第25話

 先程の定員が近づいて来たので、抱えていた女性を任せて話に割って入る。

 「失礼します。警備団長どの、私の名はソウダイ。異世界人であります。事情を、説明したいのですが宜しいでしょうか?」

 何故か自分を見て、驚く。

 隣にザイスとサリーもいるしそのせいかな?と思った。

 「これは、失礼した。警備団長のトーマスと言います。ソウダイ殿。お噂は聞き及んでおります。ザイス殿お久しぶりで御座います」

 「おう、トーマスさん。また、模擬戦しようぜ」

 やはりザイスは、脳筋らしい(笑)

 サリーは、一緒に来たから挨拶はしたのかな?

 「それで、息子はこのように言っているのですが、事実はどうなのでしょう?」

 ?もしかしたら、モーヒガは信用されてないのかな?

 「こちらの食堂で、食事をしていたら。女性に対し、ひどい扱いをしていた為。見るに見かね、割って入った次第です。暴力は使っておりません」

 「父上嘘です!見て下さい!この手の跡が何よりの証拠です」

 くっきりと手首に残る、手の跡を見せドヤ顔しているモーヒガを見て、カチンと来て

 「女性が嫌がっているのに!離そうとしないので、手首を掴んだ次第。そのようになっただけの事。鍛え方が足りないのでは?」

 「ナンダトー」

 怒りをあらわに睨まれ、俺も睨み返す。

 「先程まで食堂にいた者、真実を答えよ」

 と、団長が言うが誰も答えないがモーヒガのつれ3人が

 「モーヒガ様のおっしゃられる事が真実です」

 と答えた。

 まぁそうなるよね。どうしたらいいか?考えてみるがわからない。そこに、

 「ニーナ。モーヒガ様とソウダイ様の言い分。どちらが正しいですか?」

 「ソウダイ様の、おっしゃられる事が真実です」

 と答え場が静まり返る。

 「トーマス様。ニーナにはソウダイ様が、何か仕出かすだろうから見ているように、申し付けておりました。王様も信用するニーナの言葉。お分かり頂けますでしょうか?」

 とサリーは静かに語ったが!ちょっと待て!それはいくらなんでもと言おうとしたが、事実なので口をつぐんだ。すると

 「ソウダイ様。息子が、ご迷惑を掛け申し訳ありません。厳しく指導しますので、どうかお許し願えないでしょうか?」

 モーヒガが、何か言おうとしたが、トーマスに睨まれ下を向いた。

 「わかりました。ただ、報復など考えないようにお願いします。次は、切って捨てます!」

 と、そんな事しないけど。多分モーヒガは、報復しに来るつもりだろうなと思い。トーマスに伝えた。

 「決してそのような事は、しないように10日間は外出を禁止させます。ありがとうございます。」

 とモーヒガと兵達を連れていなくなった。

 「助かったよ。ニーナ。サリー。」

 と言ってまた、ニーナを撫でる。

 「俺は?」

 「ザイスって何かしたっけ?」

 と言うと周りで笑いが起こる。結構人が集まっていた事に今更気づく。

 ばらけながら、ありがとう。スッキリした。良くやった。など、言いながら挨拶したり肩を叩かれてりした。

 助けた女性と、サリーとニーナ、ザイスと俺で食堂に入る。

 お礼も兼ねてご馳走する事にしたからだ。

 5人で席に付くと、助けた女性が

 「ありがとうございます。ペットになんて、なりたく無かったので助かりました」

 と言われた。

 「気にしなくて良いと思いますよ。この人の自己満足ですから」

 「ちょっと、サリーそれはないでしょ!」

 と皆で笑っていると、エプロン姿の男性が現れた。

 「おいクーエ。お前は首だ。買った奴隷商人に売ることにするから荷物をまとめて来い!」

 「主様お許し下さい。お仕事頑張りますので」

 「モーヒガ様が、八つ当たりしに来る事は目に見えている。お前がいたら商売にならん。他の奴隷に変えるからお前はいらん」

 と言われクーエちゃん?は泣きながら謝っている。

 「サリー。従業員は足りてるか?」

 突然そんな事をサリーに言うが察したサリーは

 「申し訳ありません、ソウダイ様。何分危険を伴いますので当店ではちょっと」

 「そっか。亭主クーエちゃんはいくらで買ったんだ?」

 亭主は、なぜ?といった顔をしたが

 「お客様。こいつは、一月前に、金貨5枚で購入しました」

 それを聞きポケットから白金貨1枚を出し

 「先程の俺の飯代とクーエちゃん。後は荷物かな?これで売ってくれ」

 「もちろん宜しいですよ!」

 と即答で答え。

 近くに奴隷商店があるので、そこで契約をしましょうとクーエに荷物を取ってくるよう急がせ主は出かける準備を始める。

 「あのう?」

 「クーエちゃん。悪いようにしないから荷物取っておいで」

 と言って取りに行かせた。

 「悪い。食事は別の場所でいいか?」

 「忙しそうだし。また今度で、俺はいいぞ!土産話も出来たしな(笑)」

 と、ザイスは帰った。

 「あなたはちゃんと、計画しなさいと言う私の言葉を忘れたのですか?」

 「迷惑をかけると思うが宜しく頼む」

 「ハァー。ニーナ、私はソウダイ様と奴隷商店に向かうので、店に戻り遅くなる事を伝えて下さい」

 「御意」

 と言ってニーナはいなくなった。

 ニコニコ顔の亭主と不安な顔のクーエ。呆れたサリーと俺の4人で向う。

 「いらっしゃいませ。奴隷の売却ですか?購入ですか?」

 店内にいたのは、カエル顔の獣種族で少し驚く。

 「奴隷の契約移行を、お願いします」

 と店の主が言うと

 「これはサリー様お久しぶりです。奴隷が欲しいのであればいくらでもご用意致しますが?」

 と大げさな態度のカエル顔を見て胡散臭いと思った。

 「今回は。こちらにいらっしゃるソウダイ様に移行を、お願い致します。後説明もお願い致します」

 「そうでしたか、始めましてソウダイ様。奴隷商人の、エルと申します。奴隷の契約は初めてでしょうか?」

 カエル顔だから、エルなのか?と関係ない事を考えながら話を進める。

 奴隷の契約には、する時に奴隷は条件提示し、それを購入する者が承諾して契約に移れるそうだ。

 主に食事と戦闘と性について決めるそうだ。

 他にも条件を付ける事もあるらしいが、基本命令には逆らえないそうだ。

 ただし、契約違反をした場合、普段でない首の跡が赤く出たままになり、捕まる事になるそうだ。

 クーエとは、食事の提供義務。戦闘と性に関しては、クーエの判断。と決め契約した。

 契約は、スキル『契約』が無いと出来ない。

 ふと、王都に来て初日に奴隷が、なぜこうなってしまったのだろうと頭を抱えた。

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