歩き出す。

 パルマがいてくれて良かった。

 正直、この後どうなるのか不安しかない。皆を守りながら逃走なんて無謀でしかない。

 「パルマありがとう。皆、パルマの言う事を聞くように」

 心からの感謝を口にし、ついて行く。

 クーエ・ミーパ・シーリャルは、心配そうな顔で見送ることしか出来なかった。

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